経済・政治・国際

2017年6月19日 (月)

首相、加計「深く反省」 内閣改造で人材担当相

安倍晋三首相は6月19日、国会閉幕を受けて首相官邸で記者会見した。学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る国会の議論について「深く反省している」と表明。信頼回復に向け丁寧に説明していくと訴えた。内閣改造・自民党役員人事を検討する意向も言明。今夏に人材投資で有識者会議と担当閣僚を設けると強調した。
国家戦略特区を活用した加計学園の獣医学部新設計画を巡っては、政府は適切な手続きだったと説明する一方、文部科学省の追加調査で「総理のご意向」などと書かれた文書の存在が判明。野党が「行政がゆがめられた」と批判していた。首相は「文書の問題を巡り対応が二転三転し、国民の政府への不信を招いたことは率直に反省しなければならない」と語った。首相は今国会で成立した「共謀罪」の趣旨を盛りこんだ改正組織犯罪処罰法に関し「国民の命と財産を守るための法律」と適正運用を訴えた。加計問題と合わせ「国会の開会、閉会にかかわらず、わかりやすく丁寧に説明したい」と述べた。内閣改造は「重要政策で大きな推進力を得るには人材を積極的に登用し、政府でしっかりした体制をつくることが必要だ」と検討する方針を示した。党役員人事を含め「これからじっくりと考えていきたい」と語った。首相は「人づくり革命を断行し、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていく」と政府が経済財政運営の基本方針の目玉施策に位置づけた人材投資に取り組む考えを強調。今夏に具体策を詰める有識者会議「みんなにチャンス!構想会議」を立ち上げ、担当相もつくる意向を示した。(日本経済新聞:6月19日)


総理の記者会見について考える。


毎度おなじみの国会閉幕後の記者会見である。安倍は反省を口にするが、反省する前に学習せいと思うのである。反省する必要などない。責任を取れば良いだけである。と思って会見の文章を読み返してみたが、反省などしていない。野党が悪くて議論が進まなかったという論理で言い訳し、改良共謀罪、本当の名前は忘れた、は必要な法律だと自画自賛していた。みっともない話だが、みっともないと感じない感性の持主が政治家稼業に就くことになっている。他の誰かであっても程度の差でしかあるまい。
政治家が、反省を口にして、責任を取るつもりがないのなら、外向きにはそれで良かろうが、本当にしなければならない仕事は、学習することである。学習から最も遠いところを歩んできた様子が経歴から見えるから、これも求めてはいけない話なのだろう。

共謀罪について扱っていなかったので考えよう。一般の市民は対象にならないそうだ。仮出所していて、当然のことながら暴力団組織から足抜けした元ヤクザは、どうだろう。もちろん、暴力団は指定団体であるとする。そんな元ヤクザといっても、偽装足抜けである可能性もある。足抜けが事実か否かの判断は、警察が行うことになっている。共謀罪が公安調査庁のみが用いるというのなら色々チェックされる可能性もあろうが、これとて当然の如く警察組織も恩恵に与ることになろう。足抜けを警察が判断して、偽装足抜けだとの疑いで対象者になり、警察が共謀罪の適用をするという話になる。
どうせ元ヤクザか現ヤクザかの違いで、堅気ではないから良いではないかという論理もあろう。しかし、この元ヤクザが沢山出入りする家があったらどうだろう。これらに仕事を与えようとしている企業経営者はどうだろう。これらは表面上堅気であると思われている。
元ヤクザの出入りが多い家は保護司の家である。元ヤクザを雇用しているのは、更生活動に理解のある篤志家の方である。どちらもボランティアである。恐らく、辛い思いも多く経験していることだろう。冗談のような話であるが、これらのプログラムは共謀罪を説明している法務省の担当である。物を知らないフリか、真に知らないかしている法務大臣は、こんなこともご存じないと語るのだろう。
保護司は法律で定められている。定員に満たない状況が続いているが、全国で47,939人の保護司がいて、26.1%が女性であるという (定員は52,500人)。全国保護司連盟は、法務省に更生の妨げと、再犯増加の心配を法務省にしたほうが良い。ヤクザは嫌いだし、世の中にいない方が良いと確信するが、差別を固定化して良いこともないことが先人の経験である。篤志家の思いをねじ伏せる行為である。法務省は、ヤクザなどずっと刑務所に居れば良いと思っているのだろうか。それだと、刑務所の収容人数が足らないという現実がある。刑務所の収容定数は9万人程度である。指定団体の22暴力団の構成員数は17,000人強とされる。大丈夫だというのは難しい。だって、ヤクザは出所しないことになるのだから。
共謀罪の趣旨説明をしたのも、刑務所を所管するのも、保護司を委嘱するのも法務省の仕事である。保護司に定年制を設け、76歳未満(新任時65歳以下)としたのも、保護司を実質的に活動停止し、叙勲目当ての形式的な職にして、刑務所は民間委託して、という考えを法務省が持っているのなら、それを表明すれば良い。無給のボランティアである保護司をするのが、例えそれが叙勲目当てであったにしても、誰が批難できようか。もし批難されるのなら、保護司の仕事を行わなかったことである。正しい仕事を評価するのが役所の本来の業務というものだろう。無能大臣の答弁を聞くと、その役所の役人が皆等しく無能に見えてくるから不思議である。安倍は文科省だけでなく、法務省の役人にも弁明の機会を与えるのが良かろう。

獣医学部新設の問題で、既得権益の壁に穴を開けたと主張する。しかし、実態は、既得権を自分に近い人物に移し替えたという、新たな既得権が発生したと言うことに過ぎない。お友達に優遇措置が取られると言う行為、百歩譲って、そう疑われてしまうような行為は、真に既得権益を公平公正に作り変えると主張する者の取るべき策ではない。愚かである。

