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2016年2月10日 (水)

川崎・中1殺害、19歳に懲役9年以上13年以下の判決

川崎市の多摩川河川敷で昨年2月、中学1年の上村遼太さん(当時13)が殺害された事件の裁判員裁判で、横浜地裁(近藤宏子裁判長)は2月10日、殺人と傷害の罪に問われた無職の少年(19)に対し、懲役9年以上13年以下の不定期刑(求刑・懲役10年以上15年以下の不定期刑)とする判決を言い渡した。
検察側の主張によると、被告は遊び仲間だった18歳の少年2人 =いずれも傷害致死罪で起訴= と共謀し、昨年2月20日午前2時ごろ、川崎市川崎区の多摩川河川敷で、上村さんの首をカッターナイフで何度も切るなどして殺害したとされる。また、事件の約1カ月前に上村さんを殴ってけがをさせたとして、傷害罪にも問われていた。上村さんがこのけがの原因を周囲に話したことに被告は怒りを募らせ、殺害に及んだとされる。弁護側は「カッターナイフを仲間に渡されるという偶発的な要素があった。被告は反省しており、矯正は十分可能だ」と主張。懲役5年以上10年以下が相当だと訴えていた。(朝日新聞:2月10日)


少年犯罪について考える。


19歳の少年が13歳の少年を殺した事件である。未成年者で満14歳以上で罪を犯した少年については、家庭裁判所で少年審判が開かれる。しかし、今回の事件のように、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させたときは、原則として検察官送致の決定がなされる。この後は成人の刑事事件と同様の手順になる。少年の場合には、成人に比べ慎重な扱いをする手順に見えるが、このことが事件に関する事実を明らかにするのに貢献するかは分からない。少年法は保護更生のための処置を下すとしているから、手続きは当然のことではあるが、成人についても保護更生は必要なのだろう。成人なら責任を持つべきだとするなら、少年であっても、という話になる。
裁判を確認する。裁判は殺人事件であるから裁判員裁判で行われることになる。裁判から引用する。被告人の少年ら年長者3人がかりで、1時間余りもの間、代わる代わるカッターナイフで切りつけた。首回りだけで31カ所、全身に計43カ所もの切り傷を負わせたほか、コンクリートに顔面を打ち付けた。この間、被害者は全く抵抗することなく、命じられるまま真冬の川で2回も泳がされた。岸に戻らされては頸部などをまた切りつけることが繰り返された。致命傷となる傷を負わされ、下半身を川につけて放置されても、なお自力で移動しながら絶命した様は凄惨と言うほかなく、手口の残虐性は際立っている。被告は殺意が生じて以降、一貫して被害者を殺害するほかないと考え、生命を奪うまで攻撃し続けた。殺害を逡巡していたと評価することはできず、悪質性は減じられない。
共犯者間の役割について確認する。事件は被告人の怒りを発端とした犯行であり、被告人が共犯者に指示をして暴行を行わせ、被告自らが致命傷となる頸部への切りつけを行っている。事件は共犯者がカッターナイフを差し出したことが大きな契機となっている。計画的な犯行ではないが、差し出されたカッターナイフで切りつけ、直後に殺意を生じたのは被告人自身の判断である。共犯者の責任をことさら大きく評価することは出来ない。

その通りなのだろう。被告人は犯行後に、被害者の衣服を燃やすなど、証拠隠滅を図っている。裁判で動機は、被害者が告げ口をしたものと邪推し、怒りを募らせた。被告人が被害者のほおを切りつけたことから報復や逮捕を恐れて殺害するしかないと突発的に考えた。となっている。検事がこれで果たして納得しているのだろうか。その上で、裁判官は合理的だと判断したのか。どちらも違うだろうが、他に合理的、合理的というのは一般生活を営む者が納得する最低限という程度の意味で、説明が付く限界をここら辺りに定めたという理解で良い。
判決では被告人の情状として、被告人は父母による成育環境が相当に大きな影響を与えている。犯行当時18歳5カ月の少年であった被告人にとって責任非難を減少させる事情である。被告人は保護司の指導を受けるなど、家庭以外の指導も受けている最中だった。この生活環境は、汲むべき事情と考慮されてはいるが、更生の妨げになるとも評価されている。弁護側としてはこれ以外に選択はないのだが、不利に解釈されるのは不本意なことだろう。総括として、行為の残虐性や被告人の役割を考えると、相当に重い部類に属する。しかし、事件が怒りや自己保身を動機とする計画性を欠いた突発的な犯行であることや、殺意の形成に成育環境に由来した未熟さが影響していると結論付けている。結果不定期刑を選択したということである。

