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2017年4月17日 (月)

「一番のがんは文化学芸員」 山本地方創生相が発言

山本幸三地方創生担当相は四月十六日、大津市のホテルで地方創生に関するセミナーに出席し、外国人観光客らに文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」などと発言した。学芸員やがん患者らに対して不快感を与えかねない発言。不適切だとして野党側が追及するのは必至だ。
セミナーの質疑応答で、観光振興について問われ、山本氏は「文化や歴史を理解してもらう観光が最も長続きする。文化財をきちんと説明できるかが勝負」と回答した。その上で、外国人に十分な説明ができていないと指摘。大英博物館も学芸員を辞めさせて成功したとして批判した。山本氏は終了後、報道陣に「二条城(京都市)でも当時の生活を再現しようとしたら学芸員が反対した。彼らだけの文化財にしてしまっては資源が生きない」と指摘。「『一掃』は言い過ぎたが、文化財はプロだけのものではない。学芸員も観光マインドを持ってほしい」と釈明した。(東京新聞:4月17日)


一番のがんについて考える。


組織のガンという表現は古くから見られる表現である。半世紀くらい前にはあったと思う。あるいはそれ以前だろうか。先にこのガンの治療状況から確認する。ガンの治療効果が高いのは、初期に発見したものであることが知られる。基本的に治癒と言う表現が難しい病気である。医療の世界では、5年以上寛解の状態が続いたことをもって治ったと思うことにしている。一般に用いられる5年生存率は、5年経っているが再発している事例が含まれることになるが、厳密な解釈より、一般的な傾向を確認することが重要と考え、ごく初期の状態であるステージ1と診断されたガンについて、5年生存率の比較をまとめたのが下である。

■ ガンステージ1における5年生存率比較
           5年生存率  手術をした場合
  食道癌      75.4       81.5
  胃癌       97.0       98.1
  大腸癌      98.7       99.2
  肝臓癌      55.9       70.3
  胆のう癌     62.6       67.3
  膵臓癌      31.9       40.7
  喉頭癌      94.3       94.8
  肺癌       80.4       83.5
  乳癌(女性)   98.8       99.0
  子宮頸癌    92.7       93.6
  子宮体癌    95.3       95.6
  卵巣癌      89.1       89.0
  腎臓癌      97.5       98.5
  膀胱癌      93.2       93.1
  甲状腺癌    100        100


ステージ1の定義に微妙な解釈が存在するが、気にしないで進めることにする。ガンが漢字になっているのは、気分の問題なので無視して欲しい。成績の悪いのは、肝臓癌、胆のう癌、膵臓癌である。これらを除くと手術可能であれば9割を超えるものがほとんどである。福島県の子供で問題にされる甲状腺癌はとっても成績が良い。放射性物質による内部被曝による影響が懸念される病気であるが、仮になってもその後の成績が良い。それでもQOLが下がってしまうという指摘もあるだろうが、他の癌に比べれば低下の度合は著しく小さいとされる。福島県の子供に関する放射線被曝被害を疑う団体は、癌の特性についても認識しておく必要がある。甲状腺癌が問題ないという話ではないが、深刻にとらえる人が多くなるように誘導していると感じるのである。

さて、癌に関する治療は、早期発見でないと治療成績が悪いことが分かる。早期に治療に罹れば、その後のQOLも下がらずに済むというものである。山本の発言は、ガン患者について、感染症のように広がる可能性がある印象を持たせてしまう点で、大きな誤解を生む可能性がある。ガンが伝染病でないことなど明らかで、ガンが体内の色々な部位に転移する様を言っているのは承知しているが、それだと学芸員が組織を壊してしまい、文化財を価値のないものにしてしまうと理解するよりない。学芸員の重要な仕事の一つに、文化財の保護があるのだから、人目にさらされないように保護する傾向の強い学芸員がいても不思議ではない。それは、山本からすれば観光に貢献しない組織のガンであるのだろうが、文化財を観光目的に晒すことで破壊されてしまっては、要件の一つを放棄したことになる。保管と調査研究だけしていると言いたいのかもしれないが、それならそう言えば良い。
単純な結論になるが、山本の業務理解の浅さが知れる。それに、地方創生に文化財で観光に大きな貢献が期待するというのなら、具体的な事例を示してみれば良い。集客力が期待できる文化財は、東京や京都などの都市部に集中していて、地方には目玉になる文化財が少ないのが現状だろう。地方都市で、文化財を周辺から集めるイベントを行えば、相応の集客もあるかもしれないが、そんな提案をした、あるいは検討した形跡はないから、口の利き方が気に入らない学芸員を、別の場所でくさしただけの出来事と見るのが妥当なのだろう。気位ばかり高くて、モノを考える習慣の乏しい御仁ということである。


そういえば、桜を見る会が企画されて、首相とサクラ芸能人が集まったそうだ。安倍はそこで、川柳を披露している。

  風雪に 耐えて五年の 八重桜

マスコミ報道では、5年とアラビア数字表記がほとんどである。東京新聞は五年とあるので、プレスリリースした訳でもないのだろう。5年はちょっと困ってしまうが、皮肉ということなのだろうか。まあ、最大の皮肉は、これを俳句を披露と報道していることである。俳句として読めば、風雪が冬の季語で、八重桜は春で、それも桜の中で最も遅く咲くものである。季語の扱いが無茶苦茶である。風雪は冬を指すものではなく、比喩的表現として、きびしい試練を意味するのは当然だが、紛れを避けるのが作法というものである。
額面通り解釈すれば、雪の舞う中を五年も耐え続ける八重桜である、ということになろうか。これだと、安倍の意図するところは、五年の間、苦しいこともあったが、今日、鮮やかに花開いたというところになる。風雪は、寒い時期を超えてという別の言葉に置き換えるのが相当だし、五年間じっと耐えて桜が咲いたでは、去年は咲かなかったのかいとなる。そこで、難解な意図を想像を巡らせれば、五年間辛いことが多くて、季節の変化にも気付かずにいたが、見上げて見れば八重桜が満開に咲いている、ということになろうか。オツムも緩いが、情緒にも欠ける。


オツムの緩い首相も、気位の高い地方創生担当相も、政治マインドを持って任務に当たって欲しい。

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