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2017年3月22日 (水)

カゴメ、機能性表示食品の野菜ジュース発売を延期

カゴメは3月22日、5月16日に予定していた機能性表示食品の野菜ジュースの発売を10月3日に延期すると発表した。トマトジュースの需要拡大に伴い、同じ生産設備で製造する予定だった野菜ジュースの生産体制を確保できないと判断した。
機能性表示食品を取得した「カゴメ野菜ジュース」は、パッケージに「血圧が高めの方に」と記して販売する予定だった。機能性表示と表記していない現行の野菜ジュースの販売は続ける。(日本経済新聞:3月22日)


トマトジュースについて考える。


日本ではトマトは生食するのが普通だが、欧米では加工用の野菜と認識されている。加工用の代表としては、トマトジュース、トマトケチャップ、トマトソースがある。他にも野菜ジュースの原料の一つにもなっている。日本でのトマト栽培面積と、トマト出荷量、その内の加工用トマトの出荷量の推移を農林水産省統計よりまとめたのが下である。

■ トマト作付面積、出荷量と加工用トマト出荷量推移 (農林水産省統計)
   年     面積(ha)   出荷量(t)    加工用(t)
  2003    13,200      669,000    48,400
  2004    13,100      666,000    43,700
  2005    13,000      668,100    41,700
  2006    12,900      642,200    38,900
  2007    12,700      663,800    41,100
  2008    12,500      648,300    42,200
  2009    12,400      634,600    37,800
  2010    12,300      613,500    37,200
  2011    12,000      625,900    28,200
  2012    12,000      644,500    38,300
  2013    12,100      670,500    34,500
  2014    12,100      665,600    33,700


トマト全体に占める加工用トマトの割合は 10%以下に留まる。 オランダのトマト栽培の高生産性を比較に、国内農業の生産性を問題視する論理が見られるが、欧州では加工用が劣んどで、日本では逆に生食がほとんどとなれば必然的に生産方法も異なる。オランダのトマトを生食するとまずいと言われている。最近は品質が改善されたそうだが、日本人の味覚にあったものにはなっていないだろう。
加えて言えるのは、日本での生食用のトマトのkg単価は300円水準である。一方、加工用トマト (ほとんどが契約栽培になる) の同単価は70円水準である。これも近年値上がりしたもので、十数年前には30円水準であった。つまり、トマトの生産性が10倍高くでも売り上げは同じになるということである。
加えて、トマト加工品には、加工工場の近くに産地が無ければならない。常識的な表現をすれば、近くに産地がある場所に工場を建設する。付加価値が低い状態で、傷付きやすい製品を移動させるのはナンセンスである。つまり、加工用トマトは産地を選ぶことになる。加工用トマトの用途別の数量推移を農林水産消費安全技術センターより引用する。なお、トマトジュースにはトマトミックスジュースが含まれる。結果を下に示す。

■ トマト加工品生産数量の推移 (単位:トン)
           H18年度    H19年度    H20年度   H21年度   H22年度   H23年度    H24年度
トマト加工品    328,317    302,787    259,182    251,798    255,320    270,882    315,075
トマトケチャップ  123,200    109,589    121,692    113,495    119,938    124,436    119,087
トマトジュース   179,356    169,002    100,168     93,324     99,764    115,305    163,874
その他        25,761     24,196    37,322      44,979     35,618     31,141     32,114


ミックスジュースを含めれば、ケチャップにするかジュースにするかの選択となる。赤いトマトにリコピンが豊富だと宣伝していて、しかも、生食用のピンク系より加工品用の赤系の方がリコピンが豊富となれば、ジュース需要が高まるというものである。なお、ピンク系をジュースにした場合、少しあっさりした味となり、赤系の濃い味わいが好まれるようだ。これを嫌うと生食の方が適する。
健康関係のサイトには怪しげな表現に溢れている。トマトジュースもこの例に逃れられないようだ。スキンケア大学と称するサイトを引用する。

トマトジュースには、真っ赤に熟したトマトが使用されます。それは、ジュースの色を、着色料ではなくトマト本来の色で出すためです。このような理由から、生食用のトマトと加工用トマトの栽培方法も異なります。生食用トマトがビニールハウスで栽培されるのに対し、加工用トマトは太陽を存分に浴びてしっかり熟すよう、外で栽培されます。トマトジュースはこのような完熟トマトから作られるため、生食用のトマトよりも栄養素をたくさん含んでいるのです。


真っ赤なのは種類が違うからなのを理解していない。ジュースにするのに完熟に近いものを用いるが、傷みやすくなるから完熟と呼ぶには少々難がある。栽培方法は、安い加工用には手を掛けられない事情もある。ビニールハウスがまったくないということもないだろう。太陽を存分にあびるのは生食用でもあるから、栄養素が異なることを全面的に支持するのはちょっと困ったことになる。リコピンが高いのは事実だし、その他の問題も当たらずとも遠からずというところかもしれない。
少なくとも、トマトを食べると病気が治ると書けば問題広告だし、トマトを食べると健康的になるも、少し問題がありそうだ。トマトを食べて健康になろうは、勝手にすればで済む。機能性表示食品は二番目に相当するが、この制度の問題点そのものが表れていると感じる。不健康になるのは、栄養バランスが崩れるからである。水や塩のような基本的な物質でも、量の超過、過小があれば不健康になる。米でも、小麦でも同じである。トマトも食べなければ良くないことがあるかもしれないが、他の作物で補うことは可能である。しかし、食べ過ぎれば問題が生じることは確実である。世の中とはそんなものだ。そんなものの中から、強いて機能性表示食品なる呼称を与える価値がどこにあるのか不思議に感じるのである。


大麻を喫うと健康になると、元女優が主張するのからすれば、トマトなど可愛いものか。

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