刑事裁判というのは、理性的な人が理性から遠い人の行動を説明する行為である。ひこ被告人の行動を理性として説明出来ないから、それを成育環境や未熟さとひも付きにして納得している。本当のところ納得などしないから、納得したポーズを取っているというのが正しいのかもしれない。伝えられる裁判の状況として、被告人は質問にまともに答えられないでいて、裁判官から大きな声で答えるように指導されている。この少年は自分自身が裁かれていることは理解していても、勝手な大人が攻撃しているとしか理解しないか、どう戦っても意味がないと諦めているかのいずれかではないだろうか。大人から丁寧に接する機会がなかった、普通の表現としては愛された経験の乏しい子供は、大人への不信感しか持たないだろう。裁判で証言した被告人の父親は、時間を守れなかった時やうそをついた時に、正座をさせて理由を述べさせ、平手でたたいていた。被告がたたかれるのを避けると、顔面を蹴ることもあった。と述べている。加えて、「私が決めたことをああしろ、こうしろと一方的に言ったので、息子は私に相談し難かったのかなと思います」と述べている。弁護士と相談して決めた証言だろうが、相談という言葉が浮いている。父親は事件をきっかけに運送会社の職を失ったが、「働いて、できる範囲内で被害を弁償していきたい」と述べた。できる範囲というのは、何もしないという意味であるのは歴史が証明している。子供が札付きの悪で、職を失った男がまっとうに収入を得るのは大変だろう。生きていくのだけで大変というのが本当のところだろう。弁護士がこう決まっていると説明されて話しただけにしか思えない。親が何もしないでは大人の理性が受け入れを拒否する。

何か刑事事件を起こして保護観察中であった少年が、凶悪犯罪を起こしたということについて、特段扱われていない。ボランティアである保護司に責任を押し付けるのは、制度の崩壊につながるだろうし、裁判所が別の判決についてコメントするのもおかしな話である。一方でマスコミは、いつもと同じく被害者の関係者を捕まえて、死んだ人を返してくれと言わせる。返さずとも良いという人はない。

何か刑事事件を起こして保護観察中であった少年が、凶悪犯罪を起こしたということについて、特段扱われていない。ボランティアである保護司に責任を押し付けるのは、制度の崩壊につながるだろうし、裁判所が別の判決についてコメントするのもおかしな話である。一方でマスコミは、いつもと同じく被害者の関係者のインタビューとして、死んだ人を返してくれと放送する。返さずとも良いという人はない。そう言っておけば心が落ち着くらしい。この発言にはBPOから指摘を受けない安定感がある。報道するなら、事件を起こした少年が更生していないことを問題にすれば良い。こっちなら少年の厳罰化の流れと合わせれば、社会から隔離する必要があるという結論だろう。そもそも親が悪ければ子もその程度という話に行き着くのにそれほど手番が要らない。しかし、これを放送すれば確実にBPOで扱うことになる。
厳罰化の流れの行き着くところは、殺人をした者は死刑か、犯罪を認定した上で、執行猶予で世に放つ、死刑の執行猶予だろう。これなら被害者の関係者は、街中で敵討ちすることが可能になる。警察署から検察に容疑者を送検する際に、マスコミに晒すようにするのは、市中引き回しの流れに沿ったものであるようだ。すると次は張り付け獄門と、敵討ちの合法化になる。何とも時代の流れに逆行するものである。過去の専門家の意見や、国民の代表が議論して出した結論は横に置くらしい。


少年の親に問題があることが裁判で明らかになっていた。少年犯罪の多くに認められるが、それを予防しようとするなら、犯罪に関わる可能性のある親を排除するよりない。その先にあるのは、出自による階層の固定化、普通に言えば差別になる。自分が選んだ結果で差別されるならそれだけの話だが、出自により犯罪者扱いされるのを受け入れるのは難しい。それを正義というのなら、それはそれでひとつの考え方なのかもしれない。しかし、それでより良い世の中が出来ないということは経験済みである。出自が犯罪者なら、より先鋭化することが確実である。それなら、少年の更生施設の充実で済むかと言えばそうとも言えない。充実した予算の裏付けなしには何も出来ない。それが今日の状況であり、一部の篤志家の好意に委ねて放置している国の責任でもある。


出自で決まるというのは、政治家にとって助かる時代になるということか。

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