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2016年5月18日 (水)

VW、苦肉の「信頼回復」セール 安値イメージの懸念

独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人は5月17日、主力車「ゴルフ」などを最大16万円値下げすると発表した。この取り組みを「信頼回復へ向けた新プロジェクト」と銘打ったが、実態は昨年9月に発覚した排ガス不正で打撃を受けた販売を立て直すための苦肉の「セール」。失った信頼を値下げで取り戻せるのか。
「VWは日本でフレンドリーブランドとして定着している」。3月の就任以降初めて記者会見の場に現れたVW日本法人のティル・シェア社長から謝罪の言葉はなかった。「私はドイツ人でフランス、英国、米国で育ったカーガイです」と自己紹介した後、笑みを浮かべながら「魅力的な価格を紹介します」と新戦略の説明を始めた。その様子は信頼回復というよりも販売回復プロジェクトの発表会のようだった。
VWの日本販売は苦境が続いている。昨年9月、ディーゼル車の排ガス試験での不正が発覚した後、一時は半減した。問題の車種を販売する北米や欧州では2015年に14年より増えたのに対し、対象車種を売っていない日本は18.8%減。今年4月も前年同月比8%減と回復が遅れている。都内でVW車を扱うディーラー関係者は「輸入車の中でVWの価値が薄れつつある」と明かす。日本の消費者離れが目立つのは、それだけ高いブランドイメージを保ってきた反動ともいえる。日本販売は世界の1%未満だが、60年以上の歴史があり保有台数は65万台に上るという。同クラスの日本車よりも上級のイメージが浸透し、15年に独メルセデス・ベンツに抜かれるまで15年連続で輸入車首位を守ってきた。その面影は今はない。(日本経済新聞:5月17日)


国内の欧州車販売について考える。


VWの排ガス規制逃れに関わる直接的な影響は、ディーゼル乗用車がごく限定的な国内市場にはないのだが、不正をする会社の商品購入にエクストラの支払いをするユーザはいない。無駄に高くても、それがユーザの特別な意識をくすぐるというものはある。VWという社名は、国民車の意味である。その意味では、安い金額で良質な製品を手に入れられるというのが本質である。しかし、少なくともこの国の市場では、質実剛健な製品で相応のプライスタグが付いているという企業イメージになっている。このブランドイメージを作るのに、長い期間の作業の積み上げがあったのだろうが、崩すには時間を要さないというのは、歴史上の様々な仕事が示している。
国民車を日本で売る為に、値下げをしたというのなら、それは立派な判断かもしれない。しかし、実態としては、傷付いたブランドイメージで、国産の様々なモデルと競合することになり、価格で差を埋めるしかなくなったということだろう。日本法人の社長が、自身をカーガイであると紹介しているが、残念なことにこの国の自動車産業には、カーガイという概念は定着していない。少なくとも自動車好きの経営者として、歓迎される可能性はない。魅力的な価格という概念も、フランス、英国、米国で育ったドイツ人の感覚と、極東の島国とでは大きく違っていると想像される。御付きの日本人が教えれば済むのだが、駐留ドイツ経営者に意見するなど、外資系自動車販売会社にはいないのだろう。

故障発生件数が減ったと言われる輸入車であっても、国産車に比べれば多いだろうし、修理代金が高いということもある。大量販売していないことで、販売店の固定費をどう回収するかという問題もあるから、事情をくむことは出来ても、そんな事情でこの国の市場に参入しているとすれば、限定的な市場を目指すなら許されても、汎用性の高い (普通の自動車販売を行うという程度の意味で) 商品として販売するなら、言い訳に使えるセリフでもない。販売回復プロジェクト発表会としてみても、特段の安くなった気もしないし、不正をしたことで傷付いたブランドイメージを埋め合わせるプライスタグを付けたというほどの話でもない。
確実に言えることは、過去にVWを購入した顧客は、中古車を下取りして貰おうと考えた時に、過去の実績に比較して安くなる。この確実に発生する現象については、VWは責任を負わないだろう。VW車を再度購入する場合には一定の埋め合わせも出来るだろうが、他社品に移った場合には制裁のように聞いてくる。新しいスローガンは、シンク・ピープルだそうだ。過去の顧客を叩くような仕事をしていて、販売促進というなら、安売り商品になりますという宣言になる。この能天気な言葉が口に出るドイツ人は、日本市場を金持ちの楽な市場だと認識しているのだろうか。
ドイツの有力自動車グループの国内新車販売台数推移をまとめたのが下である。(一部の少数モデルは除いた)

■ 国内輸入自動車新車販売台数推移
Maker  2015  2014  2013  2012  2011  2010  2009  2008  2007  2006  2005  2004  2003
Benz   63,999  61,827  59,764  42,830  36,512  30,069  29,400  33,684  45,420  48,663  48,239  41,971  46,058
Smart   2,301    846   1,345   1,453   1,105   1,234    653    987    385   1,456   2,983   2,110   1,204
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VW    50,332  62,439  72,155  57,622  55,668  45,588  40,661  40,660  51,617  53,405  53,849  55,987  54,498
Audi   27,760  30,821   30,222  25,188  22,348  17,907  16,978  15,604  15,320  14,649  15,692  14,430  13,306
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BMW   47,158  43,339  50,256  41,635  36,814  32,604  29,656  31,928  45,809  48,918  46,632  39,166  37,347
MINI   21,640  18,831  17,163   15,903  16,027  11,513  10,920  12,197  14,015  13,073  13,503  13,236  12,833


Smartは限定的であるが、VWグループのAudi、BMWグループのMiniの販売台数は一定量を維持している。Audiはディーゼル車の排ガス試験での不正に関係しているが、日本ではアウディジャパン販売株式会社が取り扱っていることで、直接的にブランドが表に出ていないこともあって影響は相対的には小さい。VWグループとして日本市場を眺めれば、Audiに重心を移すという方法も出てくるが、日本での販売会社が別となると単純な話でもない。VWの販売会社が安売りしてブランドイメージを傷付けても、Audiには直接影響しないのは有難いところだが、ボリュームが半分以下ではカバーしきれないというものだ。


高いブランドイメージを維持したいと願うなら、ヤナセに売ってもらえば良い。

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