« 藤田保健衛生大、医療ツーリズムの受け入れ強化 | トップページ | 富士フイルム、比でインスタントカメラ生産開始 »

2016年6月24日 (金)

三陽商会、希望退職250人募集 「バーバリー」終了響く

三陽商会は6月24日、全社員の2割弱に当たる約250人の希望退職を募ると発表した。希望退職の募集は2013年に続き2回目。昨夏に英バーバリーとのライセンス契約を終了し、主力だった「バーバリー」ブランドの売り上げがなくなったうえ、消費低迷で既存ブランドのアパレル販売も振るわない。不採算ブランドを休廃止するなど構造改革を実施し、業績の立て直しを急ぐ。
16年1~6月期の連結業績の見通しも下方修正した。売上高は従来予想より35億円引き下げ、前年同期比39%減の335億円。営業損益は55億円の赤字(前年同期は77億円の黒字)と赤字幅が33億円拡大する。16年12月期通期の業績予想は策定中という。一時は同社の売上高の約半分を占めたとされる「バーバリー」の販売がなくなるのを受け、16年12月期は2割の減収と20億円の営業赤字を見込んでいた。だが、バーバリーの抜けた穴は想定以上に大きく、後継ブランド「マッキントッシュロンドン」などでも埋めきれていない。百貨店での販売を中心とする既存ブランドも振るわず、追加リストラを迫られた。不採算ブランドの休止・廃止にも着手する。「プリングル1815」の婦人服や「ビアンカエポカ」のほか、複数を検討中だ。希望退職は10月11~21日に募り、12月31日付で退職する。希望者には通常の退職金に特別退職金を加算する。希望者には再就職を支援する。(日本経済新聞:6月24日)


三陽商会について考える。


三陽商会の12月期決算推移を下に示す。

■ 三陽商会12月期決算推移 (単位:百万円)
   期        売上高    営業利益  経常利益  当期純利益
  2015年      97,415     6,577    7,036     2,595
  2014年     110,996     10,213    10,348     6,318
  2013年     106,350     7,053     7,499     3,648
  2012年     107,630     5,855     5,933     2,144
  2011年     104,614     2,084     1,652    -1,181
  2010年     112,057     2,446     2,067      750
  2009年     114,231    -5,208    -5,455    -4,079
  2008年     133,089     4,763     4,839     2,296
  2007年     143,093     9,687    10,081     6,372
  2006年     139,108     9,730    10,065     6,087
  2005年     136,597     9,521     9,762     1,478
  2004年     138,272     9,031     9,330     5,130
  2003年     142,086    13,152    13,155     6,913
  2002年     141,612    13,295    13,042     6,363
  2001年     135,244     9,450     8,879     4,184
  2000年     125,975     5,406     4,367    -2,663


三陽商会のバーバリーとのライセンス契約を終了は2015年6月である。2015年12月期の上半期は対象外になるが、契約が終わることは知られていたから影響は受けているだろう。コートの売上が大きい印象があるので、それだと冬季の売上高が大きいと想像される。物は試しと、上期の通期決算の割合を、売上高と営業利益について推移としてまとめたのが下である。

■ 三陽商会の上半期の通期に占める割合に推移
   期       売上高    営業利益
  2015年     56.8%     117.9%
  2014年     48.0%     44.2%
  2013年     47.8%     40.3%
  2012年     48.1%     44.0%
  2011年     45.6%     -15.7%
  2010年     46.5%     16.6%
  2009年     46.5%     62.4%
  2008年     47.4%     34.8%


バーバリーとのライセンス契約を終了前の平均が売上高で47%、営業利益で31%であった。売上高では持ったほどの差はなかったが、冬季衣料が利益の中心にあるということが分かる。しかし、ライセンスがあった期間の営業利益は通期より大きくなっている。それならばと、下期の期間だけを対象に、下半期の決算を算出して推移をまとめた。下に示す。

■ 三陽商会の下半期期間の決算推移 (単位:百万円)
   期       売上高    営業利益  経常利益  半期純利益
  2015年     42,082     -1,177     -947     -2,482
  2014年     57,726     5,698     5,778     3,145
  2013年     55,534     4,211     4,394     3,814
  2012年     55,826     3,281     3,334      799


バーバリーがあった頃は安定していたが、失った後は営業利益も出せない状況になっている。マッキントッシュロンドンのブランド浸透度は低いと思われるから、少し時間を要するだろう。この少しが分からないのだが、ブランドイメージというのは大量の資金を投入すれば広まるのは確定しているが、良いイメージとして定着するかというとそうでもないようだ。マッキントッシュがコンピュータの名前の方が優勢であると、安売りブランドショップに並ぶ商品のように見られてしまう。トレンチコートの原型で知られる高級ブランドのアクアスキュータムは経営破綻している。原因はレナウン傘下になったことや、昔ながらの手間の掛る方法を継続したことや、ブランドビジネスの中心市場であるアジアを向いていなかったことなどが挙げられる。レナウンに買われて、高級ブランドのイメージが傷付いたというのは、日本人には残念な話ではあるのだが、そのレナウンもその後中国企業の傘下に納まるのだから、ブランドの高級イメージの維持というのには向かない会社であったようだ。

三陽商会の経営が悪い理由は、バーバリーを失うことが懸念されて以降、色々なブランドに手を広げ過ぎたということだろう。英国のバーバリーが山陽商会と手を切ったのは、中国での高級ブランドイメージを守るためのようだ。三陽商会に任せておけば、品質が良好な製品を安く市場に供給することが達成されるが、安く広まるとイメージが崩れるというのが英国の判断のようだ。Rolls-Royce や Bentley が年間1万台を超えるほど売れる時代である。極限られた階層に売るという商売も成立するのだろうが、数千万円の自動車に比べれば数十万円のコートなど、一定量の生産規模を維持しないと品質の維持も難しいだろう。技術の継承には適正な規模が背景に求めらるものである。
バーバリーが三陽商会を手放したことで、アクアスキュータムの道を辿る可能性があると考えるのだが、英国の高級路線は、経営破綻してもいつまでもヘイマーケットに店舗が残るものなのだろう。それが好ましいことかどうかは人によって違うのだろうが、それが迷惑にならなければ良いこともある。少なくとも三陽商会の進むべき道は、良質な製品を供給し、優れた態度で販売することである。


タグに頼る商売を見直す時期にあるのに、時計の針を戻すこともあるまい。

« 藤田保健衛生大、医療ツーリズムの受け入れ強化 | トップページ | 富士フイルム、比でインスタントカメラ生産開始 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 藤田保健衛生大、医療ツーリズムの受け入れ強化 | トップページ | 富士フイルム、比でインスタントカメラ生産開始 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