みんなにチャンスというのは、電通に発注したのだろうか。それにしてはお粗末である。みんなというのは、安倍やその周囲の人に近しい人に対し、等しくチャンスを与えるということである。安倍が国民を指導し、豊かに導く政策として、アベノミクスを実行している。これをありがたく思うようにということである。国民を指導する立場にある、安倍家の皆さまに失礼のないようにしなければ幸せになれません。失礼があった場合には、共謀罪で処罰されます。安倍家というのは、共産主義国家の共産党より高い地位を有しているようである。
共謀罪で、警察は一般市民をこの罪で逮捕しないと説明する。警察はいつでも正しい仕事をする。これを疑うのは、やましい行動をしているからだと批判される。権力は暴走するものである。そして、権力は必ず腐敗する。暴走しない仕組みと、腐敗しない風通しの良さの必要性を歴史から学ぶ。正しい仕事をする人は、未来永劫犯罪に手を染めない。一方で、犯罪に関わる人は、高い蓋然性をその生い立ち、乃至は遺伝的特性にある。よって、犯罪者の家族は隔離されるべし。日本で、この手の差別が当然にされていたのは、最近ではないが、それほど昔のことでもない。北朝鮮を笑う理由も見出せないくらい、安倍王朝は似通ってきている。


安倍お友達券は、どこで買えるのだろうか。

2017年5月31日 (水)

「総理は言えないから私が」と首相補佐官が…前次官証言

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画について、前川喜平・前文部科学事務次官が朝日新聞の取材に対し、昨年9~10月に和泉洋人・首相補佐官と首相官邸で複数回面会し、「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」などと言われたと証言した。「獣医学部新設を早く認めるよう求める趣n旨だった」と語った。
昨年9~10月は国家戦略特区での獣医学部新設について、内閣府と文科省の担当者間で協議が続いており、農林水産省などから新設に必要とされる獣医師の需給見通しが示されないとして、文科省が慎重姿勢をとっていた時期にあたる。前川氏の説明や同氏の手元の記録などによると、昨年9月上旬から10月中旬に首相官邸の補佐官室に複数回呼ばれ、いずれも和泉氏と2人きりで面会した。前川氏は昨年9月上旬の面会について、「和泉氏から、獣医学部の新設を認める規制改革を早く進めるように、という趣旨のことを言われた。『加計学園』という具体名は出なかったと記憶しているが、加計学園の件であると受けとめた」と証言。そのうえで「このときに和泉氏から『総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う』と言われたことをはっきり覚えている」と語った。(朝日新聞:5月30日)


獣医学部について考える。


岡山理科大学に獣医学部が新設されることが、政治家とその友人に関わる怪しげな話として話題になっている。獣医師が一部分野で不足することを理由にして、四国という獣医大学がないということと重ね合わせての例外指定、つまり特区という妙な名の制度で認めたという話である。規制緩和を重視する考えを採れば、獣医師会なる既得権益の集団の利益より、社会が受けるであろう利益を重視すれば良い。過当競争が生じて、結果、社会の不利益が生じる場合も無くはないだろうが、それがどうしたと言う話でもある。獣医師という国家資格を有することと、獣医師が国家から守られる存在だということとには、随分と距離があると感じる。少なくともこの国の体制のもとで、後者の様な状況は発生し得ないと確信する。
有資格者の就職先が、犬や猫を扱う動物病院に集中している状況を問題視するなら、獣医師の資格を犬猫と、経済獣と、医療実験用に分ければ良い。それが無理なら、製薬会社が欲しいだけ供給するから数字を出せと厚生労働省が指令を下せば直ちに集計されることだろう。実際のところ、獣医師がどれだけ増えても構わない。この領域の過当競争が、ペットの命を蔑ろにする環境を招くと言うのなら、現在のペットブリーダーから販売店の在り方について真剣に調査するのが良い。どの役所も、暗黒の領域に踏み込む気はないし、自身の所属する省庁の扱う内容でないと逃げ出すだろう。言訳が、既得権の保護に向かい過ぎている。獣医師の質が低下するというのも杞憂である。獣医師の低下は、国家試験で検証すべき事柄だし、定期更新の義務付けでも対応可能である。これをしないのもまた、既得権者の圧力に屈しているということである。
言い訳に難くせをつけてもきりがない。獣医学部を開設予定の岡山理科大学の経営状況について確認してみる。結果を下に示す。

■ 岡山理科大学資金収支推移 (単位:百万円)
年     学納金  補助金  その他 帰属収入合計  人件費  教育研究経 管理  その他  消費支出合計
2015    8,953    716   1,031    10,700      5,266    2,521    590      1    8,378
2014    8,922    784    955    10,662      5,218    2,576    692    141    8,628
2013    8,773    923    754    10,450      5,275    2,722    533    315    8,844
2012    8,426   1,258    636    10,320      5,244    2,650    541    126    8,561
2011    8,065   1,181    555     9,801      6,463    2,722    604    138    9,927
2010    7,739   1,232    370     9,341      4,941    2,802    559    142    8,444
2009    7,275   1,222    515     9,012      5,173    2,725    524    146    8,568
2008    7,351   1,026    512     8,889      5,204    2,809    598    159    8,770


この学校法人は、他にも大学を有するが、岡山理科大学で公表しているから、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学は無関係である。100億円程度を集めて、90億円くらいを使っている大学である。今回のように今治市という既存の大学と異なる立地に校舎建設となれば、計画的に余剰金を蓄えておく必要もあるのだろう。
ところで、獣医学科のある大学の経営がどうなっているかを確認してみる。国内には5つの私立大学に獣医学科がある。この中で、日本大学と北里大学は同じ大学の中に医学部を有しているので覗いて、他の3つの大学について収入の推移で比較してみた。岡山理科大と並べて下に結果を示す。

■ 日本獣医生命科学大学、酪農学園大学収入推移 (単位:百万円)
年     日本獣医大    酪農学園大     麻布大     岡山理科大
2014     4,674       5,486        12,005       10,662
2013     5,884       7,436        15,492       10,450

2012     5,174       6,458        15,968       10,320
2011     4,461       7,678        17,663
        9,801

