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2017年1月19日 (木)

谷川将棋連盟会長が辞任 不正騒動「対応に不備」

日本将棋連盟の谷川浩司会長(54)は1月18日、東京都渋谷区の将棋会館で記者会見し、会長を辞任すると発表した。コンピューターソフトの不正使用疑惑を巡る混乱の責任を取った格好だ。昨年末に第三者調査委員会は「(処分は)やむを得ない」としたが、谷川会長は「対応に不備があった。トップとして出処進退についてけじめをつけないといけない」と話した。
辞任の意向を固めている島朗常務理事(53)とともに、19日の理事会で辞任の承認を受ける。新しい理事を選ぶ臨時総会を2月上旬にも開き、その後の理事会で新会長を選出する。それまで谷川会長が職務を続ける。将棋連盟は昨年10月、対局中にソフトを不正使用した疑いが浮上した三浦弘行九段(42)を出場停止処分とした。第三者調査委員会は12月末に「不正の証拠はなかった」と発表したが、竜王戦七番勝負の挑戦権を獲得していた三浦九段の処分については「やむを得なかった」としていた。
谷川会長は対局規定の整備の遅れや疑惑の調査など「もっと早くいろいろな手を打てた」と昨年10月以前の対応の反省点を挙げた。昨年末までは今年6月までの任期を全うする考えだったが「年末年始に休養しても心身の不調が回復せず、会長の重責を担い続けることは難しい」「(関係者に)誠意を伝えるには辞任が一番」と判断した。記者会見では三浦九段が2月13日、復帰第1局として羽生善治王座(46、王位・棋聖)と竜王戦の予選を戦うことも発表。谷川会長は「三浦九段の対局復帰などに一定のめどがついた」ことも辞任の理由に挙げた。谷川会長は専務理事だった2012年12月、米長邦雄前会長の死去を受けて会長に就任した。(日本経済新聞:1月19日)


日本将棋連盟について考える。


日本将棋連盟は公益社団法人である。真剣師と呼ばれていたヤクザな商売が、プロ棋士という名の将棋指しなる職業に変わったのは、戦後しばらく経ってのことのようだ。十四世名人である木村義雄が紫綬褒章を受章したのが1960年である。このくらいになって、真剣師ではなくなったと世の中は思い始めたようだ。この頃から、スポーツ選手や文化人の叙勲が増えてきたから、社会の中で政治家や役人がすべてであった時代が変化したということでもある。
真剣師ではなくなって社会的責任も向上した将棋界であるが、コンピュータ技術の進歩が職業将棋指しの領域を犯しだした。四半世紀前には、素人と玄人の差が大きいものの代表に、相撲取りと将棋指しが挙げられたものである。相撲取りは依然として差があるのだろうが、将棋指しは素人との差は維持されていても、コンピュータとの差が無くなり、逆転されているという見方も成立している。この傾向は、もう少しすれば、人間の方が劣る状態が確実になるだろう。

コンピュータ技術の発達の前でも、他の棋士のアドバイスを受けるということは想定され得るのだが、現実的には将棋の対局に当たっている者が最も深く考えていることが前提になっていただろうし、そもそも、他の棋士とはすべて競合関係にあり、競合関係にないような棋士のアドバイスは不要という考えであったのだろう。コンピュータでなくても、電話連絡をするとか、メールを活用して外部の研究者とコンタクトを取るという方法は考えられた。そんなことはしないという基本はこの辺りにありそうだ。
少し前は、将棋会館での対局で、食事をとるのに外出しても問題なかった時代もあったという。これなど、性善説というより、自分が最も優れているという自信に基いていそうだ。研究を行ったメモを見るとか、その類も許されないことになっていなくても、その程度の記憶力もないようでは相手にされない世界ということだ。
特定のコンピュータソフトと同じ傾向の指し手が多く、対局中離席する頻度が高いことが疑わしい理由の柱になっている。それだけで処分するのは、推定無罪の立場をとれば許されないが、組織の存続に関わると判断すれば、組織のトップは別の判断を下すかもしれない。今回がそれであったのだろうが、組織の側に立つ会長の谷川の判断と、個人の権利を重視する第三者調査委員会の判断が異なるのは当然だ。

三浦の権利を守ることは重要だが、将棋連盟の存続が危険な状況とも言える。玄人の技量が素人より遥かに高いことが、玄人の存在理由である。よって、パソコンショップで買った十万円程度のパソコンと、ネットのフリーソフトで玄人に近い結果が得られるのなら、玄人の価値のほとんどは失われる。将棋ソフトが強いことを認めることになるので、将棋連盟は、プロ棋士は将棋ソフトとの対局を禁止してしまった。2005年のことである。
実際、将棋のネット対局で、ソフトを利用して対局の成績を上げる操作が発生しているという。この方法で、成績を向上させることが実現できるのだが、何に価値があるのかと考えてはならないのだろう。少なくとも、機関紙の将棋世界やネット、新聞などの棋力認定において、将棋ソフトを用いて棋力を捏造することは可能である。それでも賞状を得るには、将棋連盟に結構な手数料を支払わなければならない。それでは経営が成立しないのが苦しいところである。近年の収益は27億円であった。下に推移を示す。

■ 日本将棋連盟収益状況推移 (単位:千円)
             収益合計     期末正味財産
  2006年3月                2,371,784
  2007年3月    2,139,230      2,324,387
  2008年3月    2,376,737      2,100,801
  2009年3月    2,336,786      2,057,034
  2010年3月
  2011年3月
  2012年3月    2,709,892      1,649,282
  2013年3月    2,636,731      1,675,699
  2014年3月    2,715,252      1,584,357
  2015年3月    2,749,730      1,585,471


公益法人であるから、収益を増やすばかり考えてはならないのだろうが、無い袖は振れないと言うのもまた事実である。企業などからの大口の寄付が集まるご時世でもない。将棋会館を東京と大阪に作った時代とは大きく経済環境が変わっている。また、将棋指しへの尊敬も、低下してしまっているかもしれない。将棋指しが尊敬される必要はそれほどないのかもしれないが、団体の活動が評価されなければ運営は難しい。独り善がりが許される団体で、内部だけで構成される団体というのは、破綻するのは容易である。将棋連盟は、過去に女子団体を切って、その後、世論を見て修正するなどしたが、独立した女子団体の運営は将棋連盟以上に困窮しているようで、将棋連盟に残った女流棋士が恵まれた待遇になったかと言えば、そんなこともないようである。本丸の日本将棋連盟の運営全体も危機的状況に向っていると思って良いようだ。150名余りの現役棋士 (男性のみ) が生活するのは難しいと思って良い。さりとて、50名にするとしてしまうのも、大変な話ということになる。それで公益法人かと指摘されることだろう。


次の会長には、いばらの道が用意されている。

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