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2017年3月 7日 (火)

自民たばこ議連、禁煙義務化に反発 分煙維持の対案発表

厚生労働省が検討している受動喫煙防止策を罰則付きに強化する法改正案をめぐり、自民党の「たばこ議員連盟」(会長=野田毅・前党税制調査会長)は3月7日、飲食店は禁煙・分煙・喫煙から自由に選べ、表示を義務化する「対案」を公表した。「世界最低レベル」(世界保健機関)とされる日本の現状を追認する内容。政府・与党内の調整は見通しが立たず、厚労省は法改正案の10日の閣議決定をひとまず断念した。
同議連は、たばこ業界の発展と販売者の生活を守るため、衆参約280人の国会議員が所属、この日の臨時総会には100人以上が参加した。議連案は基本理念として、「喫煙を愉しむこと」「受動喫煙を受けたくないこと」はともに国民の権利だとして分煙を推進、小中高校や病院でも喫煙専用室を認めている。厚労省案は小規模なバーなどを除き、飲食店は原則屋内禁煙だが、野田会長は「(厚労省案を)このまま通すわけにはいかない。生計の基盤を損なわれてしまいかねない関係者は多い」と話した。
たばこ議連の対案公表を受け、厚労省は同日夕、会見を開いた。担当者は「対案では対策は不十分だ。子どもや、がん・ぜんそくの患者、国民の8割を超える非喫煙者の健康が、喫煙者の喫煙の自由よりも後回しにされている現状が変わらない」と訴え、「(厚労省案を)ご理解をいただけるようにしっかりと説明をしていきたい」と話した。(朝日新聞:3月7日)


たばこ議員連盟について考える。


受動喫煙の健康への影響が問題になり、タバコに関する規制が強化されてきている。喫煙者でないので気にはならないが、少しヒステリックな印象は持っている。適切な分煙は進めて欲しいし、路上での喫煙に制限が掛るのは当然だとは思う。喫煙の権利を主張するなら、禁煙の権利の主張も正当だろうと思うし、道路は灰皿ではないし、群衆の中を火を振り回して良い理屈もない。
さて、禁煙側から見て行こう。禁煙側の論理として、健康被害に関する事柄が目立つ。吸わない人が巻き添えをくうのはあんまりだから、分煙の必要性については合意する。喫煙者の健康被害については、自己責任に留めて良い気もする。癌の発症リスクが高まることで、健康保険料の組合側 (すべて組合として進める) が支払う費用が増大するとする論理もある。これは少し疑問がある。癌になって、発症後長く生きなければ保険負担は限定的になる。一方で、癌にはならなかったが寝たきり状態で生きている期間が増えれば、健康保険料は少なくすむこともあろうが、介護保険料の支払いは大きくなりそうである。何を言いたいかといえば、癌になってもならなくても、いずれは死ぬのだから、健康保険組合の負担が大きいか小さいかは、費用を要する治療が実施されるか、長期の入院がなされるか、という点による。癌になって、発症したが手の施しようもなかった、という事例であれば、相対的には健康保険組合の負担は小さいことになる。ということは、喫煙者には、健康診断の受診などせず、健康に不安があるような症状が出ても病院には近付かず、どうにもならなくなったときに病院に行くと、医師が手遅れですと言うのが費用抑制効果が最大化することになる。癌の発症リスクは高まるが、認知症などで寝たきりになる可能性が極端に低いというなら、このストーリーに当てはまることになる。なんだか、大麻解禁の話と似ている気がしてきた。覚醒剤だって、他人を傷付けることがないなら、自分の勝手という論理に近付いてきている。他人に迷惑を掛けるのだから、この論理は成立しないのだが。医療費の増大の論理は、手遅れ状態ではなく、治療可能な状態で見つかる例が増えれば医療費が増えるという単純な論理で理解するのが良さそうだ。癌が治療可能な病気というのは、医療機関で見掛けるポスターであるが、そうは言っても5年生存率が高い数字で示されるのは、初期で見つかった例に限定されるという事情はある。発症後の治療により寛解と称される状態になるのが、医療提供者側からすれば良好な結果であるのだろうが、再発のリスクは、癌になっていない人に比べて高いと推定される場合が多いようだ。医療機関がQOLという言葉を出すときは、どのあたりで折り合いを付けるか、つまり、何を我慢するかのステージであるということだ。死ぬよりタバコを喫いたいと患者が言ったら、何と答えるのかという疑問は残る。
一方で、喫煙側の論理は旗色が悪い。たばこ議員連盟が発足したときの報道を確認すると、参加した議員の発言として、以下の様な言葉が紹介されていた。

