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2016年10月25日 (火)

高樹沙耶容疑者を逮捕 元女優、石垣島で大麻所持

厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部は10月25日、沖縄県の石垣島で大麻を隠し持っていたとして、大麻取締法違反の疑いで、元女優の高樹沙耶(本名益戸育江)容疑者(53)を現行犯逮捕した。麻薬取締部によると、高樹容疑者は「私の物ではない」と容疑を否認している。
麻薬取締部は同日、高樹容疑者の自宅や本人名義の車、経営している民宿などを家宅捜索。自宅から乾燥大麻計数十グラムや吸引用とみられるパイプ、巻紙などを押収した。逮捕容疑は25日午前10時半ごろ、石垣市の自宅で乾燥大麻を所持していた疑い。麻薬取締部は一緒にいた同居人の男2人も同容疑で現行犯逮捕した。高樹容疑者は1983年に女優としてデビュー。近年は自然エネルギーを生かして生活する「ナチュラリスト」として活動していた。今年7月の参院選では、東京選挙区で新党改革から新人として出馬し、医療用大麻の解禁などを訴えたが落選した。(日本経済新聞:10月25日)


大麻取締法について考える。


大麻取締法によると、大麻の所持、譲り受け、譲り渡しについては罰則があり、5年以下の懲役(営利目的の場合は7年以下)とされている。しかし、大麻の使用については罰則規定がない。益戸育江の場合も、麻薬取締部の逮捕理由は所持ということになる。1グラムで数回分、十回分という説もあるから、百回を超える回数分を持っていたとなると販売目的の疑いも持たれるのだろう。三人で暮らしていたということからすれば、共同使用を前提に妥当な在庫という考えもあるのだろうが、この手の事件で適正在庫がどのくらいかという司法判断はないようだし、捜査当局も適正在庫量だから販売目的ではないと判断しないことだろう。

さて、大麻取締法を確認する。1946年1月22日に連合軍最高司令部からの日本政府に対する麻薬統制に関する指令を受け、麻薬取締規則を制定した。歴史的に古い時代から、日本に麻繊維の産業があった為に、別に大麻取締の法案が提起されることになる。日本では衣料用の繊維として古くから用いられてきており、宗教行事に豊作祈願の奉納に用いられるものとして、稲とともに重要な産物であった。戦後の規制により、栽培が大きく制限されることになった。神社では困ったことになるのだが、伝統に裏付けられた宗教目的に使用禁止にするのは、信仰の自由を制限することになるし、全面禁止は不具合が生じる。1948年に大麻取締法が制定され栽培は免許制になった。免許を得るには結構大変で、伝統工芸などで実績のあるような用途が代表的で、新規の事業として伝統的な繊維産業を謳っても難しいようだ。それでもひところよりは可能性が高くなっているようである。そうはいっても、周囲を囲ったり、定期検査を受けたりと負担は大きい。
大麻について、憲法違反だとする意見がある。米軍の占領政策として、繊維市場で石油繊維との競合する大麻草繊維を制限したのが、手続きが適正ではないし、職業選択の自由を制限するものだとするものが第一にある。第二は、法律で制限するほどの有害性はないとするもの。第三には大麻に関する広告の制限について、表現の自由を不当に制限し、違反であるというものである。
第一の石油繊維との競合は、現在において意味のある議論にはなりそうにない。仮に大麻を繊維用途に自由に栽培可能になっても、この国の繊維産業に一定の割合を占めるというのは難しいだろう。そうするのだと考える人がいても良いし、繊維の特性を活かした差別化した商品作りもあるのだろう。現状の免許制の規模を百万倍にして、価格が現状の100%木綿の価格まで下がるかというと、答えは無理となるだろう。大麻を衣料用の繊維に用いる場合に、区別の為にヘンプと呼ぶが、100%ヘンプというのは、ヘンプが硬く切れやすいので布加工時の生産性が低くなる。糸の生産性がエコロジーだというだけでは、産業全体としてエコロジーにはならない。木綿とヘンプの混合素材が現実的な選択になる。それで商品性を高めることを達成するのと、コストの話になる。木綿が海外でエコロジーではない生産方法であるというところまで含めてしまうと、議論の中心は別の所に移っていく。まずは、好ましい特性のあるヘンプ衣料を提示されないことには始まらない。
米国の押し付けだからというのは、憲法改正の話に出てくるのと同じである。憲法の話なら、日本は依然として米国占領下にあり、真の独立を果たしていないということになるのだろう。あるいはそうであるかもしれないが、そうであって何が悪く、この先どうしようとするのかを提示しなければならない。占領下にあってもこの程度の自由がある国では、真の独立がどんな利益を生むのかという疑問に答えねば賛同は少なかろう。もちろん、真の独立が果たされない中で、自由を謳歌するとは日本人ではないという意見もあろうが、少々情緒的に流れ過ぎていると感じる。経済的な成功のみを目指すとは国民は堕落しているというのも大好きなフレーズなのだが、堕落の住み心地の良さを知っていると、それ以上の価値を提示されないことには動けないという事情もある。大麻の話も同じである。
第二の有害性については、医学的な検証を待つよりない。現状、世界アンチ・ドーピング機関の指定物質になっているから、スポーツ選手が用いるのは問題であることは示されている。まあ、総合感冒薬の多くは指定物質を含んでいるのだが。第三の表現の自由は、第二が正当とされれば当然のことになるから、第二が誤りをする立場から発生している論理に留まる。

益戸は参院選で医療用大麻の解禁を訴えていた。医療用大麻という言葉からすれば、嗜好品としての大麻とは別に、医療用に用いられるものがあるような響きがある。答えとしては簡単で、どちらも同じ大麻である。つまり、大麻の医療用途への適用という話に過ぎない。少し前に裁判になっていた末期癌患者が大麻を使用して逮捕された事例があった。残念なことに、被告人であった癌患者の死亡により裁判は終わっている。大麻が癌に効き、癌が治るということは否定されている。末期癌患者が大麻を喫ってQOLが回復するというのは分からない。末期癌患者が違法薬物を用いてQOLを上げることをしても、逮捕は出来ても公判の維持は無理がある。使用した本人を裁いても意味がない状態で、どんな取り締まりが想定されるのだろうか。また、QOLの回復の医学的なエビデンスを取るのも難しいだろう。益戸の選挙での主張は、医療用の名を借りて、嗜好品の大麻を入手し易くする方便にしか聞こえない。少なくとも、医療用に試験を開始する求める立場であれば、嗜好品の大麻を所持してはまずいし、一緒に暮らす人が持っていても諫めるのが当然である。


ナチュラリストが薬物依存者と同義に聞こえる。

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