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2016年2月23日 (火)

死刑囚面会で職員同席は違法 東京地裁判決

1994年に大阪、愛知、岐阜3府県で起きた連続リンチ殺人事件で死刑が確定した小林正人死刑囚(40)と弁護士2人が、職員の立ち会わない面会を拘置所が拒んだのは違法として国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2月23日、「秘密で面会する利益を侵害した」として計約53万円の支払いを命じた。
判決によると、小林死刑囚と弁護士は2011年9月~14年6月、名古屋、東京両拘置所で、再審請求や民事訴訟の打ち合わせの際に職員が立ち会わないよう求めたが、認められなかった。谷口豊裁判長は、弁護士との「秘密面会」を拒否できるのは、死刑囚が拘置所の秩序を乱したり動揺したりする恐れがある場合に限られると指摘したうえで「その恐れはなく、裁量の範囲を逸脱している」と述べた。法務省矯正局は「判決の内容を精査して適切に対応したい」とコメントした。(共同:2月23日)


死刑囚について考える。


死刑囚の小林正人は、凄惨な事件に関わっている。大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件である。この事件は、1994年9月28日から10月7日までに三府県で発生した未成年の少年グループによるリンチ殺人事件で計四名が殺害されている。当時19歳の小林の他に、河渕匡由(19歳)、小森淳(18歳)二名が関わっていてる(年齢は当時)。裁判の中で、この三被告人の中で、小林は中心的な役割であったとされる。死刑囚によく見られるように、小林以外の二人については姓が変わっている。支援団体の人が接見容易になるように、養子縁組をしたり、身元引受人がいることをアピールするなどの目的とされる。死刑判決が確定していて、有期懲役に再審でなるとは思えないが、冤罪事件であれば起こり得るのかもしれない。それには身元引受人の要素は入らないから、死刑囚ではなく、一般の犯罪受刑者に関わる話と理解した方が良さそうだ。
小林については、死刑判決の確定後の2011年12月16日に、名古屋高裁に再審を請求している。この申立書で、「離人症を伴う解離性障害だったと診断された」と指摘しており、「事件当時は心神喪失状態で無罪だ」と主張した。これは認められなかった。殺人を行ったときに、心神喪失であったことを、殺人を行ったことを延々と時間を掛けて裁判の場で検証してきて、その後の診断で過去の状態を推定するというのは困難な気がする。そんな素人の想像とは違って、過去の様々な行動や発言の記録を参照して総合的に判断するのだろうが、それは、事件から間の無い第一審で検証されるべき事柄であろう。なんとも筋が悪いと感じるが、死刑囚を救おうと行動する人は、使える手段は全て使うから、筋の話など無関係と言える。それ自身、違法な活動というのでなければ、制限される理由もない。
さて記事の事案である。法律で認められている権利であるから、制限を行政が行ったのなら不当と判断するのが裁判所の仕事である。行政は然るべき改善を実施することになる。それだけの話なのだが、相手が確定死刑囚であるということがあって話題になったのだろう。仮に懲役10年の受刑者なら、刑務所がそんな乱暴な仕事をする筈もなく、妥当な内容で面会が出来ただろう。しかし、死刑囚の場合、判決が実施されるということは死刑の執行であるので、未決囚として執行を待つということで拘置所に収監されている。
確定死刑囚の扱いに関する法律は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律 (受刑者処遇法) である。この法律は、監獄法 (明治41年3月28日) に替わって、2006年5月24日に施行された。前の法律が明治のものであるから、今日の人権意識とは異なったものであるのは当然で、現代に合わせた改正が必要になっていたが、長期に渡り放置されていたというものである。問題があることは度々話題にはなっていた。これで以前は厳しく制限されていた外部交通が緩和されると言われていた。結果としては、あまり変わっていないというところのようだ。確定死刑囚の処遇について、国民的な起きずにいるから、厳しく制限することと逆の向きに働く力は、国際的な人権組織ということになっている。日弁連は適切な処遇を求める活動を継続して行っているようだが、社会的な関心につながらないと変わらないという状況に見える。
確定死刑囚の面会の相手に関する規定は120条にあり、(1) 死刑確定者の親族、(2) 婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持その他の死刑確定者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者、(3) 面会により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる者とされている。運用実態としては、親族でも無条件に許可されるものでもない。親族でも未決中に縁組した者との面会や、内縁の妻にはきびしい制限があり、原則不許可である。というのが弁護士の報告にあった。友人については、更に厳しいことになっていて、施設長が、設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがないと認められるときに限って許可するという方式になている。親族は犯罪者が出たことで迷惑を被っているし、もともと友人が少ないか、友人を失ってきた過程があるのだから、面会に表れる人がいないという死刑囚もあるだろう。死刑囚を救援活動団体、これに死刑制度廃止活動をしているものを含めても良い、の関係者ということになるのだろうか。教誨師への面会は月に一回認められているそうだ。これも所長が認めればだろうが。友人についても教誨師なみに、認めてやって良い気もする。誰も会いに来ることのない状況で、24時間監視されているという罰を、この国の法律では認めていないのだから。