麻布大学の方が収入が大きい。岡山理科大学の規模による可能性もあると思い、学部限定で在籍者数を確認したのが下である。

■ 岡山理科大学の学部別在学者数
   学部名        在学者数
  理学部          2,235
  工学部          2,157
  総合情報学部      658
  生物地球学部      559
  教育学部         269
  経営学部         144
  --------------------------
  学部計          6,022


理科大学というのだから、理系の単科大学かと思ったら、教育学部もあった。教育学部には小学校教育コースもあり、これだと一般の教育学部と同じである。大学名で内容を決めるのが愚かだということである。教育学部は2016年から、経営学部は2017年から開始である。この二学部で人数が少ないのは、始めたばかりということに尽きる。本来なら600人規模になるところである。
なお、学部に限定したのは、理系学部であっても、私立、地方と重なれば大学院への進学者数が激減するからである。そもそも大学院を置く理由がないと感じるくらいなのだが、その話は別の問題になるのでここまでにする。獣医学科のある三大学との在学者数の比較を下に示す。

■ 獣医学部のある大学の学部在学者数
大学名            学部在学者数    内獣医学科数
岡山理科大学         6,022           -

酪農学園大学         3,545           836
日本獣医生命科学大     1,724           569

麻布大学            2,592           894

岡山理科大学は獣医学部の定員を160名で計画しているから、6年揃った暁には960人ということになる。実のところ160名というのは大きくて、100名強というのが現実的な水準であると思われる。獣医学部が出来て六年後に岡山理科大学がこの学部構成で続いているとすれば、在学生数は8,000人規模ということになる。地方の大学の規模としては大きいが、絶対値として大きい大学ということはない。
獣医学科があることで、大学の運営に大きな負担が生じることが分かる。獣医学科は医師に比べれば収入は圧倒的に低いから、大きな資金と投入して獣医師になるというのも、経済的な合理性は見出し難い。その分、学費が安いという見方も成立するのだろうが、こんな経済原理だけで決めてしまうのは、新自由主義の悪い傾向で、積み残したリスクはみるみる拡大して、将来の社会的損失を生み出す恐れがある。リスクの最小化というのは、多様性以外に選択肢はなく、多様性は非効率とほぼ同義である。学問をするのは、多様性の進行に等しいと思って良く、そこから生み出されるものは、経済的非効率であるが、安定した社会である。安定したが短期的に見れば確実に破綻するから、この論理を潰すのは容易であるが、人間の文明と文化の進歩を百年単位のスケールで見れば、経済合理性だけで選ぶ勇気はなかなか持てないものである。知らないのは最強だから、勇気があったりするものではあるのだが。
ということで、比較の三大学の獣医学科とその他の学科の初年度納入金額を比較する。数字は大学受験パスナビによった。結果を下に示す。

■ 獣医学科のある私立大学の初年度納入金額 (単位:円)
    大学名            獣医学科       他
   岡山理科大学           ―        1,530,000
   酪農学園大学         1,444,000     1,344,000
   日本獣医生命科学大学   2,631,000     1,725,000
   麻布大学            2,577,740     1,824,660


岡山理科大学は愛媛大学と包括的連携・協力協定を締結している。国公立大学の獣医学科は、共同獣医学部 (科) や大学協定を締結している。これは何を示しているかといえば、国内の獣医学科の教育環境が充実していないということで、予算がないから苦肉の策として協力してやっていくことを決めているということである。共同獣医学科の例として、2012年に岩手大学・東京農工大学があり、大学協定として2013年の宮崎大学・東京大学がある。この距離をどう埋めるのかという実務的な問題もあるが、そもそも近くにある大学が例外的な状況にあるから、このような状況になる。
獣医学科で公衆衛生関係の講義をする場合には、医学部が同じ大学にあれば協力可能になるのだが、上記三大学では日本獣医生命科学大が日本医大と同じ学校法人であることを除けば期待できない。岡山理科大学はそれを期待するし、愛媛大学では動物が介在する伝染病の研究に成果を期待しているのだろう。愛媛大学は随分と楽観的である。

岡山理科大学は初年度250万円クラスで獣医学科を考えているのだろう。250万円というのは、200万円でも300万円でもないという程度の話である。他の大学の獣医学科の状況を考えるに、簡単に運びようがない。何かスポンサーが付く理由でも見出しているのだろうか。
過去のブログで書いた京都産業大に獣医学科をつくる話の方が価値を見出し易いと感じるが、大阪に獣医学科があることを理由にされれば仕方ない。本筋は、国公立大学の定員拡大と同時に予算付けをするのが本筋だと思う。理由は、私立大学の進路が、ペット関係によっているのに対し、国公立大学は役所や研究者に進む割合が高いからである。特区の要素を新設大学で満たそうと思うと、本当は難しい。国立大学獣医学科に付属施設を併設するのが筋が良いと思うが、国立大学の定員を増やすというのは、今日的な選択ではないのだろう。


下々の者が動いたことを、上の者がなかったと説明するのは、コントである。

2017年5月10日 (水)

自民・麻生派と山東派が合流へ 額賀派抜き第2派閥に

自民党の麻生派(44人)と山東派(11人)が合流する見通しとなった。派閥を率いる麻生太郎副総理・財務相と山東昭子元参院副議長が3月15日に会談し、合流の時期や新派閥の役員人事を巡って詰めの協議をする。
山東氏は3月10日、国会内で記者団に「一緒になる気持ちを固めた」と述べた。両派のほかに、佐藤勉衆院議院運営委員長ら谷垣禎一前幹事長を中心とする谷垣グループの一部議員も加わる予定。55人の額賀派を抜いて、最大派閥の細田派(96人)に次ぐ第2派閥となる。今国会の閉幕を待って合流する方針。合流後のトップには麻生氏が就く見通しだ。麻生、山東両派のほか、岸田文雄外相が率いる岸田派、谷垣グループの議員は「リベラルな保守中道勢力を結集する必要がある」との方針から合流を念頭に協議を重ねてきた。岸田派は派内の結束を優先し、合流には加わらない方針だ。(日本経済新聞:3月10日)


