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2016年2月16日 (火)

アディーレ法律事務所に措置命令 過払い金めぐる宣伝

常時行っていた値引きキャンペーンを期間限定のように宣伝し、消費者に誤解させたとして、消費者庁は2月16日、アディーレ法律事務所(東京都豊島区)に対し、景品表示法違反(有利誤認)で、再発防止を求める措置命令を出した。
消費者庁によると、アディーレ側は2010年10月~15年8月の間、債務整理や過払い金返還の依頼を募集する自社サイトで、1カ月間の期間限定としたうえで「着手金を全額返還」などと宣伝していた。期間中にキャンペーン名は変えていたが、同じ内容を繰り返していたという。外部からの違反の指摘をきっかけに、アディーレ側は15年9月から着手金の返還について期間限定の表示をなくしていたが、消費者庁は「違反期間が長く、依頼者も多い」として処分に踏み切った。アディーレ側は「指摘を真摯に受け止め再発防止に取り組みたい」としている。アディーレ法律事務所は72支店を持つ日本最大級の法律事務所。金融業者に対する過払い金返還の請求に力を入れていて、これまでに約28万件、1583億円を回収している。(朝日新聞:2月16日)


過払い金について考える。


過払い金に関わる事件は2013年3月に扱っていた。過払い金を処理する事務所が、貸金業者と協定を結び、利用者が受け取る金額が減ったというものである。この事例では、過払い金を大幅に減額して短期間で返還する包括的な約束をしておくというものである。事務所には手間を掛けずに短期間で大量の事件を処理可能となること、貸金業者にとっては過払金返還債務債務を減らせるというメリットがある。事務所は一件あたりの取り分が減っても、手間が掛らず数をこなせるということと、貸金業者と懇ろになっておかなければ大変だという事情もある。
また、2014年8月19日の西日本新聞電子版では、過払い金返還請求をめぐり、過払い金が返還されたにも関わらず、弁護士や司法書士が依頼者に渡しておらず、着服が疑われるケースが2012年以降、九州など全国で少なくとも45件(計約1700万円分)あったことが、大手消費者金融会社の調査で分かったと報じている。この中には、依頼を受けていない人の過払い金を勝手に請求したケースもあったという。この大手消費者金融会社は、依頼者の同意が得られた案件について、法務局などに懲戒請求したという。詐欺というのが適当なように思えるが、法律家は詐欺がないのは、存在そのものが詐欺だからかと理解したが、間違っているのだろうか。
2016年2月6日の朝日新聞によると、司法書士法人新宿事務所が、日本司法書士会連合会の2011年に決めた報酬指針から逸脱し、多めに報酬をとっていたことが分かった。指針に法的拘束力はないが、日司連は「指針を大きく外れているのは遺憾。司法書士のモラルが問われる」と批判。新宿事務所は「指針と異なる契約を結ぶことは許される」と反論している。と報じている。また、2月12日の朝日新聞の報道では、新宿事務所で非弁行為があったとある。司法書士には認定司法書士という資格があり、この資格があると140万円以下の交渉やや簡易裁判所の民事訴訟での代理人を引き受けることが出来る。これを超えれば非弁行為ということになる。

以前扱ったときにも書いたが、利用者が貸金業者に払い過ぎたといっても、金利が高かっただけの話である。利用者が金利の安い銀行ではなく、高い貸金業を利用した理由は、審査が通らないとか、時間が掛るとかが主な理由であるだろうが、選択肢の中から自由に金利の高い貸金業者にしたということである。金利を勝手に変更したのならペナルティを受けるべきだが、決まった金利で取引を行い、後になってそれはおかしいというのでは業務が成立しない。グレーゾーンなる金利帯があったことが問題の背景にあるが、問題は法律の瑕疵にあって業者の問題ではないと考える。
2006年の最高裁は違法金利と判決している。高過ぎる金利ではあったので、総合的には正しいものだと納得はする。そうであるとしても、払い過ぎたお金があったからといって、法律家がかすめて良いという理屈はなかろう。法律として整合性を持たせた結果であるにしても、受け入れたくはない。資金の提供に関わる条件が社会正義に反すると判断されたのなら、資金提供が妥当に行われた場合に回復するというのがこの国の法律だろう。この手続きとして法律家が適正な回復処理を実現するのに、貸金業者と交渉を代行する。代行には手間暇がかかるから、適切な代金を支払うという話である。適切なということである。
信用を持たない者が金を借りるには、高利になると決まっている。借りたい人がいる。貸した業者は、信用がないからと高利にする。貸さなかった銀行は高利の融資は出来ないだろうが、低利での融資など出来ようもない。貸金業者が反社会的な行動だったと、罰せられると言っていいほどのペナルティを受けるのに対し、融資しなかった銀行は何のお咎めも無しである。貸金業者は焦げ付くリスクを抱えて融資する判断をした。融資に相応しい金利がグレーゾーンであったという話である。瑕疵があったとすれば、法律の不整備であったと考えられるから、手数料は国が定めるべきであり、支払い結果を国が審査するシステムであるべきだろう。リスクを取って利益を得た貸金業者が制裁を受け、事後にリスクを取らずに利益をむさぼることが許されてはなるまい。

2006年1月の最高裁判決をきっかけに膨れ上がった過払い金バブルでは、法律事務所MIRAIO、ITJ法律事務所、アディーレ法律事務所が御三家であった。2010年頃から、MIRAIOとITJはB型肝炎の給付金請求訴訟など他分野に乗り換えている。時効が10年だから、2000年頃まででピークを迎えて残りは乏しいという判断さろう。残りは草刈り場としてアディーレ法律事務所と、少額に制限されるが司法書士法人ということになった。テレビやラジオで大量のCMを流していれば、これらのメディアから批難されることはない。これが商業放送というものである。


法律家は上品な商売をしている。政治家並みだ。

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