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2016年6月21日 (火)

三菱自、燃費不正の軽4車種「7月上旬にも販売再開」

三菱自動車の益子修会長は6月21日、国土交通省で石井啓一国交相から、一連の燃費データ不正問題に関して厳重注意を受けた。その後、記者団の取材に応じ、燃費改ざんがあった軽自動車4車種について「生産と販売を7月上旬にも再開したい」との意向を示した。顧客に代わって負担するエコカー減税などの納税額が80億~90億円になるとの見通しも明らかにした。
益子会長と相川哲郎社長は午後3時すぎに国交省に出向き、石井国交相から再発防止策の徹底など、厳重注意を受けた。同社は4月に問題が発覚した際、「eKワゴン」など、軽4車種の実際の燃費がカタログ表示より5~15%水増ししていたと公表していた。しかし、同省の再測定の結果、16%悪かった車種もあったという。ただ、国交省の測定結果と大きな差はなかったため、量産に必要な「型式指定」の取り消しは見送った。これを受けて三菱自は再測定結果に基づき、燃費値の修正を申請したうえで、4月20日から停止していた軽4車種の生産を7月上旬から再開することを目指す。このほか、益子会長は顧客に賠償金として1台あたり10万円を支払うことも正式に表明した。(日本経済新聞:6月21日)


三菱自動車製造の軽自動車について考える。


燃費試験結果について詳細な報道がされておらず、乖離が5~15%あったというような表現を用いている。具体的な数字で報道するのが本筋だと思うのだが、報道管制でもしているのだろうかと疑ってしまう。印刷されたデータの画像があったので、そのデータをまとめたのが下である。

■ 国土交通省の試験結果と、カタログ表示値の燃費比較
    型式     駆動  過給器 諸元値 確認試験 乖離割合
  DBA-B21A   2WD   NA   26.0    22.3    14.2%
  DBA-B21A   2WD   NA   26.2    23.1    11.8%
  DBA-B21A   2WD   NA   26.2    22.3    14.9%
  DBA-B11A   4WD   NA   25.6    22.1    13.7%
  DBA-B21A   4WD   NA   25.4    21.4    15.7%
  DBA-B21A   4WD   NA   24.6    20.7    15.9%
  DBA-B21A   4WD   NA   25.6    22.5    12.1%
  DBA-B21A   4WD   NA   24.6    20.9    15.0%
  DBA-B21A   4WD   NA   24.6    21.1    14.2%
  DBA-B11A   2WD  ターボ  22.2    20.8     6.3%
  DBA-B11A   2WD  ターボ  24.0    22.3     7.1%
  DBA-B11A   4WD  ターボ  22.6    20.5     9.3%
  DBA-B21A   4WD  ターボ  20.8    18.4    11.5%
  DBA-B11W   2WD   NA   25.8    23.4     9.3%
  DBA-B11W   2WD   NA   25.8    23.5     8.9%
  DBA-B11W   2WD   NA   25.8    23.6     8.5%
  DBA-B11W   2WD   NA   26.0    23.9     8.1%
  DBA-B21W   2WD   NA   29.2    27.1     7.2%
  DBA-B21W   2WD   NA   30.0    26.5    11.7%
  DBA-B21W   2WD   NA   30.0    27.1     9.7%
  DBA-B21W   2WD   NA   30.4    26.1    14.1%
  DBA-B21W   4WD   NA   26.0    22.8    12.3%
  DBA-B21W   4WD   NA   26.0    23.1    11.2%
  DBA-B21W   4WD   NA   26.0    23.0    11.5%
  DBA-B21W   4WD   NA   26.6    22.4    15.8%
  DBA-B11W   2WD  ターボ  23.4    22.0     6.0%
  DBA-B11W   2WD  ターボ  23.4    22.1     5.6%
  DBA-B11W   2WD  ターボ  23.4    21.6     7.7%
  DBA-B21W   2WD  ターボ  26.2    23.9     8.8%
  DBA-B11W   4WD  ターボ  22.6    21.2     6.2%
  DBA-B11W   4WD  ターボ  22.6    21.3     5.8%
  DBA-B11W   4WD  ターボ  25.0    22.1    11.6%
  DBA-B21W   4WD  ターボ  22.6    21.4     5.3%


同じ型式のモデルでも、年式が異なるもので燃費データが異なるというものがある。年式によるまとめ方になっていたが、余りに煩雑と感じたので、型式・駆動・過給器の有無でソートすることにした。なお、上記モデルのトランスミッションはすべてCVTである。
型式の末尾がAのモデルが、デイズルークスやeKスペースといった背の高いモデルで、Wが相対的に背の低い方のシリーズである。燃費試験と過去のデータとの乖離が小さいのは、ターボモデルが多い。NAモデルのタイヤサイズが 155/65R14 であるのに対し、ターボモデルでは 165/55R15 となっている。ターボモデルの方が、大きく幅広く、薄いタイヤになっている。一般には転がり抵抗が増える方向と考えて良い。顧客も燃費を最優先に選ばないモデルという位置付けである。その意味では燃費不正の動機が弱いと言える。ダウンサイジングターボという言葉がある。これは廃排気量を小さくして、摩擦損などを小さくすること、エンジンを小型軽量化できることで燃費の改善を目指すものである。同じ排気量でターボを加えるのは、燃費対策ではなく出力対策である。もしこれで燃費向上が達成されるのなら、NAモデルは危険なほど道路事情に合わないものになる。
駆動方式を確認すると、4WDの方が2WDより乖離が大きい。駆動系の摩擦抵抗が生じるから、負荷が小さく単純な走行試験モードであれば4WDの方が燃費が悪くなる。それを無視しても、部品点数の増加で重量は増える。三菱の担当者は、駆動系の摩擦抵抗に関して、楽観的に考えることにして数値を算出したのではないかと想像してしまう。
背の高いモデルと、低いモデルとの比較では、高い方が空気抵抗が大きくなる。これは抵抗値を走行試験で算出するから、都合の良い数字を採用すれば燃費は見かけ上改善される。これが三菱事件の基本的な構図である。抵抗の大きなモデルで、小さなモデルのものを採用しても大きな矛盾は生じないのだろう。つまり、背の高さや駆動方式は係数で支配される割合が高いと予想できる。
結果として、背の高いモデルの4WDでNAで偽装が大きくなる。背の低いモデルの方が車重は軽くなるが、この燃費スペシャルの乖離の方が小さい理由にはならないのだが。

ところで、2014年のモデルも国交省は試験対象にしている。燃費試験には、三菱に限らず車両の整備を十分に行い、最良の結果を得られるように準備する筈だ。2014年や2015年のモデルについて、三菱の新車の、それもスペシャルの、結果と同じ結果を得られるのだろうか。数パーセントの意味というのは、これらの解釈も加える必要がありそうだ。


燃費で税金を安くするなどということを継続するのがおかしいという単純な話である。

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