自民党の派閥について考える。


山東派というのは、三木派―河本派と続く流れの派閥である。三木武雄の政治姿勢は難しいものがあるが、山東派の議員は、それに比べれば随分と保守色が強い。麻生派は、河野派の流れで、河野派は宏池会である宮沢派の分裂で、河野洋平と麻生太郎に政治信条での共通点を見出すのが難しいくらいだから、宏池会の流れというものでもあるまい。自民党が右向け右をしているところで、左に寄る政治家も少なかろう。安倍の政治手法が数ありきに依っているのだから、派閥が数に向かうのは当然ではある。しかし、小選挙区制度での議会議員選挙が実施される中で、派閥の役割は急速に衰え、党執行部の裁量が拡大している。この状況であっても、群れを成さないと如何ともし難いのが政治の世界のようである。逆に言えば、大きな群れに属していれば安泰ということでもある。安倍一強の時代に国会議員になると、こういった嗅覚は鍛えられることだろう。

谷垣が自転車事故で入院し、幹事長を辞めて久しい。嗅覚が強くなくても、身の振り方を考える者は現れるだろうし、身の振り方を考えないという選択肢で生き残りをかけるという者もあるだろう。政治家の病状というのは、漏れたらお終いの世界である。強いプロテクトがあって当然ではある。
一方で、山東はまだ議員だったのかという存在だし、麻生も安倍が二回やっているから私もと思ったとしても不思議ではないが、薹が立つという表現を選ぶのに躊躇する経歴である。政治家が生臭くなくなると、政治家としての生命を終えることになるのだろう。引退を口にしないのなら、脂ぎった活動をすることに価値を見出すのが彼らの価値観ということになる。この脂ぎった生臭さアンテナが、安倍政権がこのまま続くとは思えないと受信したということなのだろう。ただのノイズである可能性も高くあるのではあるが。


山東、麻生がリベラルな保守中道勢力では吹いてしまう。

2017年4月25日 (火)

今村復興相、辞任へ=震災「東北で良かった」発言で-安倍政権に打撃

今村雅弘復興相は4月25日、東日本大震災について「東北で良かった」などと発言した。この後、発言を撤回し、責任を取り辞任する意向を固めた。安倍晋三首相は早急に後任の人選に入る。被災地では強い反発が出ており、震災復興を最重要課題に位置付ける安倍政権にとって大きな打撃となる。
今村氏は25日夕、東京都内のホテルで開かれた自民党二階派のパーティーで講演し、東日本大震災について「(発生場所が)東北の方だったから良かった。これがもっと首都圏に近かったりすると莫大な、甚大な被害があった」と述べた。今村氏は講演後、記者団の取材に対し、発言を撤回し謝罪する一方、いったんは辞任を否定した。だが与党の公明党からも「政治家として自ら出処進退を決断すべきだ」(大口善徳国対委員長)との声が出たことを受け、辞任を決断した。(4月25日)


政治家の発言について考える。


東北で発生した先の地震が、首都圏を震源とした場合との仮定で比較すれば、被害の大小は想像するまでもない。しかし、それを持って幸いという言葉を選ぶ理由には成り得ない。少なくとも、今村が発言を求められている立場は復興大臣であることによる。それでこの程度をよしとする思想に基けば、被害を受けた人達が、受け入れなければならないもので、国はこれ以上何も支援しないと理解するよりない。それなら復興大臣などという職は不要である。復興大臣というのは、復興に関して国は手を貸さないとする説明と、拒絶を担当する立場であると理解するなら、今村は正しい発言をしたと言える。実際、つい先ごろ、自己責任と被害者を切り捨てる様な発言をしている。前回は擁護した任命者の安倍は、日和ってしまって直ちに不適切な発言だと表明してしまった。復興する気がないのにある振りをするのは、余分な期待を膨らませる分、罪作りである。
今村が不適切だと認識していなかったのは、講演の後にマスコミに囲まれて指摘された際に、どこが問題なのか認識しきれないでいて、訂正しろというなら訂正するという態度に表れていた。東京大学法学部卒業の今村に教えてやるというのは、随分と失礼に思われるだろうが、単純な状況判断機能は大学では学べないものである。問題発言か否かを判断するのは、東北を今村の出身地の佐賀に置き換えて、地元の後援会でスピーチ出来るかで容易に判断可能だ。今村が佐賀で起きた地震で多くの被害が出たことに対し、福岡の都市部でなくて、こっちの方で起きたのが幸いしたと発言できるだろうか。

今村は、佐賀県鹿島市生まれで、佐賀県立鹿島高等学校、東京大学法学部卒業し、1970年、日本国有鉄道に入社している。国鉄では主に人事・労務関係の部署に所属したという。民営化後は、九州旅客鉄道で経営管理室長や関連事業本部企画部長を務めたという。東大を出て、当時の三公社五現業に就職するというのは、気位の高さを感じさせるルートである。発言にも感じさせるものがある。
今村が今回発言したのは、特別に注意する必要がないと考えていたからであろう。前回の自己責任の件で、特段の処分はなかったのだから、そう理解していて当然である。それが、安倍からいきなりクビにされた形だから不本意であろう。衆議院議員であるが、九州ブロックの比例選出であるから、70歳であることを考えると次回の選挙で公認を得られるかは厳しいところだろう。つまり、今回の大臣就任が花道であった可能性が高い。これでお終いということになるのだろう。

安倍晋三と昭恵夫人の学校法人に関する問題で、あの程度で済んでいるのだから、少々のことは問題にならないと思った者がいても不思議はない。しかし、大臣では駄目だ。なんだか、問題発言が続きそうな気配ではあるが。


安倍だって同じ考えだ、と大声で叫んでも、何も得られないのが国会議員である。

2017年4月17日 (月)

