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2016年3月 2日 (水)

ABCマート運営会社、違法残業させた罪で略式起訴

従業員に違法な残業をさせたとして、東京区検は3月2日、靴の販売店「ABCマート」を運営するエービーシー・マート(東京都渋谷区)を労働基準法違反(長時間労働)の罪で略式起訴したと発表した。処分は1月14日付。東京簡裁が2月16日に罰金50万円の略式命令を出し、すでに納付されたという。 発表によると、同社は2014年4~5月の約1カ月間、「グランドステージ池袋店」と「原宿店」の従業員計4人に、それぞれ14~112時間の違法な残業をさせたとされる。昨年4月に発足した東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班」が同社と取締役ら計3人を初めて書類送検していた。区検は3人については「事実を認めて反省している」などとして起訴猶予とした。同社は「再発防止のため万全の措置を講じており、長時間残業は解消されている」とコメントを出した。(朝日新聞:3月2日)


ABCマートについて考える。


ABCマート違法残業で容疑の法人・役員らが書類送検された話を過去に扱った。過去といっても2015年7月3日である。それほど昔の話ということでもない。労働基準法違反で、長時間労働の罪の罰則は、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金であるが、今回の略式命令は50万円の罰金である。店舗が二つで、従業員が四人であるから、一件の法律違反ではないということは理解するが、それが量刑にどのように反映されるのかは分からない。あまり知ろうと思っていないので、ちょっと調べたら興味が失せた。まあ、分からなかったという意味に過ぎないのではある。昨年7月に取り扱った問題の判決が出たということだが、事実関係を争っていないのならもっと早くて良いと思う。なんだか、裁判所の時計は日常と違うようだ。
ABCマートの決算を確認してみることにする。違法な作業を行うには、相応の背景があろうという想像である。下に結果を示す。

■ ABCマート2月期決算推移 (単位:百万円)
   年     売上高    営業利益   経常利益  当期純利益
  2015    213,584    39,651     40,405    24,373
  2014    188,045    34,126     34,814    19,989
  2013    159,418    30,375     30,747    17,297
  2012    140,761    27,221     28,399    15,676
  2011    127,367    26,857     26,710    18,374
  2010    113,507    24,186     25,568    14,473
  2009     97,341    20,223     19,610     11,087
  2008     88,692    18,252     18,813     10,591
  2007     69,972    15,092     16,392     9,554
  2006     61,642    14,037     15,025     10,380
  2005     54,186    10,363     10,888     4,453
  2004     46,357     9,012     9,097     3,859
  2003     38,941     8,043     8,367     4,142
  2002     32,634     9,755     9,819     5,718


急激に売り上げを伸ばし、利益も相応に増やしている。数字は優良な企業であることを示している。まとめたついでになるが、キャッシュフローもまとめた。結果を下に示す。

■ ABCマート2月期キャッシュフロー推移 (単位:百万円)
   年    営業活動   投資活動   財務活動  現金期末残高
  2015    29,691      -9,568    -3,675     95,807
  2014    22,997      -7,573    -5,916     78,755
  2013    15,395     -17,203    28,209     68,772
  2012    18,998     -10,515    -4,972     41,990
  2011    12,490       8,068    -6,467     38,568
  2010    13,248     -12,160     1,923     24,516
  2009    15,112      -6,394    -4,463     21,446
  2008    10,602      -5,132    -14,039     17,230
  2007    2,522        239    -2,457     25,839
  2006    12,923      -3,176    -1,046     25,522
  2005    6,372      -4,925    -13,386     16,794
  2004    9,775      -5,358    -1,774     28,734
  2003    6,807      -4,490    -2,051     26,121
  2002    6,480      1,313    -1,600      25,851


投資活動に波があるが、営業活動によって得られるキャッシュの量は拡大している。当然な結果として、期末の現金は増加している。企業経営として正しい方向に進むように経営者は仕事をしていると解釈してよいだろう。しかし、書類送検されたのはその経営者である。

個人向けに商品を販売する仕事において、自分の支払った金銭が悪いことに使われると感じると、致命的なほどに売上が減ることになる。利益拡大を目指した仕事が、最大のリスクであるということだ。この状況は経営者の行動に厳しい縛りを設けることになる。厳しいと言っても、法令遵守のレベルの話だから、出来て当然ではあるのだが。しかし、大企業の経営トップが店舗の就業状況をすべて確認しているというのは、フィクションとするにもほどがあるという話だ。多くの人間が関わっているから、最高責任者は部分責任を部下に委ねるというのが組織というものである。労働局が上げるくらいだから、経営者の利益追求の先に長時間労働が生じることが容易に予測されたという判断があるのだろう。無理はいけないと言う話である。
ところで、この長時間労働が決算の良いABCマートではなく、倒産寸前の靴流通チェーンであったのなら、労働局は同じ態度で接したのだろうか。日本の役所だから、適正に仕事をしただろうと思うが、マスコミへの発表は優良企業とそうでない企業とで差がでるだろう。儲かっている企業は、より慎重に行動しなければならないということになる。
ブラック企業という言葉には、低賃金で過酷な労働環境のイメージがある。しかし、高賃金で超過酷というのをブラック企業と呼ばない。年収3,000万円で睡眠時間は毎日4時間以下で休みもない、という仕事はブラック企業にならない。従業員の年収300万円だからブラック企業になるのである。同時に企業が儲かっているというのもついてくるだろう。日本の小売業は低賃金体質に染まっている。しかし、このうえなくイメージを重視している。今後も似たような違法労働を強いたと問題になる事例が出るのではないかと思う。


安いものを欲しがって、汚いことに目を背ける。フェアトレードにも同じ臭いを感じる。

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