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2016年12月 9日 (金)

成宮寛貴さんが引退 週刊誌が「薬物使用疑惑」報道

ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)などへの出演で知られる俳優の成宮寛貴(なりみやひろき)さん(34)が12月9日、芸能界からの引退を発表した。所属事務所が明らかにした。成宮さんを巡っては、写真週刊誌が薬物使用の疑いがあると報じていた。
所属する「トップコート」によると、成宮さんから引退の申し入れがあり、話し合いを続けたが、本人の意思が固かったことから申し入れを受け入れたという。薬物の使用に関しても、成宮さんへの聞き取りや薬物鑑定をした結果、「本人の薬物使用を裏付ける客観的事実は確認できなかった」としている。成宮さんは、「今後これ以上自分のプライバシーが人の悪意により世間に暴露され続けると思うと、自分にはもう耐えられそうにありません。今すぐこの芸能界から消えてなくなりたい」などとするコメントを発表した。
成宮さんは2000年にデビュー。05年「いま、会いにゆきます」(TBS系)に主演し、12年からは「相棒」に出演。水谷豊さんが演じる杉下右京とコンビを組む刑事役を演じるなど、テレビドラマや舞台で活躍した。(朝日新聞:12月9日)


犯罪報道について考える。


写真週刊誌というのは、講談社発行のフライデーである。この雑誌で、成宮はコカインの使用の疑いが掛り、同時にホモセクシャルないしはバイセクシャルであることを書かれた。この情報ソースが成宮の友人であり、そのことに耐えられない精神状態に陥り、止める手段として芸能界からの引退を決意したという流れと理解する。順番に考えて行く。
コカインの使用は、麻薬及び向精神薬取締法に規定があり、7年以下の懲役または300万円以下の罰金 (併科あり) となっている。営利目的であると重くなるが、フライデーの記事を信じれば、単純使用・所持ということになる。逮捕起訴された場合の量刑は、初犯なら懲役1年半で執行猶予3年という、いつも見掛ける相場通りの判決になる。法律の話に流れても仕方ないので、ここまでにする。
フライデーが証拠として示しているのは、友人の証言、白い粉を吸おうとしている写真、コカインを要求する時の肉声の音声データの三つである。裁判でこの程度で有罪に出来るのなら、検察の薬物関係の事案は楽勝である。友人がコカイン使用で有罪判決が確定していても起訴できるものではない。成宮が使用したとされる証拠が必要となる。所属事務所は薬物検査を実施し、陰性であることを確認したという。方法は不明だが、尿検査であろう。しかし、使用したとされる時期と、フライデーの報道に1カ月近い時間差があり、尿検査の検出は10日程度までとされるから、対策したと言われればそれまでである。毛髪検査なら3カ月程度カバーされるから、こちらであれば報道の事実確認には適合する。当初、所属事務所は民事、刑事両方で対応することを検討しているとしていたから、毛髪検査の実施は実務課題になっていただろう。しかし、それでも起訴されないレベルで、逮捕するかどうかも躊躇うくらいではないか。
そんな弱い状況証拠で、コカイン使用を決めつけられては業務に差し障りが生じる。しかし、実際に使っているのなら、決めつけても大丈夫という判断もある。出版社が刑事犯であると断定して良いのかという問題に移る。検察が起訴したとしても、裁判での扱いは推定無罪である。今回のフライデーの報道は、報道した時点で確定有罪と読者は捉えてしまう。これが許されるのかという問題である。

次に性的な問題である。面倒なのでホモセクシャルと表記するが、ホモセクシャルを罰する法律はない。この先も罰する可能性は低いだろう。つまり、個人の嗜好の問題の範囲、この表現は如何かと思うが、と理解して良い程度の話である。少なくとも、これだけで引退するほどのことでもないと思うが、心情というのは何よりも優先されるものでもある。損得で判断する内容でもないのかもしれない。それでもと、発表された文章から原因を拾ってみる。

  ・ 友人に裏切られた
  ・ 罠に落ちてしまった
  ・ 自分のプライバシーが悪意で公表され続けることに耐えられない
  ・ 芸能界から消えてなくなりたい
  ・ 芸能関係者に迷惑を掛け続けることはできない


消えてなくたりたいのは、芸能人であるから公表し続けられるのだから、公表されたことの結果に耐えられないという論理になる。迷惑を掛け続けるのは、ホモセクシャルではなくてコカインであるのだが、これに関しては触れられていない。コカイン疑惑を晴らすことが最も迷惑を小さくすることなのだが、引退するとマスコミの扱いとしては、コカインを使っていたとみなされてしまう。マスコミとしては、芸能界を引退した民間人を疑いだけで報道するのが憚れるという理屈があるからである。芸能人なら報道するが、民間人なら関心がないから報道しないというのは、商業出版としては当然であるのだが、それで良いのかという疑問は残る。テレビや映画に出演している部分では特別な存在であるが、それを離れれば民間人の社会生活と同じである。会社勤めの人間が、業務関係で報道されるとは思えない。それは注目度が低いからと説明されるが、業務上知り得た情報によりインサイダー取引を行ったのなら報道する。この例なら、逮捕に至らなくても疑いで報道することもある。こちらを標準にすれば、成宮のコカイン使用疑惑は、報道を急いだ観は残る。
戻す。成宮が引退を選んだ理由は、信頼していた友人が、罠を掛けて成宮がコカインを使用しているような証拠を作り、それをマスコミにリークした、常識的には売った、ということの衝撃ということになる。コカインを使用したという報道より、友人に売られた衝撃の方が大きいということだ。前者の方が重いと感じるのが多くの市井の人の価値判断だろう。しかし、後者の方が重いという価値観もあり得る。親に売られた子供のような事例なら近い印象というか、衝撃があるかもしれないが、親に売られる子供も今日において少ないだろう。


最初に戻ろう。フライデーの仕事は、捜査し立件することではないだろう。疑うに十分な情報を持ったのなら、捜査当局に提出するのが本来の姿である。刑事罰がない不倫報道とはこの点で大きく異なる。コカインを使用している芸能人を知ったのなら、報道する前に通知するものである。報道は逮捕されてからでよい。
成宮側からすると、事実無根であれば訴えるより方法がないが、引退してしまっては何だか締まりのない話になってしまう。実際にはCM契約している会社が数社あるようだから、これらの会社は差し替えをしなければならないから、コカイン使用が事実無根であっても違約金が生じることになるのだろう。ということからすると、成宮本人と所属事務所は、報道によって被害を被ったことになるから、成宮が好まなくても事務所は民事上の訴える資格を有することになる。しかし、成宮本人が希望しないとなれば裁判の維持は難しいだろう。前提としては、違約金の負担を成宮がすべて負うことであるが、今後どのような仕事をするのか分からない状況で、大きな金額を負担するのは難しいと想像される。CMの他にに、既に撮影が始まったドラマもあるというから尚更である。
紙媒体の部数の減少傾向は止まっていないから、部数を追う為に過激な方向に進む。事実確認が不十分なまま報道してはいないだろうか。そんな心配は不要のものだと、フライデー編集部か講談社か、常識的には双方から主張があることだろう。それがこの国の司法制度上妥当なレベルに達しているかは別の問題ではある。


いったい何時から、メディアによる私刑が正当になった国になり果てたのか。

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