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2015年12月 2日 (水)

1票多いミス、1票差で次点が落選 福島・金山町議選

11月29日に投開票された福島県金山町議選で、投票総数が投票者数を1票上回るミスがあった。最下位当選者と次点も1票差。異議を申し立てれば再選挙になる可能性があるが、次点の候補者は「同情票で選挙結果が変わるのは真っ当な民意でない」として異議を申し立てないという。高橋信彦
町議選は定数10を11人が争った。開票作業で疑問票の確認が済んだところでミスが発覚。町選管は「投票用紙を誤って1人に2枚交付したと思われる」と会場で説明。立会人から異議がなかったため、開票結果を確定させた。公職選挙法では、選挙結果に納得できない候補者や有権者は14日以内に異議を申し立てられる。116票を得ながら5選を果たせなかった、長谷川菊夫さん(75)=無所属現職=には30日朝までに、支持者から異議申し立てを促す電話が十数本あったという。長谷川さんは「再選挙なら同情票が入って有利だろうが、決定は決定だ。悔しいが(人口2200人余りの)小さな町で地域の和を乱したくない」と話した。一方、1票差で当選した共産新顔の青柳ヨシ子さん(70)は「立会人も認めて町選管が決めた結果なので受け入れる。逆の立場だったとしてもそうだ」と話した。(朝日新聞:12月1日)


地方について考える。


金山町は、山形県最上郡にもあるが、記事は福島県である。金山町は福島県の会津、つまり福島県の西側に位置する。今回の選挙での有権者数は2,054人、投票率は85.05%である。選挙結果を下に示す。

■ 福島県金山町議会議員選挙結果 (投票日11月29日/定数10)
  得票数    名前     年齢  性別  党派等  現新  肩書き
  208票  栗城康太郎    60   男  無所属   新  会社員
  200票  高橋信彦     59   男  無所属   現  会社員
  181票  横田正敏     49   男  無所属   現  会社役員
  166票  奥 高伸      68   男  無所属   現  農業
  163票  五ノ井清二    80   男  無所属   現  農業
  150票  黒川廣志     73   男  無所属   現  無職
  150票  馬場清次     70   男  無所属   現  農業
  147票  五ノ井義一    64   男  無所属   現  農業
  122票  加藤賢享     65   男  無所属   新  無職
  117票  青柳ヨシ子    70   女  共産党   新  無職
  116票  長谷川菊夫    75   男  無所属   現  靴小売業

投票率から計算される投票者数は1,747票であるが、有効投票数は1,720である。近年、議員数を削減する方向に向かっているから、定数10くらいの議会は多くある。有権者数が2,000程度で、投票率80%とすれば金山町のような状況は発生し得る。投票券を余分に渡した職員は問題だが、仕方ないとは言わないにしても職員にとって大変な仕事になっていることが想像される。面積が294平方キロメートルある村で、JR只見線沿いに民家があるにしても、端から端まで16キロメートルある。7駅あるが6駅は無人駅で、駅に熊注意と表示のあるような場所である。加えて、会津川口-只見間の27.6kmは2011年7月の新潟福島豪雨による影響で不通になっている。つまり、駅は3つということだ。バスによる代行輸送を行っている。といっても、この区間の運転本数は下り6本、上り7本である。列車の本数と同じだから、文句も言えない。2時間に1本と思えば良い。そして、バスはマイクロバスである。只見線は秘境駅として有名で、紅葉の季節は観光客があるそうだが、この状況では困るだろう。JRの復旧計画は具体化していないようで、このまま廃線の懸念もあるようだ。災害発生の原因として、只見川にある滝ダムに堆積した砂が貯水容量の38%に達して、各ダムの堆積砂による貯水容量の低下を引き起こしたことがあるとされる。砂の運搬に只見線を貨物使用できないかという意見もあるようだが、国鉄時代の柔軟性は期待できないのだろう。ということは、政治問題ということである。金山町の人口・世帯数推移を下に示す。

■ 福島県金山町の人口・世帯数推移
   年     人口    世帯数
  1955    9,555    1,619
  1960   10,119    1,845
  1965    7,586    1,640
  1970    6,511    1,630
  1975    5,218    1,487
  1980    4,790    1,507
  1985    4,282    1,343
  1990    3,945    1,295
  1995    3,511    1,253
  2000    3,204    1,211
  2005    2,834    1,142
  2010    2,633    1,145
  2015    2,229    1,086

典型的な過疎地域である。それでも小学校が二つと中学校が一つある。小学校は、横田小学校 (生徒数12人:2014年) と金山小学校 (36人) である。二つの小学校間の距離は12キロメートルある。人数だけなら統合も検討されようが、距離を考えればそうもいかない。結果として、中学校に上がると12キロ先の学校に通う生徒が出るということである。金山小学校に通うであろう昭和村側 (国道400号沿いに南側) では7キロメートル離れたところに集落がある。首都圏の感覚で生活を語ることの無意味さを知る。
高校は福島県立川口高校がある。学年40名前後で、金山町の出身者が学校全体で24名いるから、ほとんどがこの高校に進学するようだ。会津若松市内からの進学者も毎年数人いる。只見線で二時間掛るから通学は難しい。どうなっているか疑問に思ったら、遠距離通学生の為に寮が用意されていた。金山町が運営する寮は、月額2万円で23名が4月に入ったとある。交通費より安いという生徒もいるだろう。安いのは金山町が経費を負担しているからである。
例の如くわき道にそれてしまった。金山町は65歳以上の高齢者比率が50%を超えている。隣の昭和村(面積209平方キロメートル、人口1,353人)も同様である。いわゆる限界自治体である。2010年の国勢調査によると、限界自治体数は11町村ある。

