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2016年4月 1日 (金)

野菜の種が値上がり トマトや葉菜類、数年で1割

野菜の種が値上がりしている。この2~3年で値上げが広がり、多くの品種の種が1割以上高くなった。国内で使われる大手種苗会社の種は9割以上が海外生産。世界的な異常気象で供給が不安定となっているほか、採種地の人件費上昇がコスト増に拍車をかけている。
貿易統計によると、野菜種の輸入単価は15年に1キロ3175円と前年比16%高く、5年前の2倍以上になった。サカタのタネは3年前からトマトやホウレンソウ、スイートコーンなどの種の卸値を順次引き上げている。タキイ種苗も14年に葉菜類、果菜類、根菜類をそれぞれ平均1割値上げした。「海外の採種コスト上昇が主な要因」(タキイ種苗)という。大手種苗会社には今年も「エダマメやインゲンといった豆野菜を値上げする可能性が高い」と話すところもあり、値上げは続きそうだ。
種は米国、南米、アジアなど世界各地で作られる。近年は米カリフォルニア州の干ばつや南米の洪水といった異常気象が目立つ。サカタのタネは19カ国で種を生産しているが「気候変動があまりに激しく、生産量の確保が難しい」(同社)。カネコ種苗はトマトの種の卸値を過去5年で最大2割、10年で5割値上げした。異常気象の続発で「海外の契約農家から不作時の補償金を要求されるケースが多い」(カネコ種苗の担当者)。農家にも影響が出ている。地元の種苗店から種を仕入れる埼玉県のネギ農家は、「購入価格は3年で1割値上がりし、9月に再び上昇しそう」と話す。農林水産省の農業経営統計調査によると、野菜農家1経営体あたりの種苗・苗木経費は14年に30万円。経営費全体のうち7%を占める。種苗・苗木経費は過去5年で14%、10年で33%上昇した。(日本経済新聞:3月31日)


野菜の種について考える。


ホームセンターで見掛ける野菜種は、ほとんどがF1種で海外で生産されたものである。F1種というのは、異なる系統や品種の親を交配して得られる優良品種のことである。1代目の雑種の子では、大きさ、耐性、収量、多産性などで、両親のいずれをもしのぐことがあり、生産量の拡大に貢献している。日本で現在流通している野菜のほとんどは、このF1種になっている。F1とは、first filial generation の略である。小売されている種のパッケージを見ると、一代交配とか、単純に交配とかいった表記がある。交配種でないものには、固定種、原種、在来種のようなものがある。意味することに違いはあるが、対象は同じ様なものだと思って良い。固定種の定義というのは、何世代にも渡って選抜・淘汰されて、遺伝的に安定した品種をいう。成長にばらつきがあるとか、形、大きさが揃わないといった問題が生じやすい。固定種の問題点を改善して生産性向上させたのがF1種である。F1種をつくる過程には、固定種に劣る特性もあっただろうが、これは目的に適わないから当然市場に出回らない。
F1種は良い特性があるが、異なる性質の種を人工的に掛け合わせてつくったものであるから、F1種から採取した種であるF2種はF1種と異なる性質が現れる。つまり、毎回種を購入しなければならない。一方、固定種は自家採取可能である。F1種の栽培には、沢山の肥料と農薬を前提にすることになる。生産性の最大化が狙いであるのだから、当然の結果ではある。農薬や化学肥料を嫌うといってはいけないのだろうが、敏感な体質があって食するに適さないような事情を抱えるなどの理由もあってか、避けようとする人には、F1種の様な品種改良を好まない。だからといって、固定種を選ぼうにも流通量が極めて少ないという事情もある。自己栽培することで対応するとなると、種子の入手が大変なのだが、それ以上に栽培に手間が掛るということになる。

種の価格が上がっているのは数年前から見られている。当初はパッケージに含まれる量が減らされるということであったが、この一、二年は、価格そのものも上がっている。種イモのような重量のあるものは kg単位、つまり重量で販売されるているが、粒の小さな種は体積単位で販売されている。もちろん、何粒という売り方もある。大きな粒のものに多いが、粒の小さなトマトでもある。粒単位で販売されているものは、高い種であることが多い。体積単位で販売されているものを見ると、dLとかmLとかの単位を見ることになる。デシという接頭辞は電気系で用いられるdB以外には見掛けないのだが、SI単位系の立方メートルではあまりにも大き過ぎる。計量法で認められている体積の単位は、立方メートルとリットルであるから、小さい方のリットルに接頭辞を付けるという対応になるのだろう。1/100 を示すd (デシ) を用いずに、1/1000の m (ミリ) で統一した方が便利な気もするが、慣習に従って許されるものは変更しないということなのだろう。
本題に戻って、種の価格高騰の理由を海外の人件費上昇に求めるのなら、為替レートの変化の方が支配的になる。2012年の秋には1ドル80円を切っていたものが、2015年は120円前後である。米ドル建ての取引であったとすれば、国内販売に円で売れば仕入れ値が1.5倍になったことになる。気象変動による不安定性は影響しているが、円安によって悪く出る典型的な要因ではある。
記事では異常気象という言葉をお気軽に使っている。気象観測の単位というのは、四半世紀程度の期間を基本にする。つまり、異常というなら四半世紀に一度程度の低い発生確率が条件になる。暑いとか寒いを例年と違うというのはその通りなのだが、異常と呼び出せば何もかも異常となる。気候変動があまりに激しいのは事実だが、その地域において過去にも変動していたのなら、それは異常ではない。企業の見込み違いを気象の責任にしてはいけない。


F1の種を採取して栽培すると、F1とは違うものが出来る。それでも、似た物も出来る。そういうものだ。

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