« プロ野球金銭やりとり、阪神に加え西武でも | トップページ | 増税延期を首相に進言 ノーベル賞学者スティグリッツ氏 »

2016年3月16日 (水)

京急、今期40億円の最終赤字 久里浜線延伸を凍結 宅地開発で減損

京浜急行電鉄は3月16日、2016年3月期の連結最終損益が40億円の赤字(前期は107億円の黒字)になると発表した。従来予想(130億円の黒字)から一転して赤字見通しとなる。計画していた路線の延伸と宅地開発事業について凍結を決定したため、棚卸し資産の評価損と減損損失が発生する。期末配当は3円の従来予想を変更しない。
売上高は従来予想と同じ1%減の3130億円。交通やレジャー・サービス事業は順調だった。営業利益は44%減の150億円と従来予想(6%増の285億円)から一転減益となる見通し。神奈川県三浦半島地域の人口減や地価の下落などを踏まえて、久里浜線の延伸と三浦市での大規模宅地開発事業を凍結した。この結果、棚卸し資産の評価損150億円を営業費用に、減損損失30億円を特別損失に計上した。(日経QUICKニュース:3月16日)


京浜急行電鉄について考える。


京浜急行電鉄は、品川から神奈川県の川崎市、横浜市を抜け三浦半島まで至る鉄道路線を運営している。路線を下に示す。

■ 京浜急行電鉄路線 ( 総延長キロ数 : 87.0km)
  本線    : 泉岳寺駅 - 浦賀駅                 56.7km
  空港線  : 京急蒲田駅 - 羽田空港国内線ターミナル駅  6.5km
  大師線  : 京急川崎駅 - 小島新田駅             4.5km
  逗子線  : 金沢八景駅 - 新逗子駅               5.9km
  久里浜線 : 堀ノ内駅 - 三崎口駅                13.4km


神奈川県の東部と東京都とを接続する路線である。本線は泉岳寺と浦賀を結ぶが、横浜方面から下り電車を利用すると三崎口行きが圧倒的に多い。横須賀の堀ノ内駅で分岐している浦賀行きに支線の印象がある。堀ノ内から三崎口が記事にある久里浜線と呼ぶ路線ということである。
京浜急行電鉄の決算推移から確認する。

■ 京浜急行電鉄3月期決算推移 (単位:百万円)
   年   営業収益   営業利益  経常利益  当期純利益
  2015   317,710   26,783    22,005    10,775
  2014   314,045   25,589    20,319     9,257
  2013   306,977   19,077    13,578     8,492
  2012   295,405   18,989    12,880     4,119
  2011   299,841   19,519    13,406     7,044
  2010   305,809   20,486    13,387     7,364
  2009   317,875   29,377    21,772     7,101
  2008   314,335   32,152    24,829    13,408
  2007   325,071   36,018    28,526    12,530
  2006   311,961   33,178    24,498    11,630


営業収益は安定している。この安定感を良しとするか悪しとするかは、立場の違いによるか、視点をどこに置くかによるのだろう。少なくとも新たな路線を設定しようとすれば、会計年度の営業利益の300億円程度は簡単に必要になってしまう。鉄道事業というのは、四半世紀準備に要し、半世紀で資金を回収するという性質の事業と見て良いだろう。この長期の資金運用を現在社会が許す環境にあるとは思えないから、政治と結びつかねばならない事情が生じるということなのだろう。キャッシュフローを確認する。結果を下に示す。

■ 京浜急行電鉄3月期キャッシュフロー推移 (単位:百万円)
   年     営業      投資     財務    現金期末残高
  2015   58,732    -32,510   -24,482     45,017
  2014   41,159    -32,238   -12,628     43,277
  2013   38,250    -36,416    13,098     46,984
  2012   41,395    -33,344    -32,956     32,052
  2011   43,780    -58,324     1,991     56,958
  2010   40,175    -43,381     30,247     69,511
  2009   34,311    -55,290     12,401     42,470
  2008   51,102    -53,045      -696     51,048
  2007   36,596    -28,874    -15,801     53,687
  2006   44,396    -59,142     54,494     61,767


