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2016年9月12日 (月)

「だまされたふり作戦」受け取り役に無罪判決 福岡地裁

特殊詐欺事件を摘発する警察の「だまされたふり作戦」で送られた荷物を受け取ったとして、詐欺未遂の罪に問われた男性被告(35)=兵庫県尼崎市=に対する判決公判が9月12日、福岡地裁であった。丸田顕裁判官は「(被害者が)詐欺だと気づいたうえで送った物を受け取っても、詐欺行為にはならない」などとして、無罪を言い渡した。
判決によると、福岡県大野城市の女性宅に昨年2~3月、「ヤマシタ」を名乗る氏名不詳の人物が「ロト6が当たる特別抽選に参加できる」などと電話し、現金120万円をだまし取ろうとした。不審に思った女性は警察に相談。福岡県警の捜査に協力してだまされたふりをし、現金の入っていない箱を指定された大阪市のマンションに発送した。被告男性は、知人から紹介された何者かの指示を受け、荷物を受け取るために3月25日に大阪市内のマンションの空き部屋へ赴いた。部屋で配送業者を装った警察官から荷物を受け取り、現行犯逮捕された。
判決は、被告の男性が以前から、5千~1万円の報酬で荷物を数回受け取っていたことから「何らかの犯罪行為に加担し、詐欺かもしれないという認識はあったと推認される」と指摘。一方で、男性が受け取りの依頼を受けたのは、女性が電話を受けた後で、詐欺行為について事前の共謀があったとは認定できない、とした。また、男性が事件に関与したのは、女性が被害に気付いて捜査に協力し始めた後だった点を踏まえ、「犯人検挙のために発送したものを受け取るのは詐欺の実行行為に該当しない」と判断した。丸田裁判官は「報酬に目がくらんで行為に及んだもので、その非常識な行いと卑劣な心根は非難を受けてしかるべきだ」としたうえで「客観的に検討すると、有罪とすることは許されない」と結論づけた。判決を受け、福岡地検は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とのコメントを出した。福岡県警は「判決確定前なのでコメントは差し控える」としている。(朝日新聞:9月12日)


だまされたふり作戦について考える。


だまされたふり作戦というのは、所謂おとり捜査の隣に位置している。日本でおとり捜査が認められているのは、麻薬捜査と銃刀法違反とノミ行為であるとされるが、少し間違いがあって、麻薬捜査においておとり捜査が認められるのは麻薬取締官であって警察官ではない。銃刀法違反とノミ行為には警察官に求められている。銃刀法違反は海上保安官にも。しかし、無制限に許されるものではなく、例外的に手続きを踏んで認められると認識するのが妥当なところである。
おとり捜査にも種類があって、「機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象とする場合」 (機会提供型) と、「元々犯意を有していない者を対象とする場合」 (犯意誘発型) に分けられる。機会提供型は認められる場合があるが、犯意誘発型は違法ということになっている。さあ、犯罪をしなさいと誘惑されて、手を出したら逮捕されるというのは、確かにあんまりな気がする。しかし、機会があれば犯罪を行う意思という推定を本人以外がするというのは、結構乱暴な話であるし、あいつならやりそうだ程度でマークするのであれば差別と呼ぶよりない。よって、原則違法と考えられるということに至る。

だまされたふり作戦という捜査手法は、2009年に神奈川県警が始めて、現在では全国の警察で導入されている。背景としては、被害者から現金を受け取る方法が振り込み型から、手渡し型中心に変わったことで、犯人を直接逮捕できる機会が増えたことにあるようだ。金融機関の協力で振り込み型が成立し難くなったのは結構なことだが、窓口で不要と思われる本人確認が増えたのは困ったものである。銀行が手数料を取らない指定金融機関になっている場合でも、本人確認しないと振り込めないという。振込先が詐欺クループかマネーロンダリングをしている可能性を示唆しているのだが、この犯罪集団に銀行が便宜を計っていると自白している。窓口は上からの指示であり、本店の命令を出す組織は、金融庁からの指導というを拠り所にしているのだろう。業務に対する矜持の欠片も無い。
特殊詐欺の被害の被害状況について確認する。警察庁発表の資料をまとめたのが下である。

■ 特殊詐欺認知・検挙状況推移
   年    認知件数  被害総額(億円) 検挙件数  検挙人員
  2004    25,667     283.8      1,305      548
  2005    21,612     251.5      2,539      819
  2006    19,020     254.9      2,974      761
  2007    17,930     251.4      3,079      454
  2008    20,481     275.9      4,400      699
  2009     7,340      95.8      5,669      955
  2010     6,888      112.5      5,189      686
  2011     7,216      204.0      2,556      923
  2012     8,693      364.4      2,990     1,523
  2013    11,998     489.5      3,419     1,774
  2014    13,392     565.5      3,252     1,985
  2015    13,824     482.0      4,112     2,506


検挙件数は増えてきているものの、認知件数の増加が止まらない。金融機関から手渡しに変わったことで新たな対策が必要になったということだろう。検挙される可能性が高いと、結果として詐欺件数が減り、事件の少ない社会が実現できると信じているのだろう。この素朴な正義感には敬服するよりない。社会的な真実としては、検挙される可能性が低いと犯罪がはびこるであろう。検挙される可能性が高くても、得られる金額が大きければ、ハイリスクハイリターンが成立し、犯罪に着手する者が増える可能性はある。
この素朴な原理主義者集団を恐れるのは、社会正義の実現の為ならこの位許されると、社会の合意として成立している法律の範囲を自由に変更してしまうことである。結果として、無罪判決が出て、これで判決を確定させたくないと思うにせよ、手続きに問題があったことが世間に晒されることになった。おとり捜査を違法と認識しているのであれば、だまされたふり作戦にも一定の条件を考えないと裁判を維持できない可能性があることは容易に想像が付く。法律に疎い現場の警察官にすべてを求めるのは酷であろうが、だまされたふり作戦キャンペーンの旗振りをしている警察庁なら、認識はあった筈である。

一般に、詐欺は被害者側の欲が原因の一つになっている。子供の刑を軽くしたいとか、税金の戻し金があるとか、抽選にあたったとか、どれも美味い話にかみついたということである。子供に適切な刑罰を与えることや、そもそも税金を払っていないことや、抽選に当たり謂れが無いことを、冷静に認識すれば引っ掛からない。しかし、犯罪グループはこの微妙な心理を付くことを専ら行っているのだから、素人が被害に堕ちるのは当然とも言える。それならいっそのこと、おとり捜査でじゃんじゃん逮捕したらどうか。違法捜査だから、起訴は無理であるが、犯罪グループは困惑することだろう。そんな犯罪グループに、違法捜査と、違法捜査への被害請求に対する相談窓口を設定すれば良い。そこに電話すると、個人情報が警察に筒抜けで、犯罪グループから金を巻き上げるというのはどうか。


検挙人数に対する無理なノルマ設定があったというのが原因というのはやめて欲しい。

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