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2016年9月27日 (火)

法科大学院7校、17年度補助金基礎額ゼロ 文科省評価

文部科学省は9月26日、2017年度に法科大学院に交付する補助金の基準の一つとなる評価結果を公表した。司法試験の合格率などが指標で、補助対象の国立・私立大計41校のうち9校を最高評価とする一方、7校は補助金の「基礎額」がゼロになる最低ランクとした。前年の最高と最低はそれぞれ13校、4校だった。
同日開かれた中央教育審議会の法科大学院特別委員会に示した。最低評価は国立の金沢大と、私立の北海学園大、青山学院大、明治大、桐蔭横浜大、南山大、近畿大。文科省は法科大学院に教員の人件費を補助している。一部校で司法試験合格率が低迷したことなどから、15年度に補助金の傾斜配分を始めた。合格率や入学試験の競争倍率などを点数化し、5段階に分類。基礎額となる補助割合を上から90%、80%、70%、60%、0%とし、各校が提案する教育プログラムなどに応じて一定額を加算する。最終的な補助額は12月に決まる見通し。また、特別委員会は受験時の1次試験として志願者全員に課す「適性試験」について、18年度から各校が任意で利用する方法に変えるべきだとの提言をまとめた。法科大学院47校への調査(5~6月)で、43校が任意化に賛成。「志願者確保の妨げ」「個別入試で受験者の適性は判定可能」などの意見が寄せられた。(日本経済新聞:9月26日)


法科大学院について考える。


過去に何度か扱った通りで、法科大学院の制度に否定的な考えを持っている。大学はそもそも学問をする場所で、職業資格を得る為のものではないと考えているからである。もちろん、資格試験が単独で構成するのが難しいから、大学と連携する必要があるのは理解する。例えば医学部と医師国家試験の関係がこれに当たる。歯科医師でも看護師でも薬剤師でも獣医師でもこの形式に当てはまる。法律家を育成する為の職業訓練学校だとするなら、それを受け入れないではない。それならばと国家試験の合格率をまとめてみた。下に示す。

■ 国家試験の合格率
   医師     94.3% (91.5%)
   薬剤師    76.9% (86.2%)
   歯科医師  72.9% (63.6%)
   獣医師    78.8% (88.0%)
   看護師    89.4%
    司法試験  23.0% (61.5%)


括弧内に示したのが新卒者の合格率で、前が全体である。司法試験の括弧内のみ、司法試験予備試験での受験者の合格率である。予備試験は法科大学院を経由しない受験方法で、2011年から実施されている。予備試験の合格率開始から順に、1.79、3.05、3.80、3.44、3.81% となっている。旧司法試験のイメージである。この試験経由で司法試験に合格した者の職業を見ると、法科大学院生、大学生、無職、会社員、公務員となっている。経済的理由で法科大学院に進学できない人の救済というのは、既に価値を失っている。
話を戻す。合格率が八割を超え、再度試験を受けることで合格する者もあることからすれば、医療系の国家試験について、厚生労働省が学校教育を信じて、その上で能力を確認するという姿になっている。一方で、司法試験は大学教育を受けないルートで合格する者が多くいることからして、大学教育は受験予備校の位置付けになっている。つまり、文科省は受験予備校に補助金を出しているということである。この予備校の成績上位者は予備試験に合格し、これに合格すれば六割を超える。予備試験経由の合格者数が235人で、2015年の予備試験の合格者が394人である。予備試験は五年間有効であるから、直前の合格者のみとは限らないのだが、この状況で法科大学院に進学を進める理由をどこに求めれば良いのだろうか。司法試験に似た資格として、司法書士と行政書士、税理士、公認会計士いうのがある。これらの受験者数と合格数を下に示す。

■ 国家試験合格率
           受験者数  合格者数   合格率
  司法書士    17,920     707     3.9%
  行政書士    44,366    5,814     13.1%
  税理士      41,031    6,909     16.8%
  公認会計士   10,180    1,051     10.3%


こちらの試験も医療系の合格率とは大きな差がある。しかし、こちらは受験資格がないか、比較的緩い。受験資格が緩くて、合格すれば相応の待遇が期待できる公認会計士の方が良いと判断する者もあるだろうが、これも合格は難しい。制度改正前の司法試験と似たような状況だが、所管する金融庁は合格に何年掛っても気にしていないということだろう。その意味では法務省の方が情があるということか。

大学は卒業が可能だと思われる人を入学させれば良いと考えている。そして、卒業要件を満たさないと考える者を卒業させてはならない。これが大学という学歴の価値を維持する最低限の役目である。日本の大学は、入学するのは大変だが、卒業するのは易しいと言われる。この状況で卒業した大学や学部で学力を判断するのは、即ち高校卒業時の学力を持って判断することに等しい。学問をすることは正しい。現在のこの国の考え方に立てば、学問することは自由を得ることである。経済的な成功と結び付けるのが世の中では好まれるようだが、それなら必要な学部はごく少数で、他は教養学部という名称で良い。それで教養学部ですべてに価値のある研究が可能かと言えばそうもいくまい。
法科大学院は愚かな試みであった。これで幸せになる者が生まれなかった。大学で教鞭を取る人の椅子が増えたと考えるのなら、受験予備校の有能な講師の席と等しいのだから、少しの競争原理の差異に留まる。せいぜい文科省の監督する部署が増えたということだけだ。法科大学院を出たら、他の試験の受験に有利に働くというのが好ましい話で、制度を活かすには良いのだろう。しかし、司法試験の不合格者の落穂拾い扱いになる資格は、二軍扱いのようになり酷い話である。補助金を切るなら、募集を停止すれば良い。それだけの話である。その先にあるのは、予備試験ルートの合格者の増加だけだろう。制度自身が自己否定するという。凄い思想で作ったものである。


ありもしない夢を語るのは、詐欺師の手口である。

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