« 台湾地震の死者37人に 倒壊ビル、作業は難航 | トップページ | 川崎・中1殺害、19歳に懲役9年以上13年以下の判決 »

2016年2月 9日 (火)

丸川環境相、追加被曝線量の目標「根拠なし」と発言か

丸川珠代環境相が、東京電力福島第一原発事故に伴う除染などで国が長期目標として示している年間追加被曝(ひばく)線量1ミリシーベルトについて、「何の根拠もない」と講演で発言していたとして、2月9日の衆議院予算委員会で追及された。丸川氏は「こういう言い回しをした記憶は持っていない」と釈明した。
丸川氏が7日に長野県松本市で講演した内容を報じた地元紙を引用して、緒方林太郎氏(民主)が質問。丸川氏が「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと述べたとして真偽をただした。丸川氏は、講演の記録がないとした上で「(目標は)除染だけでは到達できないので、総合的に見ていくといつも申し上げている」「(これまで)リスクコミュニケーションが十分ではなかったのではないかという趣旨だ」などと説明。一方、「もし誤解を与えるようであれば、言葉足らずであったということについてはおわびを申し上げたい」と陳謝した。(朝日新聞:2月9日)


政治家の発言について考える。


自然放射線の被曝線量が年間 1mSv (ミリシーベルト) 程度とされる。原子力発電事故に関わる被曝線量がこれに加えて1mSv程度あっても大丈夫だろうということのようだ。飛行機に乗れば宇宙線の被曝線量が増えるから、パイロットなどは 3mSv の線量になる場合もあるようだ。1mSv を安全とする根拠となるのは、日常的にあびる程度ということだと理解して良い。別の立場もあって、放射線はすべて害があるというのもある。それには、放射性同位体のカリウム40の内部被曝をどうするという話になる。体重60kgの場合で、0.17mSv の被曝があると計算される。カリウムは必須元素であるし、39だけを選びたいというのは心情的には理解しても、93.3%の39に、0.0117%の40が混ざっているのを取り除けるはずもない。おまけに、40の半減期は12.5億年である。地球上に人間が存在している期間は、同じくらいの放射線をカリウムから受けていたということである。放射線をすべて不健康とする原理主義は、地球上で暮らすことが前提だと達成され難い。地球の外に出ると宇宙線がその比でない量そそぐことになるのだが。
20mSV の方はどうかと考える。もう少し上に、100mSv 以下は健康に影響がないという説がある。放射線を受けた集団と受けていない集団を比較する疫学調査を元に得た結果とされる。更に進んで、200mSv だと影響が統計的に確認されるとする報告がある。つまり、200mSv を危険と判断する材料はあるが、100mSv だとちょっと判断に苦しむということになる。この手の話が怪しい雰囲気に包まれる理由は、低線量の被曝について調べた結果がないということに尽きる。癌発生のリスクを考えるときに、人間の寿命は試験に使う動物に比べ長すぎで、長期的な癌発生を調査するのが難しい。だから、疫学調査という方法を用いるよりないのである。加えて、放射線被曝の健康被害は、被曝線量を積算する形で影響するとされるが、上の 100mSv や 200mSv では比較的短期間、ざっくりと言うなら1年程度、での線量での影響を確認したと思って良い。年 10mSv を10年間あびると 100mSv になるが、汚染地域で11年目から年間 10mSv に下がる訳ではないから解釈に困る。
生活環境による発癌性というと、喫煙が引き合いに出される。タバコの害で肺癌になるリスクが4.7倍になるというのは、追跡期間8.5年の数字である。リスクを算出するには10年未満でも構わないが、実際に肺癌になることを考えると、喫煙との因果関係でのタイムラグは20~30年と見て良いだろうから、長い期間を意識しなければならない。長い期間を対象にすると、動物実験が意味を持たないから、人間が長生きなので比較する適切な動物がない、疫学調査に頼るよりないという結論に至る。

長々と、合っているかどうか怪しい説を書いてきたが、結論は決まっている。年間 1mSV 以下であれば大きなリスクにはならないということと、年間 200SV 以上はリスクがあるということである。その間の線量に関する結論は、分からないということだ。
分からなくても政府は指針を決定しなければならない。そこで、継続的に居住することを前提として、20年住むことは容易に想像がつくから、10mSV 以上であれば20年先のリスクが増大する可能性はある。年間 1mSV であれば20年先でも 20mSv だから、自然界からの被曝線量と同等レベルでリスクは高めない、と決めた、という程度の理解で良いだろう。
丸川の『何の科学的根拠もなく (民主党政権の) 時の環境大臣が決めた』というのは、大枠として正しいとも言えるが、誰かが何かを決めなければいけない事情があり、規制する数字としては、1mSV~20mSV のどれに定めても科学的根拠がなかったのであるが、何か数値を決定したということを認識しなければならない。

科学的根拠がないが決めなければならないという話なら、決めるのは丸川なら、自身の所属する自民党の支持団体の意向を優先して決めるかもしれないし、当時の民主党なら別の判断があったのだろう。その事情を無視して、科学的根拠なる言葉を用いて、支持者の賛同を得ようと時の大臣が発言するのがお粗末なのである。決めたことを守るのが役所の仕事である。規制値が実態に合わないと考えるのなら、立法府での議論により変更する手続きを進めることからということになる。担当大臣が思惑に流されていては行政に恣意的な動きが現れてしまう。
丸川の「そういう言い回しを使ったか記憶にない。伝えようとした趣旨が伝わらず、言葉足らずで申し訳ない」というのは、言葉足らずの意味が分からない。伝えようとした趣旨とは何だったのだろうか。住民の帰還を妨げる一因になっているというならそう言えば良い。それでも、そこには科学的根拠など無いのだから、足らなかったのは言葉ではない現状に対する理解ということだ。

総務相の高市早苗が政治的公平を 定めた放送法の違反を放送局が繰り返した場合に電波停止を命じる可能性に言及した。自分を批判する勢力を抹殺しようという考えであろうか。方領土問題を担当する島尻安伊子・沖縄北方担当相が、北方領土の一つである歯舞群島の「歯舞」を読めなかったのもお粗末である。育児休業取得を宣言していた自民党の衆院議員である宮崎謙介が妻の出産直前に不倫したとの疑惑が出た。島尻のは愛嬌があるような気にさせる事態である。他に、甘利も高木もいる。
何を言っても良い、何をしても良い、というのは、権力を持つ者の態度として許されるものではないと言わなければならない。


宮崎の相手がベッキーなら、最大の芸能ネタになる。自民党はサンミュージックに頼むと良い。

« 台湾地震の死者37人に 倒壊ビル、作業は難航 | トップページ | 川崎・中1殺害、19歳に懲役9年以上13年以下の判決 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 台湾地震の死者37人に 倒壊ビル、作業は難航 | トップページ | 川崎・中1殺害、19歳に懲役9年以上13年以下の判決 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