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2017年3月 6日 (月)

PSA、2650億円で独オペル買収 GMは欧州撤退

フランスの自動車大手グループPSA(旧プジョーシトロエングループ)は3月6日、米ゼネラル・モーターズ(GM)の欧州子会社、独オペルを買収すると発表した。GMは欧州から事実上撤退し、世界販売台数は独フォルクスワーゲン(VW)、トヨタ自動車に次ぐ3位から、日産自動車・仏ルノー・三菱自動車連合に抜かれ4位に落ちる見通しだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定以降、大型企業の初の撤退案件となる。
買収総額は22億ユーロ(約2650億円)。内訳はオペルの英国ブランド「ボクソール」を含む本体が13億ユーロ、GMの欧州金融事業が9億ユーロ。金融事業はBNPパリバと共同で取得する。買収でPSAの売上高は700億ユーロを超える。年間販売は430万台になり、欧州ではVWに次ぐ2位に浮上。オペルブランドを存続させ、「DS」「プジョー」「シトロエン」に続く4番目のブランドに位置づける。オペルは赤字続きだったが、規模拡大で相乗効果を引き出せると判断した。共同調達や車体共通化、生産、研究開発での協力を通じて年17億ユーロのコスト削減を見込む。当面はオペルの工場閉鎖や人員削減はしない方針。2020年までに営業利益率を2%、フリーキャッシュフローを黒字にし、オペルを再建すると表明した。欧州で足場を固め、中東やアジアでシェア拡大に注力する。パリのPSA本社で記者会見したカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は「PSAのノウハウでオペルを再生させる」と強調。GMのメアリー・バーラCEOは「難しい決断だったが、GMには良い選択になると確信している」と語った。(日本経済新聞:3月6日)


欧州の自動車メーカについて考える。


Opelが欧州GMになったのは1929年である。ドイツの民族資本の自動車メーカというには、米国資本の下である期間が長い。英国GMであるVauxhalがGM傘下になったのは1925年で、Opelよりさらに古い。欧州市場が国ごとに独立した市場であった時代には、ドイツと英国の市場は別のものであったのだろうが、EUが議論されるようになった時代には、国境の概念がこの地域においては薄くなってしまった。ドイツとフランスと英国の違いなど、自動車会社にとっては無いに等しいものなのだろう。
欧州GMとグループPSAの販売台数推移を確認する。下に結果を示す。

■  欧州GM (Opel/Vauxhal) とグループPSAの販売台数推移
   年     Opel/Vauxhall   PSA
  2016     984,769    1,467,414
  2015     934,368    1,470,713
  2014     880,974    1,475,332
  2013     823,902    1,447,532
  2012     835,855    1,587,597
  2011     996,566    1,801,245
  2010    1,006,683    1,907,600
  2009    1,053,306    1,876,968
  2008    1,135,535    1,848,396
  2007    1,323,698    2,029,121
  2006    1,322,316    2,021,000
  2005    1,423,665    2,119,629
  2004    1,454,346    2,178,989
  2003    1,346,836    2,120,040
  2002    1,386,364    2,185,189
  2001    1,551,912    2,152,245
  2000    1,537,067    1,940,880


米国GMの2009年のチャプター11の申請で、欧州GMの整理対象になった。身を軽くするのは企業再生の最初の一歩であるが、GMはOpelの将来性に価値があると判断し、自力再建に急転舵を切った。その前から販売台数の不振が認められるが、Opelの規模というのは、100万台というのが実際的なレベルと考えた方が良さそうだ。2000年の150万台は大き過ぎるように見える。整理もされたのだろうが、欧州市場に元気がないという事情も影響していよう。
一方PSAはというと、もともと欧州市場への依存度が高いメーカであり、加えて、フランス、イタリア、スペインが欧州市場での販売台数の半数という偏りが大きい。その昔は、アフリカ市場で一定の量を確保してきたが、現在ではそうでもないのだろう。PSAの決算資料から、グループの販売台数の地域割合を下に示す。

■ PSAの販売台数地域セグメント分布
                     2015      2016
  Europe               63%       61%
  China - South East Asia    25%       20%
  Middle East - Africa        6%       12%
  Latin America            5%        6%
  India - Pacific           1%        1%
  Eurasia                0%        0%

欧州が六割である。2014年に中国の東風汽車と資本提携を締結したことで、中国の割合が増加している。これ以外の地域の台数は限定的になっている。フランスの国内市場だけ見ていた企業が、EUになって域内の競争力がありそうな地域に販売を広げたが、国際競争とEU域内の景気の悪さもあって、成長が期待できる中国に進出することを考えて合弁会社をつくったという話である。2012年にGMと資本提携をしていて、GMの欧州撤退により、販売の弱いドイツ市場を押さえることに期待しているということのようだ。
売上高の推移を確認する。Opelは米ドルで、PSAはユーロである。結果を下に示す。

■ 売上高推移 (単位:million)
  年    Opel/Vauxhall (US$)    PSA (€)
  2016     18,707             54,030
  2015     18,704           54,676
  2014     22,235           51,592
  2013     20,110           53,079
  2012     20,689           55,446
  2011     25,154           58,509


為替の問題が生じてしまう。1ドルが1~1.5ユーロ程度は変わってしまうから、判断に苦しむが、Opelが半分くらいの売上と思って大きくは外れないようだ。(当たってもいない)
今回の買収で、Opelの本体価格が13億ユーロというのは、お買い得な気もするが、引き取り手のない会社である。高いという見方も成立するだろう。Opelがドイツ、英国以外での販売経験がないこと、PSAのモデルとサイズ・価格帯が重なることは、Opelの再生に効果的である可能性があるが、PSAモデルの足を引っ張るだけに終わる可能性もある。事業譲渡は判断が難しい。


規模の論理ですべての説明が出来るほど単純ではない。

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