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2016年3月25日 (金)

アナログ腕時計、2.98ミリメートルの超薄型 シチズン時計

シチズンホールディングス傘下のシチズン時計は2016年秋、腕時計「Eco-Drive One(エコ・ドライブ ワン)」を発売する。本体のケース厚は2.98ミリメートルと、アナログ式光発電時計として世界最薄を実現したという。
ほぼすべてのパーツを新規開発により薄型化し、駆動部分の厚さを1.00ミリメートルに仕上げた。シンプルな文字盤の外枠部分などには、薄い構造でも強度を保つ素材を使っている。世界800本の限定モデルでは、強固な素材「バインダレス超硬合金」を採用した。限定品はバンドがワニ革、通常品はステンレスで文字盤の色が3種ある。価格は限定品が税別70万円、通常品が同30万円。全国の時計専門店などで販売する。(日経QUICKニュース:3月25日)


腕時計について考える。


シチズンの時計事業については以前書いたと記憶する。スイスの高級会社を買収して、機械式時計の高級路線を充実しても、スイスの工房と、日本の大企業とは事情に大きな違いがある。工房部門を残すことは可能だが、それは会社経営の柱には成り得ないというのが、規模が拡大した日本の会社の経営というものである。Eco-Drive One の写真をシチズンのホームページから拾ったのが下である。

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ごく普通のアナログ表示の時計である。左端の革ベルトのモデルが限定品で、金属ベルトのモデルはレギュラー品となる。エコドライブというのが、文字盤にソーラーセルを付けた電池交換いらずの時計というものである。光発電時計というそうだ。ふんわりアクセルの省エネ運転と同じ字面だが、時計分野に関してシチズンの登録商標になっている。
バインダレス超硬合金というのは、金属結合相として用いられるバインダのCo、Niを含有しない超硬合金で、バインダありの超硬合金では得られなかった優れた硬さ、耐食性、耐酸化性を有するという。主成分は炭化タングステンである。バインダレス超硬合金は、一種のセラミックスと考えて良く、一般のセラミックスと比較して高靱性であることに特徴がある。靱性というのは、じんせいと読み、脆性破壊に対する程度を示す。単純な理解としては、割れ難いという程度で良いだろう。これは限定モデルのみに用いられている。レギュラー品にはサーメットと称する金属の炭化物や窒化物など硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料が用いられる。サーメットの名称はceramics(セラミックス)とmetal(金属)からの造語である。つまり、バインダありの超硬合金ということになる。
高剛性材料を用いることで薄いケースを成立させているが、高硬度でもあるので、加工性が低くなって高コストになることに繋がる。シチズンの光発電開発40周年を記念したフラッグシップモデルの位置付けだから、これくらいの技術を導入しなければならないということだろう。実際問題として、アナログ表示の時計というのは、機械部品を含むからメンテナンスが必要になる。機械式時計に比べれば駆動系がシンプルだから必要性は低いだろうが、それでも注油が必要な部分はあるだろう。光発電で太陽がある限り永久に動き続けるというのは、美しい響きがあるのだが、人間世界の生活というのはそれを許さないものである。アナログ表示ではなく、デジタル表示にすれば消費電力も抑えられるし、駆動系が存在しないから長寿命に適するし、薄くするのにも合うように思うが、フラッグシップモデルには似つかわしくないという判断だろう。
時計のムーブメントの厚みが1mmで、時計本体の厚みが2.98mmということなので、一般の電池を使うとなると難しそうな厚みである。大きくて厚く針の多く時計が流行った時期があるが、高級感とは違う世界の話のようだ。ほどほどの大きさで薄いという方向性で、財布のひもを緩めるというのが流行のようだ。樹脂のケースで厚く大きいが、軽く機能の多い時計は安く、時間表示しかない時計は、素材にこだわって高い。そういえば記事の時計はカレンダー表示もない。
携帯電話があるから時計は不要というのは、ドレスコードの無い世界の住人のセリフである。コードは変化していくものだが、様変わりするには支配階層が入れ替わる程度の時間を要する。若者が支持する合理性で済むようになるには、少なくとも四半世紀は必要だろう。現実的には半世紀かもしれない。時計会社は、半世紀前に正確性に期待してクオーツに舵を切って、時計のほとんどを置き換えることに成功した。この四半世紀は機能を加えることで進んできた。次の四半世紀をどうするのだろうか。正直なところ、日本の時計業界は技術の迷子になっている嫌いを感じる。それでも、薄く軽いものを否定する気にもなれない。さずがに太陽の位置で正確な時間を得られる能力を有しない。この先も訓練によって体得出来る気もしない。邪魔にならない時計というのは、必要なのだろう。デューク・東郷でもないから、磁場の影響を受けない自動巻きのスペシャルを選ぶ理由もないが、時間は厳守したいとは思っている。


光発電、電波時計、GPS機能。機能を付加すると安っぽくなるのは悲しい商売である。

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