金山町の議員報酬は月に183,000円 (2013年) となっている。職員の給与として大卒初任給が175,100円となっているから、これよりは上ということだ。この議員報酬は、全国全地域1,469地域中で1,323位、福島県内の37地域中35位となっている。もっとも報酬の低い議員と言ってよい。議員は常勤ではないから他の仕事に就けるだろうが、場所柄仕事は限られる。といっても、この議員報酬のみで家族を養うとなると苦しい。学校に行く子供がいては困るだろう。若い議員が少ない理由もその辺りにありそうだ。60歳未満の二人の候補は、会社員と会社役員である。役員の方は地元の企業のようだ。会社員の方は分からない。
議員報酬を抑える必要はあるのは分かるが、一定以上の抑制は候補者を限定させる。そもそもこの程度の手当で選挙を行うとなると、ボランティアと考えるよりない。次点の候補者が選挙を望まないのは、この町に財政上の負担を強いることを良しとしないからだろう。つまり、事情が許せば話し合いで候補者調整を行いたいというところである。それなら、議会議員制度をなくせば良い。首長が災害発生時に必要なことは、大島町でも、鬼怒川の洪水でも経験済みである。町村総会と言う制度が地方自治法に規定されている。直接民主制を実現する制度である。過去の実例としては、町村制下における神奈川県足柄下郡芦之湯村(現在の箱根町の一部=人口11人:1891年から1945年)の事例と、地方自治法下における東京都宇津木村(現在の八丈町の一部=人口約50人:1951年から1955年)の事例が報告されている。該当する地方自治法の94、95条を下に示す。


■ 地方自治法
 第九十四条
町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。

 第九十五条
前条の規定による町村総会に関しては、町村の議会に関する規定を準用する。


議会を構成した間接民主制が基本になっているが、限られた例外があったということである。例外の二件についても、人口が少ないことが最大の要因である。宇津木村については生活するのに過酷な環境であったことも影響していただろう。宇津木村のあった八丈小島では、1969年に全島民完全移住がなされている。全島民撤退直前の島の人口は宇津木村9戸31人、鳥打村15戸60人とある。
町村総会の規定はあるにしても、実務から遠い状態で放置されたから、直ちに運用したいと思っても綻びが多いことは容易に想像が付く。例えば、有事の際の首長の役割は重要であるにしても、平時における首長の暴走を監視する仕組みが決定的に欠けている。有事より平時が多いのは当然のことなので、平時における利益誘導の仕方でもめ事になる可能性は高く、その結果、機能不全に陥る可能性は高くある。その辺りの緊張感をもたらすような制度整備が必要となる。過疎地域の問題を考えるのに、限界集落などと投げやりで、差別的な呼称を用いるのではなく、このような地域に相応しい自治のあり方を考えることが先決である。
多数の利益を優先すれば、山手線の整備が重要であり、只見線の復旧など優先度の低いものであると決まっている。民間企業であるJRにおいても、一日の利用者数が百人に満たない会津川口駅のことより、二万人を超える鶯谷駅に資金を入れるのは当然である。これが民間企業の経済原理というものである。地方創生などと称して、地方の経済の復興を声高に叫んでみても、地方の限定された地域に中央からの資金を入れて、それ以外は放置するという結果になるのだろうと想像される。経済原理や多数意見の採用と進めれば、おのずとたどり着く結論である。少数意見の排除という流れには、多様性の尊重という価値観と反対側に位置する。マイノリティを排除しても構わないとしても良いが、リスクヘッジをどう取るのか、まあ単純に保険をどう掛けるのかでもよい、その視点には欠けていると断じなければならないだろう。

只見線のことなど誰も考えないだろう。政治家はもとより、渋谷の本社も、仙台の支社も忘れているか、考えたくない話題だろう。かといって、高齢者ばかり多い田舎の町で何とかできる話でもない。只見線に貨物を走らせても良いし、SLを紅葉シーズン以外にも拡大して定期運行しても良い。加えて、金山町の適当なところ、仮に玉梨温泉にでもしようか、ここにホテルを建設する。SLに乗ってきたらここに泊まらなければ帰れなくすれば良かろう。自動車の乗り入れを規制して、地元以外は台数制限をしても良い。政治家の大好きな箱ものであるホテル建設である。JR東日本は乗る気にならないだろうから、運行の委託をする方式を取れば良い。金儲けをする方法を必死に考えるのである。こんな田舎の限界集落に無駄だとする愚かな意見もあろう。限界集落の復活事例を示すことが、政治家や中央の官僚にとって重要な成果になる。彼等は金山町のことなど考えもしないが、アピールできることなら喜んで協力するものだ。海外から観光客を限界集落に呼ぶことこそが重要である。雪深い季節に、ただそれだけを見に来るのが観光というものである。その地域に暮らす人には思いつかないことも沢山ある。知恵が足らないのである。


ホテル建設は、たびたび洪水被害を受けている住民の避難場所に使えるからである。

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