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2016年9月29日 (木)

長谷川豊さん、テレビ大阪の番組降板 ブログ記事めぐり

テレビ大阪は9月29日、金曜夕方の報道番組「ニュースリアルFRIDAY」のキャスターを務めていた、フリーアナウンサーの長谷川豊さんの降板を発表した。長谷川さんがネット上に発表した記事が理由と説明した。テレビ大阪は「行きすぎた表現があり、多くの人に著しく不快感を与えた。何よりも言葉を大切にしなければならない報道番組のキャスターとしては不適切な発信と言わざるを得ない」としている。
長谷川さんは自身のブログに19日付で「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と題した記事を掲載。ネットなどで批判が集まっていた。(朝日新聞:9月29日)


差別的な発言について考える。


長谷川のブログの記事は、人工透析患者が自身の不摂生によってなったのに、費用の多くを健康保険に負担させている状況が、若者に大きな負担を強いるもので、制度として良くないから、不摂生で人工透析に至った患者には全額自己負担にせよ、という内容のものである。ブログの表題が記事の様な表現になっているのは、炎上することを狙ってのことだろう。平凡な題名より、刺激的なものが好まれる。
さて、健康診断時の指導などで、運動や食事の改善が必要と指導されていたのにも関わらず放置した、あるいは健康診断そのものを回避した結果として、非常に状況が悪くなりその先に人工透析に至った人を、健康保険で面倒を見る必要があるかという話である。どのくらい健康保険に負担が生じるかと言えば、月額で個人負担が1万円に対し、健康保険が39万円というイメージのようだ。個人負担は患者の経済状況により0にもなるし、2万円の場合もあるという。そんな状況を理解した上で、長谷川は自己責任の原則を、新自由主義的なゲインを掛けて公表したということである。しかし、自己責任というのは、保険制度を否定するところまで行く話であり、その途中に妥当な妥協点というか、バランスする位置が見出せそうにない。相互扶助とか、連帯とか、助け合いとか、何が違うか分からないが、そのようなカテゴリーの思想を否定することになる。その一方で、長谷川は健康保険制度の継続を前提にしているから、そこまで極端な新自由主義は採用しないようだ。
健康保険制度の問題点としては、医師が独占している領域について、他者のチェックが一切入らないことがある。必要でない検査や投薬が行われていても、患者が不調にならない限りは不問になる。検査や投薬は、同類の患者集団において、出現確率が高い範囲での最大をもって良しとする経済原理が働く状況にある。医療に経済活動の側面があるのだから、当然の至ってしまう結果である。最小の検査と投薬の集団は、最大の集団に比べて、予後が良好である場合が圧倒的に多いと信じる (薬には必ず副作用がある。検査も患者への負担がゼロではない) のではあるが、最大によって救わた少数の患者も存在するであろう。日本人は検査や薬が好きなようで、 沢山検査や薬を処方する医者が良い医者とする傾向が、多数の健康負担の軽減と経済的な合理性と、ごく少数の成果との天秤で後者を良しとする理由になる。長谷川が健康保険制度に提言するつもりなら、透析患者の話を引く必要もなかった。

視点を変える。肝臓移植において、アルコール依存症の患者を待機リストのどこに置くかという議論が米国で過去にあった。リストに載せるべきではないという思想、つまり、自らのアルコール摂取により肝機能を低下させて、移植が必要になった患者に新しい肝臓を与えても、再び悪くするだけだという考え方である。議論は、依存症があっても差別することはないという結論に至っている。依存症という病気起因で発症した肝臓疾患に、他の原因による疾患との区別の理由がないという理屈である。長谷川が指摘する透析患者においても、同じ様な話に思える。
もう少し考えてみよう。人工透析に至った理由が自身の健康管理が悪いとしても、同じ様に暮らしていても発症しない人もある。人工透析に至るより前に、食事の管理と適度な運動によって改善することが期待されるが、効果の出やすい人とそうでない人もいる。これのどこに線を引くのだろうか。ブログの印象からすれば、先天性と判断された人を除く、という解釈で良さそうだが、微妙な問題も出てくる。長谷川は一般社団法人医信の理事をしているそうだ。医療関係の団体だろうと思われるが、長谷川ブログと法人の見解が違うというページしか表示されず、何をしているのか分からない。
一部患者の人工透析を全額自己負担にして、払えないと泣きつくなら殺してしまえという話である。殺してしまえと健康保険制度の議論とをくっつけるのが、この人物の確信犯的な炎上商法ということなのだろう。それならと訊いてみたいことがある。この国では年間三万人余りの人が自殺によって亡くなっている。未遂に関しては公表されているデータがないが、この数倍はあるのだろう。無論、ごく軽い場合=狂言に近いもの、から、深刻な後遺症が残る場合まで幅広かろう。健康保険では自殺未遂を対象にしないとしている。重度の後遺症があって、医療行為を停止することが死に等しい場合もあるだろう。近親者があれば面倒を見ることも可能だろうが、そうでなければ誰がするのか。国になるんだろうか。実際には、自殺を試みる人の多くは精神疾患を持っているから、自傷行為も疾患の問題行動の一つと認識されるようだ。つまり、自殺未遂も健康保険の対象である精神疾患の延長線上にあり、健康保険の対象になるということである。長谷川は、自殺未遂者が健康保険の世話になるのはおかしいとして、殺してしまえと主張するのだろうか。未遂で重度障害が発生した場合には、法律によって死刑にするとなれば、自殺未遂の刑事罰は殺人罪相当という解釈となる。刑事罰の強化による犯罪抑止効果は期待できない。もしかしたら、未遂も厳罰に処すのかもしれない。透析を行っている患者の年間死亡者数は3万人を超えるという。(日本透析医学会) なんだか、自殺者数と似ている。

長谷川のブログにそれ程の内容はなく、主張も広がりに欠ける。他人のことをとやかく言える立場にもないが、文章が読み難い。基本的に、話題になることが目的の人物なのだろう。テレビ局に就職し、フリーになったということからして、目立ったもの勝ちという価値観は否めない。テレビ局も扱い難いと判断すれば、替えは効く程度の扱いなら判断は早い。


テレビ大阪も医信も、被害者の様に振舞っているが、それで良いのだろうか。

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