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2016年7月26日 (火)

公取委、TDKなど2社立ち入り HDD用部品カルテル疑い

パソコンなどのハードディスクドライブ(HDD)用部品の販売を巡り価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は7月26日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、主要メーカーのTDK、ニッパツの2社を立ち入り検査した。両社から得た資料を分析して実態を解明する。
関係者によると、両社は数年前から、HDD用の部品「サスペンション」の販売価格について協議、決定していた疑いが持たれている。サスペンションはデータを読み取る磁気ヘッドを支える部品。民間調査会社によると、サスペンションを製造しているのは世界で日本の3社と米国の1社の計4社。TDKとニッパツがそれぞれ4割弱、米社が約2割の世界シェアを占めているという。HDDの世界出荷台数は2015年で約4億7千万台で、10年と比べ約3割減っている。TDKは「検査に全面的に協力する」、ニッパツは「公取委の指示に従い検査に協力する」とコメントしている。(日本経済新聞:7月26日)


HDD部品について考える。


HDDのヘッドを支持す部品であるサスペンションを製造するメーカは現在TDK、ニッパツとサンコールの三社である。この分野で有名な会社にハッチンソンがある。もう四半世紀以上前の話だろうが、サスペンションのタイプの呼称は、ハッチンソンのモデル名になっていたと思う。外販する会社が少なかった時代であるし、そもそもHDDの市場規模が現在と比べるべくもない。何かあったという微かな記憶を頼りに調べたら、記事がすぐに見つかった。TDKは2015年11月に米国の Hutchinson Technology を買収することを発表し、この市場でのトップシェアになった。この時の発表で、買収額は1億2,600万ドル(約150億円)から1億4,000万ドルになる見込みとなっていた。 Hutchinson Technology のサスペンション関係の売上高の推移を確認した。結果を下に示す。

■ Hutchinson Technology 9月期セグメント売上高推移 (単位:百万ドル)
                    2015    2014    2013   2012    2011   2010
  Suspension assemblies   240.8   250.8   240.5   234.3   270.8   337.9
  Other revenue          12.0    10.3     9.1    12.8     5.0     6.8
  Total net sales        252.8    261.1   249.6   247.1   275.7   344.8


2.5億ドルの売上高の会社としてみれば、1.25億ドルの買収額は概ね過去のM&Aの例に合致する。Hutchinson Technology は2011年に4.5億個のサスペンションを売っていた会社であるから、TDKが買収しないで投資によって増やすという選択肢は、この事業の先行きを考えると、投資はしても早期に回収することがリスクを下げるから、難しいということになるのだろう。

HDD会社が三社になって、外販するヘッド会社が一社で、ヘッドのサスペンション会社が三社あるのはむしろ多い気さえする。サンコールのサスペンション事業の顧客は、古くは日立製作所であったと記憶する。この会社はIBMの事業を吸収し、その後はWDに吸収された。技術が高度化し、候補となる取引先が少なくなるなかで、事業の継続をするには、取引先との協力関係が欠かせない。そんな環境にありながら、TDKとニッパツがカルテルを結ぶ必要を感じないし、供給能力の問題も考慮すれば、二社購買していて片側に大きく振ることも難しいのだから。
記事の企業について、事業セグメントの売上高推移を確認しようとしたが、TDKについてはHDD用ヘッド全体が一つに括られていて数字に意味がないと判断した。ニッパツとサンコールについて確認した結果が下である。

■ 日本発条3月期決算精密部品売上高推移 (単位:百万円)
    年         2016    2015    2014   2013    2012    2011
  精密部品      142,943  137,035  128,620 123,373  99,961   113,306
  利益         10,074    8,706   5,597   2,919   3,508   11,818


■ サンコール3月期決算サスペンション売上高推移 (単位:百万円)
    年          2016    2015    2014    2013    2012    2011
  サスペンション   3,799    4,907   4,221    4,092   4,400   4,873


セグメントに含まれる製品群が、サンコールではサスペンションに限られるのに対し、ニッパツは他の部品が含まれる。TDKならもっと差が大きいのだが、こんな話をしていても仕方ない。
ハッチンソンのTDKの買収は完了していないので、当該事業を行っているのは四社という解釈のようだ。サスペンションの出荷本数をHDDの3倍とすれば、14億個ということになる。二社が5億本強で、ハッチンソンが2億本、サンコールが1億本というところだろうか。市場の成長が期待できないというのが共通認識になって、それでいて現在の市場規模が大きく、現有生産設備も多く抱えているとなると、ちょっと相談しようという悪魔のささやきが首をもたげるということなのだろう。


バネ会社という主張の弱い会社が作るので、少々地味な印象の製品である。

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