「一番のがんは文化学芸員」 山本地方創生相が発言

山本幸三地方創生担当相は四月十六日、大津市のホテルで地方創生に関するセミナーに出席し、外国人観光客らに文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」などと発言した。学芸員やがん患者らに対して不快感を与えかねない発言。不適切だとして野党側が追及するのは必至だ。
セミナーの質疑応答で、観光振興について問われ、山本氏は「文化や歴史を理解してもらう観光が最も長続きする。文化財をきちんと説明できるかが勝負」と回答した。その上で、外国人に十分な説明ができていないと指摘。大英博物館も学芸員を辞めさせて成功したとして批判した。山本氏は終了後、報道陣に「二条城(京都市)でも当時の生活を再現しようとしたら学芸員が反対した。彼らだけの文化財にしてしまっては資源が生きない」と指摘。「『一掃』は言い過ぎたが、文化財はプロだけのものではない。学芸員も観光マインドを持ってほしい」と釈明した。(東京新聞:4月17日)


一番のがんについて考える。


組織のガンという表現は古くから見られる表現である。半世紀くらい前にはあったと思う。あるいはそれ以前だろうか。先にこのガンの治療状況から確認する。ガンの治療効果が高いのは、初期に発見したものであることが知られる。基本的に治癒と言う表現が難しい病気である。医療の世界では、5年以上寛解の状態が続いたことをもって治ったと思うことにしている。一般に用いられる5年生存率は、5年経っているが再発している事例が含まれることになるが、厳密な解釈より、一般的な傾向を確認することが重要と考え、ごく初期の状態であるステージ1と診断されたガンについて、5年生存率の比較をまとめたのが下である。

■ ガンステージ1における5年生存率比較
           5年生存率  手術をした場合
  食道癌      75.4       81.5
  胃癌       97.0       98.1
  大腸癌      98.7       99.2
  肝臓癌      55.9       70.3
  胆のう癌     62.6       67.3
  膵臓癌      31.9       40.7
  喉頭癌      94.3       94.8
  肺癌       80.4       83.5
  乳癌(女性)   98.8       99.0
  子宮頸癌    92.7       93.6
  子宮体癌    95.3       95.6
  卵巣癌      89.1       89.0
  腎臓癌      97.5       98.5
  膀胱癌      93.2       93.1
  甲状腺癌    100        100


ステージ1の定義に微妙な解釈が存在するが、気にしないで進めることにする。ガンが漢字になっているのは、気分の問題なので無視して欲しい。成績の悪いのは、肝臓癌、胆のう癌、膵臓癌である。これらを除くと手術可能であれば9割を超えるものがほとんどである。福島県の子供で問題にされる甲状腺癌はとっても成績が良い。放射性物質による内部被曝による影響が懸念される病気であるが、仮になってもその後の成績が良い。それでもQOLが下がってしまうという指摘もあるだろうが、他の癌に比べれば低下の度合は著しく小さいとされる。福島県の子供に関する放射線被曝被害を疑う団体は、癌の特性についても認識しておく必要がある。甲状腺癌が問題ないという話ではないが、深刻にとらえる人が多くなるように誘導していると感じるのである。

さて、癌に関する治療は、早期発見でないと治療成績が悪いことが分かる。早期に治療に罹れば、その後のQOLも下がらずに済むというものである。山本の発言は、ガン患者について、感染症のように広がる可能性がある印象を持たせてしまう点で、大きな誤解を生む可能性がある。ガンが伝染病でないことなど明らかで、ガンが体内の色々な部位に転移する様を言っているのは承知しているが、それだと学芸員が組織を壊してしまい、文化財を価値のないものにしてしまうと理解するよりない。学芸員の重要な仕事の一つに、文化財の保護があるのだから、人目にさらされないように保護する傾向の強い学芸員がいても不思議ではない。それは、山本からすれば観光に貢献しない組織のガンであるのだろうが、文化財を観光目的に晒すことで破壊されてしまっては、要件の一つを放棄したことになる。保管と調査研究だけしていると言いたいのかもしれないが、それならそう言えば良い。
単純な結論になるが、山本の業務理解の浅さが知れる。それに、地方創生に文化財で観光に大きな貢献が期待するというのなら、具体的な事例を示してみれば良い。集客力が期待できる文化財は、東京や京都などの都市部に集中していて、地方には目玉になる文化財が少ないのが現状だろう。地方都市で、文化財を周辺から集めるイベントを行えば、相応の集客もあるかもしれないが、そんな提案をした、あるいは検討した形跡はないから、口の利き方が気に入らない学芸員を、別の場所でくさしただけの出来事と見るのが妥当なのだろう。気位ばかり高くて、モノを考える習慣の乏しい御仁ということである。


そういえば、桜を見る会が企画されて、首相とサクラ芸能人が集まったそうだ。安倍はそこで、川柳を披露している。

  風雪に 耐えて五年の 八重桜

マスコミ報道では、5年とアラビア数字表記がほとんどである。東京新聞は五年とあるので、プレスリリースした訳でもないのだろう。5年はちょっと困ってしまうが、皮肉ということなのだろうか。まあ、最大の皮肉は、これを俳句を披露と報道していることである。俳句として読めば、風雪が冬の季語で、八重桜は春で、それも桜の中で最も遅く咲くものである。季語の扱いが無茶苦茶である。風雪は冬を指すものではなく、比喩的表現として、きびしい試練を意味するのは当然だが、紛れを避けるのが作法というものである。
額面通り解釈すれば、雪の舞う中を五年も耐え続ける八重桜である、ということになろうか。これだと、安倍の意図するところは、五年の間、苦しいこともあったが、今日、鮮やかに花開いたというところになる。風雪は、寒い時期を超えてという別の言葉に置き換えるのが相当だし、五年間じっと耐えて桜が咲いたでは、去年は咲かなかったのかいとなる。そこで、難解な意図を想像を巡らせれば、五年間辛いことが多くて、季節の変化にも気付かずにいたが、見上げて見れば八重桜が満開に咲いている、ということになろうか。オツムも緩いが、情緒にも欠ける。