死刑制度を継続するか否かについて考えを持っていない。以前にも書いたが、被害者感情にという考えには反対している。刑法は復讐規定ではないから、社会秩序を維持するのに妥当だという罰則を求めている。被害者や遺族感情に従うだけなら、交通事故で亡くなった場合でも死刑を求めたい場合があるだろうし、婦女暴行のような人権を深く傷付ける犯罪も死刑で良いということになろう。被害者感情として当然だと考える。この国で死刑制度の廃止を求める意見は少ないという調査があるから、制度の継続は良いとしても、継続する理由に、暗に復讐を匂わすような遺族感情という表現は止めてもらいたいものである。
さて、死刑執行に関する規定は刑事訴訟法第475条にある。下に記す。

■ 刑事訴訟法 第475条
  死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。

法務大臣が命じれば良いということである。当然、刑の確定から6カ月とあるが、こんなに短期に刑が執行された例はない。法務大臣が法律違反をしているかといえば、1998年の東京地裁判決で、この規定は訓示規定であるとされている。裁判所が法務大臣の行動にお墨付きを出すのも如何なものかと思う。権力者どうしのもたれ合いのようで気持ちが悪い事この上ないが、とっとと死刑執行しないのは法律違反だと裁判所が判決するのは難しい。死刑制度について、国際的な批判を受けていることを知っているのだから。6カ月が実態にそぐわない状況のまま放置しているのは事実だから、適切な変更を行うのが好ましい方法だと思うが、制度について国際的な批判があっては行政の動きが制限されそうではある。法務大臣の正当な言訳としては、第479条があって、死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する、というのがある。これを使えば楽だが、大臣が法律を捻じ曲げたという誹りは免れないから積極的に採用はできない。


小林他二名についての生い立ちを読むと、この国のほとんどの国民が歩むであろう成長過程とは、全く異なった道をたどっている。小林に関して言えば、学校にまともに行っていないようだ。時事通信の取材に対して、反省しているという発言をしているが、本当に状況を理解といるのかには疑問もある。弁護側は、再審請求で心神喪失と主張した。心神喪失の原因が、被告人の精神疾患である離人症によるとすれば、精神疾患のある者が社会的に制限を受けることを許容することにつながる。殺人を引き起こす恐れのある者で、それが罪に問えないのなら、社会から隔離するというのが予防的に必要という論理になる。この精神疾患患者を差別するような論理を、いけしゃあしゃあと発言するのなら、人権派の旗印は下げて貰おう。
この無知な確定死刑囚が、被告人と呼ばれていた頃に、「自分は少年だから死刑にならない」と、無知という乾いた脳みそに痺れる言葉を流し込んだ誰かがいたようだ。この乾いた脳みそに最初に流し込まねばならない情報は、倫理というものである。この国の法秩序や、法廷技術ではない。家庭に恵まれない生い立ちであるのは同情する。親が躾けなかったことがらを法律家が補う理由もない。それに相応しいのは宗教家だろう。少年犯罪では法律家より前に、宗教家の面接が必要だと感じる。そんな宗教家が十分いるのかというのはまったく見当もつかない。


死刑執行にサインし難い案件である。やるなら三名同時に、三名とも当時未成年。

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