営業活動によるキャッシュフローは営業収益の安定感と比べれば少し変化しているように見える。分からないとなるとそのままでも仕方がない、セグメント売上高と利益の推移を確認してみる。結果を下に示す。

■ 京浜急行電鉄3月期セグメント売上高推移 (単位:百万円)
   年     交通     不動産 レジャー・サービス  流通     その他
  2015   115,631    42,997     38,454      99,584    21,042
  2014   114,538    22,366     37,541     119,430    20,168
  2013   111,723    31,971     35,924     108,327    19,030
  2012   111,388    24,077     34,490     108,014    17,434
  2011   112,503    23,337     35,674     107,219    21,105
  2010   112,760    23,406     40,132     111,091    18,417
  2009   115,976    29,349     45,185     101,378    25,986
  2008   115,977    35,738     47,390      92,188    23,040
  2007   114,651    41,650     47,491      93,088    28,190
  2006   114,288    31,827     47,291      94,340    24,213


■ 京浜急行電鉄3月期セグメント利益推移 (単位:百万円)
   年    交通     不動産 レジャー・サービス 流通     その他
  2015   17,220      301     4,516     1,779     2,827
  2014   16,158      632     3,933     2,103     2,583
  2013   11,559      172     2,909     1,077     3,148
  2012   10,793     3,523      482     1,040     2,821
  2011   12,980     3,650    -1,650       441     3,791
  2010   13,499     3,488      -847      435     3,699
  2009   17,225     5,962      547     1,005     4,336
  2008   17,299     6,527     1,687     1,766     4,516
  2007   19,526     8,358     2,000     1,371     4,566
  2006   19,728     7,188     1,476     1,607     2,869


交通事業は安定した売上高がある。規模からすれば流通がそれに次ぐ。しかし、利益においては、交通事業は安定しているものの、流通の利益率は低い。不動産事業について書き加えれば、売上高を伸ばす余地はあるにせよ、利益を出すのが難しい環境になっている様子が窺える。これが三浦半島の不動産状況と理解するよりないだろう。
記事の久里浜線の延長など距離にしたら3キロメートル程度のものであり、主な地区買収が生じるであろう三浦市三崎町小網代地区の土地単価は、平方メートル当り7万円程度の公示価格となっている。首都圏としては安い方だと思って良い。一方で、油壺駅までの延長により、三崎口駅の現状利用者の二万人水準がどの程度増えるかというと、油壷駅の位置が三浦市市街から少し離れた地理的要因を考慮すれば、増加する要素としてはそれほど大きくは無い。延長工事については、地権者が複雑であること、橋を掛けるなど大きな予算が生じること、そして、貴重な自然がある地区を破壊すると反対意見が出ていること、と、マイナナス材料に事欠かない。加えて会社の業績に余裕を感じないとなると、決定は必然であるように思う。
やらない百万の理由より、一つのやる価値を見出すことによって、事業方針は決定されるものである。百万の理由に魅力を感じるのは融資銀行である。しかし、それでは何も変わらず、緩やかな衰退を選択することになる。一つの価値というのは、時間があれば多くの候補が存在するが、時間が短くなると消えていくものである。いつの時も、事業の最大のリスクは、すべてのリスクを回避することである。


三浦市はバスも鉄道も京急なのに、協力的でないのだろうか。あるいは京急が三浦市が嫌いなのか。

« プロ野球金銭やりとり、阪神に加え西武でも | トップページ | 増税延期を首相に進言 ノーベル賞学者スティグリッツ氏 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« プロ野球金銭やりとり、阪神に加え西武でも | トップページ | 増税延期を首相に進言 ノーベル賞学者スティグリッツ氏 »

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