オツムの緩い首相も、気位の高い地方創生担当相も、政治マインドを持って任務に当たって欲しい。

2017年4月 4日 (火)

テーマパーク、入場者数で明暗 16年度

国内二大テーマパークの明暗が分かれた。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市、TDR)の2016年度入場者数は2年連続で前年割れ。昨年4月の値上げが響いた。一方でユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市、USJ)は過去最高を更新した。大型投資で客足を呼び込んだUSJにひとまず軍配が上がった格好だ。
TDRの昨年度入場者数は前年度比0.6%減の3000万人。16年度上期(4~9月)は台風の影響もあり前年同期比0.3%減と苦戦した。下期(10~3月)には東京ディズニーランド(TDL)で今年の1~3月に開催した「アナと雪の女王」の期間限定イベントなどが好調だったが、0.9%減と回復には至らなかった。(日本経済新聞:4月4日)


テーマパークについて考える。


二大テーマパークの年間入場者数の推移から確認する。結果を下に示す。

■ 入場者数推移 (単位:千人)
    年      USJ     TDR
  2001年度   1,1029    22,047
  2002年度    7,637    24,829
  2003年度    9,889    25,473
  2004年度    8,100    25,021
  2005年度    8,314    24,766
  2006年度    8,698    25,816
  2007年度    8,640    25,424
  2008年度    8,138    27.221
  2009年度    7,500    25,818
  2010年度    7,500    25,347
  2011年度    8,800    25,347
  2012年度    9,750    27,503
  2013年度   10,500    31,298
  2014年度   12,700    31,377
  2015年度   13,900    30,191
  2016年度   14,600    30,000


TDRの入場者の年間3万人というのは、これ以上入場者が増えると待ち時間が著しく伸びるという限界値になっているのではないだろうか。2016年4月に1日券を500円値上げしたというが、これが本質的な問題ではないだろう。この手のテーマパークの支払額がらすれば、500円は支配的な要因には思えない。つまり、TDRは新しいアトラクションを追加して、テレビCMを流すことと、テレビ番組内に取り上げて貰うことを併用して認知度を高めてきたが、放送されると混むことをリピーターは知っているから避けられるという結果になる。場所を大幅に広げることも難しいことを考慮すれば、人数はもう少し減っても不思議はないということになる。
この状況は認識されているらしく、人気の高いイベントを打ち出したものの、結果的には混雑状況が悪化したことで、リピーターの定着に向わない結果となった。混雑緩和を実現するのは難しい課題になるから、新しいことをしない方向に行くという選択を取ることになるが、それでは入場者数の減少になるから、結局のところ、何をしても入場者数は減少するのがTDRの置かれて状況ということになる。ベースにあるのは、人手不足というのもある。時給引き上げに踏み切るそうだが、そもそもTDR好きを安く使おうとしている印象があったのだから、一般の労働環境になったというだけだろう。TDRに行くのが好きな人が、TDRで働きたい人だとは思えない。これはどんな仕事にも共通する。TDRは巻き返しを図り2020年までに約2,500億円の大規模投資をするという。毎年500億円の投資計画で、300億円は施設改修にまわす計画になっている。屋外での暑さ、寒さ対策や温水便座の導入などといったソフト面の充実を図るという。それでも、増える対策というより、減らない対策の印象である。

USJの方はというと、過去最高を更新している。新しいアトラクションと、映画作品とリンクして、訪日外国人の集客力を維持している。ハリウッド映画やAKB48の常設ライブ、少年漫画誌のイベントと、新たな試みを幅広く実施している。幅広くというのは褒めているが、節操も無くの方が印象を正しく表現している。入場料を値上げするなど、TDRよりお手頃ということはなくなっている。面積がTDRに比べて狭いことを考慮すれば、年間入場数が2万人を超えると、混雑に対する不満が出てきそうである。大阪市此花区の気象条件がどんな具合か想像もつかないが、夏は暑いし、冬は寒いだろう。高原リゾートでは冬の営業は困難だし、南の島でも、冬は結構寒かったりする。そして、夏には台風が来る。難しいところである。


結構行列に並ぶのが好きな人が来場者だと思っている。それでも、限度があるのか。

2017年3月14日 (火)

稲田防衛相、森友問題の答弁「訂正し、おわび」

稲田朋美防衛相は3月14日午後の衆院本会議で、学校法人「森友学園」(大阪市)の民事訴訟への関与を否定した自身の答弁を訂正した。「私の全くの記憶に基づき答弁したもので、2004年に夫のかわりに出廷したことを確認できた。訂正しおわびする」と述べた。
これに先立ち、安倍晋三首相は「稲田氏にはしっかり説明責任を果たし、今後とも誠実に職務にあたってもらいたい」として、辞任を否定した。民進党の升田世喜男氏への答弁。(日本経済新聞:3月14日)


稲田朋美について考える。


記憶が定かでないのなら、確認して回答すると答弁すれば良い。確信があって答弁して否定したのなら、嘘を付いたと指摘されても仕方ない。結果責任というのはそういうものだろう。訂正してお詫びすれば済むという話なら、この先、大臣が何を言っても、その後訂正されることが当たり前になされることになる。その影響を考えたら、最初の答弁で、お気軽に言葉にしないものである。古い政治家からすれば、信じられない軽い行動と言葉であろう。
実務的に考えれば、森友学園との取引関係があるのは承知しているが、そんなことは調べても出てこない事柄だから、無かったことにして議論を強制終了してしまおうという話と想像する。法律家としての取引があっても批難されるような、反社会勢力でもない。少なくとも、少し前には良い教育をする法人であると公言していた筈だ。それを不都合な事実として隠し、表になったら記憶違いで済ます。お気軽な議員であり、大臣である。


この程度の記憶力の法律家に仕事を依頼する人がいるのだろうか。

2017年3月13日 (月)