「昨今、たばこがいじめられている。販売店は高齢化している し、応援団を作らなければならない」
「弱者の立場で仕事をする…、今のたばこ業界がそれだ」
「たばこ業界がこうなってしまったのは、政治による“政策的な構造不況”であり、これ以上の規制をやるべきではない」
「地方自治体に とって、たばこ税のありがたみは身にしみて理解している。地方でも分煙できる仕組みをしっかり作ることで、全国に浸透させたい」


販売側の論理と、税収の問題としてとらえているようだ。販売側が芳しくないのは、喫煙者数が減少しているからで、喫煙者が増えないのは規制のせいだという論理は、無理筋というものだ。喫煙と健康の因果関係はWHOも認めていることであるから、相応のデータで論理を固めなければ破壊する。税収に関していえば、健康であれば死んでも良いという信仰に身を捧げる者たちには、税収の為に死ねと言うのかと爆発の導火線に火を付ける行為である。
おとなしく、国内の生産状況から確認する。全国たばこ耕作組合中央会の資料から、葉たばこ生産に従事する人、耕作面積、販売量、販売代金の推移を確認した。2000年以降は発表の数字をそのまま引用し、それ以前はグラフの数字を用いた。結果を下に示す。

■ 葉たばこ生産状況推移 (全国たばこ耕作組合中央会)
   年     人員(人)    面積(ha)   販売重量(t)  販売代金(百万円)
  1989     44,300     30,700     74,396     135,900
  1990     42,200     30,300     80,544     149,300
  1991     39,400     29,400     69,897     130,800
  1992     35,700     27,600     79,365     156,300
  1993     33,700     27,400     67,430     128,200
  1994     32,000     26,700     79,503     155,400
  1995     30,400     26,200     70,391     136,600
  1996     28,800     26,100     66,031     123,600
  1997     27,500     25,800     68,503     130,200
  1998     25,800     25,500     68,959     118,500
  1999     24,400     24,900     64,727     121,600
  2000     22,864     23,991     60,803     117,124
  2001     21,668     23,411     60,565     114,776
  2002     20,758     23,038     58,174     109,260
  2003     19,897     22,507     50,662      93,164
  2004     18,727     21,538     52,659      98,074
  2005     14,878     19,071     46,828      84,320
  2006     14,417     18,512     37,739      68,591
  2007     13,696     17,669     37,803      69,279
  2008     12,981     16,778     38,484      69,404
  2009     12,169     15,769     36,601      68,051
  2010     11,437     14,980     29,297      54,171
  2011      9,480      13,016     23,605      44,029
  2012      6,094      8,956     19,673      38,497
  2013      6,059      8,846     19,844      39,285
  2014      5,911      8,564     19,980      39,337
  2015      5,788      8,329     18,687      36,885


四半世紀で従事者は1/10に減少してしまった。国内の割高な葉たばこが、輸入品の安い葉たばこに競争するというのは難しい。耕作面積は1/10になっていない。生産量が1/4レベルということは、小規模農家が止めたということで、大規模農家が残って集約してるということになる。見かけ上重量単価は下がっていない。これで農家が楽になったという結論が出せれば、たばこ議員連盟のいう弱者に農家は含まれないことになる。農家は、生計の基盤を損なわれてしまいかねない関係者ではないということだ。葉たばこ農家の現状が良くないことは、過去に書いた気がする。読み返すのも面倒なので、そう思っただけかもしれない。確実に言えることは、たばこ議員連盟が期待する票数は、四半世紀で1/10になったということである。
票が期待できない仕事を議員がするのは不思議な話である。志をもって行動し、立候補することはままあるだろうが、現行の選挙制度で勝ち抜くには、その道のプロであることを求められる。つまり、選挙プロであることが最初に求められるから、志などどこかに置き忘れてしまう代表的な品目である。選挙プロは得票が期待される行動を議員、議員候補者に求めるものである。珍しく、志の問題かと言えば、単純にタバコを喫いたいに留まるのかもしれない。この欲望丸出しの行動をほほえましく思う。妙な理屈を付けずにそう言えば良いのにと思うが、いくばくかの羞恥心というものを国会議員にもなって持っているのかと、ひどく感心するのである。


タバコを暴力団が扱う日が近そうである。

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