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2016年9月 6日 (火)

エプソン、オリエント時計を統合 ブランドは継続

セイコーエプソンは9月6日、機械式腕時計の完全子会社、オリエント時計(東京・新宿)の事業再編を検討すると発表した。2017年4月をメドに開発、製造など国内販売を除く全部門をセイコーエプソンに統合し、国内販売は子会社のエプソン販売に統合する方針。事業再編後も60年以上の歴史を持つ「オリエント」ブランドは継続する。
統合により機械式腕時計の開発・製造で培ったオリエントの技術を取り込み、エプソンが力を入れるウエアラブル端末事業の新製品開発に生かす狙いだ。従業員や生産子会社も引き継ぐ。オリエント時計の前身の吉田時計店は1901年創業。中価格帯の製品群を持つ中堅腕時計メーカーとしての地位を築いたが、1990年代の円高で海外販売が振るわなくなり業績が悪化、09年にエプソンの完全子会社になった。(日本経済新聞:9月6日)


国内の時計市場について考える。


オリエント時計がセイコーの出資を受けたのは1997年のことである。機械式時計がブームというか、注目されるようになったのは1990年代であったと思うが、ブームの対象は機械式時計であってもスイスの高級ブランドであったようだ。その後、国産メーカも機械式の採用に力を入れてきたから、衰退する市場ではなく、儲かる市場としてメーカが注目したということなのだろう。 日本時計協会が発表した資料から、国内の腕時計完成品の総出荷金額の推移をまとめたのが下である。

■ 日本のウオッチ完成品総出荷(輸出+国内出荷)の推移(単位:億円)
   年    アナログQ デジタルQ  機械式    合計
  2008    1,405     246     230     1,971
  2009    1,137     208     167     1,512
  2010    1,253     244     176     1,673
  2011    1,294     220     175     1,689
  2012    1,410     237     198     1,845
  2013    1,644     275     226     2,145
  2014    1,915     296     271     2,482
  2015    2,226     319     318     2,863


国産品の安い機械式時計ではそれほど売れないし、そもそも労賃の高い国内で安い時計を作る理由も見出せない。安く作ろうと東南アジアで造ると、ブランドイメージが下がるだけだという事情も出てしまう。機械式時計の売上高が伸びているのは、価格の高いモデルを増やした効果と考えて良かろう。そもそも機械式時計など、機能が増えれば故障の原因が増えるというものだし、機械式であるが故に注油の重要性も高い。クォーツ時計のもっとも機能の少ない機種が500円程度であるのに対し、機械式の最も安いのは1万円近いから、10倍以上のコストが必要ということだろう。クォーツは機能を増やして価格を安くするが、機械式は機能を増やすと大きく動かなくなる。年に数回しか動かさない高級クルーザーより、業務に用いている漁船の方が安定して動作するものである。そもそも、高級機械式時計は動いていなくても、一日二回正確な時刻を表示するから良しとするものである。動くことを期待していない製品というのも世の中にはある。期待していないのだから、性能の議論も意味を持たないことになる。

近年のオリエント時計の売上構成では、時計事業は三割程度であると見られる。クォーツも機械式も作っている会社であるが、時計が必需品として売れる時代でもない。進学や就職のお祝いに、腕時計や万年筆を贈るというのがあったが、これは古き良き時代の風習になっている。時計が無くてもスマートフォンで時間は分かるし、手帳にメモするというのもしない。会社の打ち合わせなら、パソコンに入力して関係者に直ちに送信するものである。
時代の変化によって、セイコーエプソンの子会社になったのだし、時計以外の事業が拡大して生き残れたとも言える。オリエント時計の機械式時計というのは微妙な位置で、低価格に徹している訳ではないが、高級路線に走るつもりもないというラインナップである。これを中価格帯と呼ぶのだろうが、世間の関心が薄くなった製品で中くらいというのが最も苦しい位置になる。セイコーの自動巻きのラインナップで、セイコー5とグランドセイコーがあるが、街での両者の価格には100倍の開きがある。ステンレス製のモデルでの比較である。潰して換金できるものでもない。時間と日付、曜日表示があるくらいで、どこぞの国の時間は分からないし、電波を受信して時間修正をする機能もない。精度に差は確実にあるだろうが、それが実生活に影響する人もそれほどはいないだろう。オリエント時計のモデルはこの間に挟まれる。何を期待すれば良いのだろうか。

腕時計をしない社会人は、時間に関する規律に乏しいと見られるとしよう。機械式の時計であれば、毎日動作の確認も必要だろう。時間合わせもするかもしれない。最低限のメンテナンスに注意を払うことも欠かせない。周囲に気遣い出来る人だと思われるのなら、時計会社の商売も少し改善しそうだ。
本数ベースではデジタル表示のクォーツがはるかに大きいのだろうが、機械式が金額で対抗できるレベルにあるのは頼もしい限りである。クォーツならデジタル表示の方がメンテナンス不要になるし、電池の消耗もすくないから、総合的な性能は上である。樹脂製のケースにすれば軽いし安い。見た目という性能で選ばれるということのようである。難しい市場である。
そういえばと思いつき、リコーの時計事業のホームページを見た。見なければ良かったような状況である。歴史や伝統というので食っていくには、それに見合った投資を継続していかなければならないということは、どんな商品においても同じということのようである。


手間いらずで楽が出来るというのでは、人間が先に不要になりそうだ。

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