三越伊勢丹の杉江次期社長「多大な責任を痛感」 記者会見

4月1日付で社長に昇格する三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦取締役専務執行役員(56)は3月13日、都内で記者会見を開いた。冒頭で杉江氏は「多大な責任を痛感している。身の引き締まる思いだ」と述べた。その上で「持続的な成長を遂げるためには、さらなる百貨店の生産性の向上と新たな成長事業による収益向上が急務だ」と語り、構造改革を進める考えを示した。
三越伊勢丹は7日、大西洋社長の辞任と杉江専務の社長昇格を発表。任期途中の辞任を巡っては、大西氏が進めた新規事業の拡大路線に対し、現場の不満を受けた労働組合が石塚邦雄会長を通じて大西氏に辞任を要求したと伝わるなど、経営を巡る混乱を懸念する声が広がっていた。(日経QUICKニュース:3月13日)


三越伊勢丹ホールディングスについて考える。


前社長の大西洋は、1955年生まれで1979年に伊勢丹に入社している。一方、新社長の杉江俊彦は、1961年生まれで1983年に伊勢丹に入社している。もう一人の出演者である石塚邦雄は、1949年生まれで1972年に三越に入社している。伊勢丹と三越の合併は、伊勢丹による三越の救済合併であったから、伊勢丹が主体の役員構成、少なくともトップに関しては、となる必然性がある。伊勢丹は衣料関係の商品開発に自信を持つ会社であり、実績も十分あったのだが、このことが逆に働くこともあり、他の百貨店が店舗の場所貸しで多くの収入を安定的に得る方向に舵を切ったのに対し、この様な業態を嫌ったことで中国人観光客の大量購入が減った状況でマイナス因子となった。合併した企業体にありがちな経営判断の遅さも問題としてあったろう。古い伝統的な企業の保守的な考えには、大西の新しい経営思想が受け入れらるには長い時間が必要だったということか。
保守的な会社なら、保守的な部分をかっちりと固めて、日本橋三越は外商主体の上級顧客向けに整えば良い。ついこの間まで社内での待遇も低かった三越組でも、活かせる職場を提供すれば良い。それが会社に貢献できるのなら不満はない。進歩的な百貨店の伊勢丹でも、この程度のというには進んだ保守性の高い組織であるのだから、進歩的な百貨店など目指さずに、日本で最も伝統的な百貨店を構築すれば良かった。売り上げは限定的であろうが、他の店はユニクロにすれば良い。

日本橋三越に平日行ったことがある。品の良いご婦人が、娘か嫁と思しき者を従えて買い物をしていた。もう十年も前の話だ。その頃でも、顧客年齢の高さが問題になっていた。いまではそれが十年進んだということだ。確実に市場は限定されている。それでも、大丸や松坂屋では困る人もあろう。高島屋や東武の外商顧客もひきつければ一店舗相当の売上を維持するのは難しくもあるまい。否、難しいだろうが、それに挑戦するというのが、この国の百貨店の仕事だったのではあるまいか。


先進的なというのが、最も保守的なものであっても驚かない。しかし、評論家の先進的ではない。

2017年3月 6日 (月)

PSA、2650億円で独オペル買収 GMは欧州撤退

フランスの自動車大手グループPSA(旧プジョーシトロエングループ)は3月6日、米ゼネラル・モーターズ(GM)の欧州子会社、独オペルを買収すると発表した。GMは欧州から事実上撤退し、世界販売台数は独フォルクスワーゲン(VW)、トヨタ自動車に次ぐ3位から、日産自動車・仏ルノー・三菱自動車連合に抜かれ4位に落ちる見通しだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定以降、大型企業の初の撤退案件となる。
買収総額は22億ユーロ(約2650億円)。内訳はオペルの英国ブランド「ボクソール」を含む本体が13億ユーロ、GMの欧州金融事業が9億ユーロ。金融事業はBNPパリバと共同で取得する。買収でPSAの売上高は700億ユーロを超える。年間販売は430万台になり、欧州ではVWに次ぐ2位に浮上。オペルブランドを存続させ、「DS」「プジョー」「シトロエン」に続く4番目のブランドに位置づける。オペルは赤字続きだったが、規模拡大で相乗効果を引き出せると判断した。共同調達や車体共通化、生産、研究開発での協力を通じて年17億ユーロのコスト削減を見込む。当面はオペルの工場閉鎖や人員削減はしない方針。2020年までに営業利益率を2%、フリーキャッシュフローを黒字にし、オペルを再建すると表明した。欧州で足場を固め、中東やアジアでシェア拡大に注力する。パリのPSA本社で記者会見したカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は「PSAのノウハウでオペルを再生させる」と強調。GMのメアリー・バーラCEOは「難しい決断だったが、GMには良い選択になると確信している」と語った。(日本経済新聞:3月6日)


欧州の自動車メーカについて考える。


Opelが欧州GMになったのは1929年である。ドイツの民族資本の自動車メーカというには、米国資本の下である期間が長い。英国GMであるVauxhalがGM傘下になったのは1925年で、Opelよりさらに古い。欧州市場が国ごとに独立した市場であった時代には、ドイツと英国の市場は別のものであったのだろうが、EUが議論されるようになった時代には、国境の概念がこの地域においては薄くなってしまった。ドイツとフランスと英国の違いなど、自動車会社にとっては無いに等しいものなのだろう。
欧州GMとグループPSAの販売台数推移を確認する。下に結果を示す。

■  欧州GM (Opel/Vauxhal) とグループPSAの販売台数推移
   年     Opel/Vauxhall   PSA
  2016     984,769    1,467,414
  2015     934,368    1,470,713
  2014     880,974    1,475,332
  2013     823,902    1,447,532
  2012     835,855    1,587,597
  2011     996,566    1,801,245
  2010    1,006,683    1,907,600
  2009    1,053,306    1,876,968
  2008    1,135,535    1,848,396
  2007    1,323,698    2,029,121
  2006    1,322,316    2,021,000
  2005    1,423,665    2,119,629
  2004    1,454,346    2,178,989
  2003    1,346,836    2,120,040
  2002    1,386,364    2,185,189
  2001    1,551,912    2,152,245
  2000    1,537,067    1,940,880


