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2016年11月29日 (火)

電通の鬼十則「手帳から直ちに削除を」 遺族側が会見

昨年末に自殺した広告大手、電通の女性新入社員(当時24)の遺族側代理人を務める川人博弁護士が11月29日、日本記者クラブで記者会見した。電通が取り組むとしている労働環境の改革に触れて、「(社員の心得の)『鬼十則』を社員手帳から削除することを直ちに決定するべきだ。遺族も強く求めている」と話した。
「鬼十則」は、4代目社長の故吉田秀雄氏が書いたといわれる遺訓。「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」という一節があり、長時間労働を助長しかねない心得だとして遺族が問題視している。電通は来年の社員手帳への掲載とりやめを検討している。川人氏は電通の企業風土について、「『鬼十則』に端的に示される労務管理の思想がある。業務の目的達成が、働く者の健康よりも優先されている」と批判。「経営者が事実に真摯に向き合い、批判を謙虚に受け止めることが大事。小手先の改革を装うことはあってはならない」と指摘した。広告業やサービス業などの第3次産業で、顧客への過剰サービスが仕事を増やしているとして、「発注側や消費者が、働く側の労働条件を考慮する必要がある」とも訴えた。(朝日新聞:11月29日)


電通について考える。


東京大学文学部を卒業して、電通に就職した女性社員が自殺した事件に端を発している。この女性は、静岡県の私立高校を卒業し、東京大学に入学している。私立高校は有名な高校ではあるが、多数が東京大学や国立医学部に進学するというような、全国区の有名進学校ではない。この女性が高校でトップを争うような成績であったのだろう。東京大学文学部を卒業して、電通に入ったということである。東京大学文学部の進路がどうなっているかを確認したのが下である。

■ 東京大学文学部進路
        進学者(院) 進学者(他) 就職者 その他
  2016年    71       1       201    38
  2015年    78       6       230    58


300人卒業して、大学院に進むのが100人、200人が就職というところである。文学部だと研究者への道というのは難しいということのようだ。工学部だと958人卒業で進学が738人 (就職92人、それ以外のその他が128人)、理学部だと292人卒業で進学が232人 (就職16人、それ以外のその他が44人)と、理系学部は進学が圧倒的に多い。(2016年3月卒業生大学発表) 文学部を同じデータで確認すると、311人卒業、進学72人、就職201人、その他38人となっている。
文学部の就職先は、金融業・保険業が38人、情報通信業が37人、製造業が27人、生活関連サービス業、娯楽業が16人、公務員が15人、サービス業とその他の企業がそれぞれ11人であった。法学部は就職241人で公務員が95人だし、経済学部は就職242人で金融業・保険業が97人となっている。文学部は、就職先の方向性が決まっていない学部となっている。

電通が採用実績のある大学はどこかも気になるので確認した。5年間の総数があったので、その結果を下に示す。

■ 電通採用大学別就職者数 (過去5年就職者総数:出典 サンデー毎日2015年8月11日発売号)
  1位 慶應義塾大  169名
  2位 早稲田大   124名
  3位 東京大     69名
  4位 京都大     31名
  5位 大阪大     18名
  5位 立教大     18名
  7位 青山学院大  15名
  8位 一橋大     14名
  9位 上智大     11名
  9位 多摩美術大  11名
  9位 日本大     11名


当然のことながら、東京大学には文学部以外も入っている。東京大学を卒業して、十数名が電通に入社するということである。同業である博報堂も確認した。こちらは二年間の比較である。結果を下に示す。

■ 博報堂採用大学別就職者数
               2015年   2014年
       総数     111名    122名
  1位 慶応義塾大   25名    34名
  2位 早稲田大     16名    12名
  2位 東京大      16名    11名
  4位 東京工業大    6名    2名
  5位 青山学院大    5名    3名
  5位 立教大       5名    2名


こちらにも十名強が就職している。

電通という会社は、給与が高いことで知られる。30歳の年収は1,000万円に近い金額になるだろう。東京大学に進学し、電通に就職するのは成功者であると見て良かろう。恐らく本人もそう考えたことだろう。しかし、地方の優秀な学生が文学部に進学して、電通に就職するのが、本当に希望したものであったのかに疑問が残る。能力が高いから、世間で良いと思われる進路を選択した気がしてならないのである。
電通の鬼十則は有名である。四半世紀前でもアンティークであったと感じたし、今日本気でこれを求めれば、法律に触れることは必定である。つまり、精神的な支えとして理解するのが、社会人の常識というものであろう。電通などに縁の無い者の僻みだろうが、電通の中にも学歴コンプレックスを持つ者があって、東京大学文学部を卒業した可愛らしい女性に鬼十則を額面通り求めたと想像してしまうのである。

電通は鬼十則を手帳から消すだろうが、それこそが精神的な柱であると信じる社員もいるだろう。鬼十則を否定することは、電通の自己批判だと感じるのなら、電通という会社は消えて行く存在なのだろう。総合広告代理店は、電通、博報堂、アサツーディ・ケイ、大広の順の売上順位で、1位下がると売上高が半分になる。ハウスは残るだろうが、総合広告代理店は、テレビ局の収入が減っていることに代表されるように、昔のように広告に期待する企業が減っているというのは明らかである。電通や博報堂でも現在の状況の延長線上に十年先を描けない状況になっているだろう。
広告代理店は人で成立している事業体である。広告代理店で、社員教育に手が回っているのは電通のみというのが、広告業界で生息する人の意見のようだ。その会社をして、この体たらくであれば、この業界がダメだということである。このような企業に、輝かしい経歴の女性社員は似合わないだろうし、自分の適正に疑問を感じたのなら、やり直すのも妥当な判断である。一年で転職するのをキズと感じたのだろうが、人生を懸ける仕事に巡り合う前に、命を賭けても悲しい結果しかない。
記事で過剰なサービスとあるが、実際は過剰な費用請求がつきまとうのである。適正なサービスには、適正な価格が当然だろう。そんな広告なら、差別化が達成されないと顧客は思うのである。顧客は想定以上の成功しか望まないのが広告の仕事である。それがあるから、高い請求書がまかり通る。部分の否定は、全体の否定に等しいものである。


市場の気温が低下くれば、恐竜企業は適応力がないが故に、滅びていく。

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