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2016年3月11日 (金)

ウィッツ青山高、生徒102人除籍処分へ 就学実態なし

就学支援金を不正受給した疑いが持たれている三重県伊賀市のウィッツ青山学園高校が通信制生徒102人を除籍処分とすることが3月11日までに同市への取材で分かった。就学実態がなかったことが理由。新年度の生徒募集を停止することと併せて市に報告があった。
伊賀市によると、除籍処分となるのは同校の学習支援施設「四谷LETSキャンパス」(東京)に所属する102人。課題の提出やテストの受験を怠り留年状態になっていたり、既に連絡が取れなくなったりしている生徒が多いとしている。学校を運営する株式会社「ウィッツ」の親会社は四谷キャンパスに所属する男女5人が不正受給に関与したと発表している。同キャンパスは昨年末に廃止された。新年度の生徒募集は実施しないため、今春から通信制課程への入学が決まっていた35人には学校が入学金を返還し、他校への入学を勧める。(共同通信:3月11日)


通信制高校について考える。


該当の学園は、学校法人ではなく株式会社である。学校の設置者については、教育基本法及び学校教育法の規定により原則として、国、地方公共団体、学校法人に限られている。当該条項を下に示す。

教育基本法(昭和22年法律第25号) 第六条 (学校教育)
法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

学校教育法(昭和22年法律第26号) 第二条
学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第三条に規定する学校法人(以下学校法人と称する。)のみが、これを設置することができる。


教育基本法の文面を読むとなかなかアンティークな調べが香しい。第六条の二項にはこうある。

法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。

なかなかの志の高さである。全体の奉仕者であるのだから、政治家ごときの謂れ無き命令に従わないというのも出てきそうだが、国会議員なんぞというのは、全国民を代表しているのだから謂れ無き命令など存在しないと反論するかもしれない。志の高さを総論で謳えば美しいが、各論で実施するとなると困難が生じるのはテーマを選ばない。
話を戻す。学校教育に一定の水準を求めるとなると、国の機関が様々な取り決めをしなければならないし、それが適正に実施されるかを確認する必要も生じる。また、一定の継続性も当然求められる。法律にある学校が公の性質というのは、営利事業として馴染まない事柄であることを示しているから、営利集団である株式会社とは相いれないと考えるのには合理性がある。それでも世の中の考え方の幅が広がってくると、枠に納まりきらないものも出てくる。枠外というのは、学校教育法の一条校以外の学校を意識するものとなる。株式会社立学校は、カリキュラムを自由に組めたり、校舎や運動場等の施設についての条件が緩いという利点である。その一方で、私学助成金が受けられず、学校法人で認められている寄付の税制上の優遇措置がないという財政上の不利な点がある。結果として、そのほとんどが通信制の高等学校になっている。
高校の進学率が高くなり、90%を超えたのは1974年になる。当時中学を卒業していたのは1960年頃の生まれであるから50歳以下では90%以上の対象者になる。中退者がどのくらいいたかも確認する必要があろうと、文部科学省の資料から抜粋したのが下である。

■ 高等学校中途退学者数及び中途退学率の推移 (文部科学省)
    年         1985   1990    1995   2000   2005   2010   2012
中途退学者数 (人)  114,834  123,529  98,179 109,146  76,693  55,415  51,781
中途退学率 (%)     2.2      2.2     2.1     2.6     2.1     1.6     1.5


近年減少しているが、割合は2%水準というところである。中退者数が減っているのは、少子化の影響である。上の表で逆算すると、1985年の学生数は521万人、2010年は336万人となる。高校の数もクラス数も減らす訳である。各年齢に10%強の高校卒業資格を有しない人がいるということからすれば、一定の市場はあると考えるのが株式会社の経営者の立場であろう。
高校を卒業する最も簡単な方法は、中学卒業時に高校に入学して、休まず通学することである。高校を選ばなければ、学力のレベルに少々難があったとしても卒業まではなんとかなるということである。そこそこの学力が中学時代にあれば、高等学校卒業程度認定試験で合格することは可能だろうが、この試験に合格しても学歴には書き加えられない。その次の行に大学なりを書き加える為の試験でしかない。中学卒業で、認定試験に合格して短大に進めば2年で済むとか、中卒だが企業の経営者になっていることで、実務経験を評価してもらって大学院に進むとか、短期間に済ます方法もあるのだろう。しかし、あからさまな学歴ロンダリングでは、そういうやつだと思われてしまって費用対効果に劣ることになると考えるのかもしれない。勉強しないで楽して卒業資格を得ようとする行為が、世間から尊敬されるものでないのは明らかだから、それを考えた時点で結果は決まっているとも思える。

入学手続きさえすれば、時間の経過で卒業可能であり、他には数回学校に来て貰うだけで済むというのが、裏で行われていた話であるという。これなら、高卒資格を得たい人に負担は小さいし、学校側も手が掛らない。しかし、あからさまにそうした行動を取るのを認めると、高校卒業という表記では評価不能で、高校名を確認する必要が生じてしまう。学歴という制度に対する挑戦である。挑戦するのは結構だが、通信制で普通に勉強しようとする学生の利益を奪うことになるとすれば、賠償請求されても仕方ないような話になる。
学校教育は、国などが行うのが本筋だとは思うが、過去に特に地方においては篤志家によって補われてきたという歴史がある。篤志家に期待したままというのは怠慢であるが、篤志家を株式会社に置き換えるのはこの上なく乱暴である。株式会社の参入が予定される前に、通信制の学校のあり方を検討する必要があったということだろう。参考の為に記すと、通信制高等学校の在籍者数は平成22年で189,418人(文部科学省 学校基本調査) である。怪しい株式会社立通信制高校が全体を代表しているというのは、乱暴な論理であるということは認識しておかねばならないだろう。


詐欺事件として扱われる事案のようだ。

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