米国GMの2009年のチャプター11の申請で、欧州GMの整理対象になった。身を軽くするのは企業再生の最初の一歩であるが、GMはOpelの将来性に価値があると判断し、自力再建に急転舵を切った。その前から販売台数の不振が認められるが、Opelの規模というのは、100万台というのが実際的なレベルと考えた方が良さそうだ。2000年の150万台は大き過ぎるように見える。整理もされたのだろうが、欧州市場に元気がないという事情も影響していよう。
一方PSAはというと、もともと欧州市場への依存度が高いメーカであり、加えて、フランス、イタリア、スペインが欧州市場での販売台数の半数という偏りが大きい。その昔は、アフリカ市場で一定の量を確保してきたが、現在ではそうでもないのだろう。PSAの決算資料から、グループの販売台数の地域割合を下に示す。

■ PSAの販売台数地域セグメント分布
                     2015      2016
  Europe               63%       61%
  China - South East Asia    25%       20%
  Middle East - Africa        6%       12%
  Latin America            5%        6%
  India - Pacific           1%        1%
  Eurasia                0%        0%

欧州が六割である。2014年に中国の東風汽車と資本提携を締結したことで、中国の割合が増加している。これ以外の地域の台数は限定的になっている。フランスの国内市場だけ見ていた企業が、EUになって域内の競争力がありそうな地域に販売を広げたが、国際競争とEU域内の景気の悪さもあって、成長が期待できる中国に進出することを考えて合弁会社をつくったという話である。2012年にGMと資本提携をしていて、GMの欧州撤退により、販売の弱いドイツ市場を押さえることに期待しているということのようだ。
売上高の推移を確認する。Opelは米ドルで、PSAはユーロである。結果を下に示す。

■ 売上高推移 (単位:million)
  年    Opel/Vauxhall (US$)    PSA (€)
  2016     18,707             54,030
  2015     18,704           54,676
  2014     22,235           51,592
  2013     20,110           53,079
  2012     20,689           55,446
  2011     25,154           58,509


為替の問題が生じてしまう。1ドルが1~1.5ユーロ程度は変わってしまうから、判断に苦しむが、Opelが半分くらいの売上と思って大きくは外れないようだ。(当たってもいない)
今回の買収で、Opelの本体価格が13億ユーロというのは、お買い得な気もするが、引き取り手のない会社である。高いという見方も成立するだろう。Opelがドイツ、英国以外での販売経験がないこと、PSAのモデルとサイズ・価格帯が重なることは、Opelの再生に効果的である可能性があるが、PSAモデルの足を引っ張るだけに終わる可能性もある。事業譲渡は判断が難しい。


規模の論理ですべての説明が出来るほど単純ではない。

2017年3月 2日 (木)

森友学園問題、首相「会計検査院が審査を」 党内調査に否定的

安倍晋三首相は3月2日午前の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」(大阪市)が大阪府豊中市の国有地を評価額より大幅に安く取得した問題を巡り、自民党総裁として党内の調査に否定的な認識を示した。「会計検査院がしっかり審査すべきだ。それに全面的に対応するのが政府としてできる最大限のことだ」と述べた。
共産党の小池晃書記局長への答弁。小池氏は1日に続き、自民党議員事務所の学園側との面談記録とする資料をもとに、政治家の働きかけの有無を追及した。首相は自らの関与についても「再三申し上げている通りだ」と改めて否定した。自民党総裁として「わが党の議員が関わっていたら本人に説明責任を果たさせる」とも語った。小池氏は1日の質疑で示した資料が自民党の鴻池祥肇参院議員の事務所の面談記録だと明らかにした。記録では、学園の籠池泰典理事長らが国有地の賃料や売却額を下げるよう繰り返し要望していた経緯が含まれている。2日の質疑では近畿財務局が鴻池氏の事務所に経過報告を複数回したとの記録も新たに紹介した。
財務省の佐川宣寿理財局長は、籠池氏と理財局の担当者が昨年3月半ばに財務省で面会していたことに関し「政治家の関与は一切無い」と言明した。佐川氏は面会の内容について「学校建設がスムーズに進むよう、埋設物に対応してもらいたいとの趣旨だった。具体的な見積もりなどの中身はなかった」と説明した。(日本経済新聞:3月2日)


財務省について考える。


国有財産の処分を行ったのは財務省である。政治家の関与があったか否かに関わらず、事実関係を明らかにする責任は、この行政機関にあるのは明らかである。記録を既に処分したという巧みな理屈を持ち出しているが、記録がないのなら掘り起こして明らかにするのが公務員の仕事である。会計検査院の出番はその先の話だ。
政府は財務省に事実関係を明らかにすることを、期限をきって命じる責任がある。その日時までに完了しないのなら、それまでの事実を公表すれば良いし、それが何もないというのなら、記録がないから有利にも不利にも任意に解釈される危険性があることを受け入れると宣言すれば良い。それは法的に問題あるとする意見も出てくるだろう。公務員が記録を残すのは、適切な仕事を実施したことで、自身が罰せられることがないようにする為のものである。そえを自ら放棄しているのだから、不利に解釈される危険を受け入れたと理解されて当然だろう。

自民党は政治結社であるから、自分が不利になる証言などしないだろう。党員には黙秘権がある。公務員に関わった仕事について黙秘権があるなどとは考え難いが、この手の法律解釈は複雑なものになるのは経験しているので踏み込まない。
単純な話として、行政の責任者が公務員に命じる。従わないのなら、その事実を公表する。処分するか否かはその後で良い。処分されると思わなかったから話さなかったという公務員も出るだろう。それなら話を聞こうではないか。


黒い公務員もいそうだ。

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