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2016年10月 6日 (木)

東芝、野菜工場を12月末で閉鎖 半導体・エネルギーに集中

東芝は10月6日、野菜工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」(神奈川県横須賀市)を12月末で閉鎖すると発表した。葉物野菜の生産・販売事業から撤退する。半導体、原子力などのエネルギー、昇降機といった社会インフラに集中するため、事業の見直しを進めてきた。
野菜工場は2014年9月に稼働を始めた。遊休工場のクリーンルームを転用し、レタスやホウレンソウなどの葉物野菜を生産してきた。販売で組んでいた業務用マヨネーズ大手のケンコーマヨネーズとの提携も終了する。(日本経済新聞:10月6日)


野菜工場について考える。


東芝の工場は、以前はフロッピーディスクを製造していた工場だと言う。製品が変わることはままある話で、その後の工場をどのように活用するかというのは、重要な経営課題ということだろう。労組側にも同じ地域での雇用の継続が実現されることに不満はない。東芝クリーンルームファーム横須賀の開始直後の2014年9月に発表された規模に関する資料を下に示す。

■ 東芝クリーンルームファーム横須賀発表資料
  所在地  : 神奈川県横須賀市船越町1-201-1 
  延床面積: 1,969平方メートル
  栽培品目: リーフレタス、ベビーリーフ、ホウレンソウ、ミズナ、ハーブ
  生産規模: 300万株/年(レタス換算)


この頃に盛んに発表された野菜工場は、葉物野菜と決まっていた。リーフレタスというのは定番である。クリーンルームを転用することから、縦方向に積み上げる方式での栽培を実現しないと、地代の回収が難しいという事情もある。この他にはトマトも検討される。こちらは縦に伸びるが、面積当たりの収穫量が大きく、野菜の単価も高いことがある。オランダで安い天然ガスと組み合わせて、加えて二酸化炭素の供給もするというトマトの高い生産性が話題になる。欧州のトマトは調理用が主流で、日本の生食用と異なる。おまけに、日本の野菜というのは、子供向けと思えるほどなんでも甘く品種改良を施す。これがオランダモデルが成立し難い事情になっている。
野菜工場のとっかかりは葉物野菜で、その後はトマトを計画すると書くのが決まりになっている。そして、温湿度管理の徹底により収穫量に気候変動の影響を受けなく、安定した収量が期待されると続く。LEDの採用や、二酸化炭素の供給、そして、クリーンルームと水耕栽培の組み合わせで無農薬で安心した野菜が生産されると書いてあるものである。その結果は、生産量が安定していない。一部の野菜工場では病気の発生も出ているようだ。水耕栽培を用いた促成栽培で、病気や生理障害の発生は付きものになっている。水耕栽培でなくても、ビニールハウスなどの施設栽培で発生し易い問題であるが、作物の最適環境が病害虫にも最適である場合もあり、クリーンルームで排除するには、作業者の立ち入りもあり限界があるということなのだろう。露地物で問題が少ないのは、病害虫が異常発生するような環境にはならず、害虫に関してはそれを排除する別の生き物が存在することもある。事業計画に書かれていることは、従来から農業の施設栽培で問題になっていることを、クリーンルームと水耕栽培ですべて解決という随分と楽観的な見方で済ませている。

東芝の工場は、発表のあった2014年9月30日に、年間3億円の売上を目指すとしている。野菜の数からすれば、リーフレタス換算で1株100円で、年間300万本出荷する計画となっていた。リーフレタスの栽培期間は60日前後であるから、6回サイクルで1サイクル50万本の出荷ということである。平準化すれば、1日当り1万本程度の出荷を繰り返すことになる。
採算が合わない理由は単純な話である。高いからである。農薬を使わないのは安くするには正しいが、健康的をアピールするのは商売上難しい。野菜工場でない流通しているほとんどの野菜に農薬が使われている中で、無農薬をアピールすれば販路が非常に限定される。その程度の生産量であるのだが、販路をコンビニエンスストアやスーパーマーケットに求めている。言っていることとやっていることの矛盾に気を付けなければならない。また、この国では流通が整備されていて、狭い国土の割りに気候条件の違いがあることから、いつでも多様な野菜を入手可能である。価格帯としては露地物と競争は出来ないだろうが、施設栽培の野菜に対して野菜工場のものが価格が同じであったら好まれると言えるのかについて説明がない。私なら選ばない。
野菜工場は野菜の栽培に不適な環境の場所で行うものであろう。日本で行うのは、将来の検討の為にデータ収集という位置付けであろう。南極の基地や、モンゴルの冬なら野菜の値段が高くとも価値を見出し得るだろう。しかし、日本では駄目だ。おまけに農業のことが分かっていない半導体設備の技術者で最適解を示せる筈もない。施設栽培のプロの知恵を結集する必要がある。これだけで本気でないことが示されている。選択と集中は体の良い言い訳に過ぎない。


なめている。それに尽きる。

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