« ブリヂストン、タイヤから路面状況伝達 センサー技術実用化 | トップページ | 電動自転車、バッテリー容量大きく パナソニック »

2015年11月26日 (木)

裁判官2人は「選挙無効」 1票の格差最高裁判決

昨年12月の衆院選の「1票の格差」をめぐり、「違憲状態」と判断した11月25日の最高裁大法廷判決で、3人の裁判官が「違憲」の反対意見を付けた。うち2人は選挙を「無効」にすべきだと踏み込んだ。「違憲・無効」の個別意見は衆院選では1993年の判決以来。一方で、別の2人は「合憲」とした。
「無効」意見はいずれも弁護士出身の大橋正春判事と木内道祥判事。大橋判事は国会で改革が進まない理由を「現職議員間の利害対立が主因」と指摘。「混乱を避けるため、判決確定から6カ月後の無効が相当だ」とした。木内判事は格差が2倍超の選挙区を無効とすべきだとした上で「無効になればその選挙区の議員はゼロとなるがやむを得ない」と述べた。同じく反対意見の鬼丸かおる判事(弁護士出身)は、選挙無効については「投票した国民も予想しない事態で、予期しない不都合がもたらされる恐れがある」として「違憲」とするにとどめた。「合憲」の共同意見を書いたのは桜井龍子判事(行政官出身)と池上政幸判事(検察官出身)。国会の取り組みを認める一方で「現在の区割り基準を見直し、投票価値の平等を一層実現するよう希望する」と注文を付けた。(日本経済新聞:11月26日)


一票の格差について考える。


何度も扱っている一票の格差である。小選挙区の格差はあってはならないというか、毎回自動的に補正を加えるような仕組みが当然だと考える。政治家は、選挙命の原理主義者集団で、既得権を守るのを使命と心得ていると想像する。選挙で勝つことを最上の喜びとしているのだから、勝つ仕組みを組めなくなるような制度変更に誘導する筈もない。立法府の議員というのは、既得権者である。既得権を守ることが制度疲労を引き起こしているのは動かし難いから、規則を作る者を別の組織に移すというのが筋が良い考えである。筋が良くても、既得権を守る方が重要と考える者が、そんな案を採用することはない。
それはそうと、一票の格差がどのくらいまで許容されるかを検討しなければならない。2倍(1人と2人)、1.5倍(2人と3人)、1.33倍(3人と4人)、1.25倍(4人と5人) と並べてみれば、2倍は問答無用に却下される水準で、1.5倍も許してはならない。1.25倍未満位を目標にするのが当然と思うのだが、せめて1.33倍位を目指して貰いたいものである。
地方の意見を国政に反映するのに、地方出身の国会議員が必要だという論理を主張する者がある。そこで、地方と都市部で投票率が違うかを確認した。小選挙区での比較をしようと思ったが、適当な資料が見つからなかったので、総務省の資料から都道府県単位の投票率があったのでこれを採用した。衆議院議員選挙の小選挙区の投票率を過去四回で比較した。低投票率の五県と、高投票率の五県を下に示す。

■ 衆議院議員選挙都道府県別小選挙区高・低投票率比較 (単位:%)
  選挙年   2014          2012          2009          2005
   全国    52.66     全国   59.32     全国   69.28     全国   67.51
---------------------------------------------------------------------
低投票率県
  青森県  46.83    高知県  53.89    千葉県  64.87    沖縄県  62.35
  徳島県  47.22    青森県  54.20    沖縄県  64.95    高知県  64.12
  富山県  47.46    栃木県  54.71    埼玉県  66.25    茨城県  64.46
  福岡県  48.81    宮城県  55.24    東京都  66.37    宮城県  64.58
  石川県  49.16    岡山県  55.27    大阪府  66.79    千葉県  64.59

高投票率県
  島根県  59.24    島根県  65.74    島根県  78.35    島根県  75.81
  山梨県  59.18    山形県  64.86    長野県  75.67    山形県  73.84
  山形県  59.15    山梨県  63.67    石川県  75.67    鳥取県  72.86
  佐賀県  57.77    長野県  63.36    鳥取県  75.30    大分県  72.49
  北海道  56.35    秋田県  63.22    山形県  74.93    岐阜県  72.31


最高と最低の比は、1.2倍強となっている。高投票率が地方で、低投票率が都市部と決まっているかというと、そうとばかりも言えないようだ。高投票率に、島根県、山形県があるが、低投票率に都市部が現れるが固定的でもなく、地方も現れる。立候補した人の様子や天候にも関係するから、単純な話でもない。確認するのにまとめたので、過去七回についても都道府県を割愛してまとめたのが下である。

■ 衆議院議員選挙都道府県別小選挙区高・低投票率比較 (単位:%)
   年   2014    2012   2009    2005   2003    2000   1996
  全国  52.66   59.32   69.28   67.51   59.86   62.49   59.65
  -------------------------------------------------------------
  低 1  46.83   53.89   64.87   62.35   53.98   55.69   53.44
  2    47.22   54.20   64.95   64.12   54.92   58.46   54.53
  3    47.46   54.71   66.25   64.46   55.95   58.49   54.81
  4    48.81   55.24   66.37   64.58   56.28   59.45   55.49
  5    49.16   55.27   66.79   64.59   56.82   59.52   56.37
  -------------------------------------------------------------
  高 1  59.24   65.74   78.35   75.81   70.66   77.18   75.68
  2    59.18   64.86   75.67   73.84   69.66   73.53   70.91
  3    59.15   63.67   75.67   72.86   69.60   72.74   70.20
  4    57.77   63.36   75.30   72.49   67.34   71.63   69.70
  5    56.35   63.22   74.93   72.31   67.26   70.96   68.85


1996年には最高と最低の比は1.4倍あった。小さくなった理由を説明できないが、低投票率に流れていることが差を小さくしているというのは、合理性が少しはありそうではある。それならと、この7回の投票率で、都道府県別で投票率の標準偏差が大きい県について、上から8県とついでに下も8県について投票率推移をまとめた結果を下に示す。

■ 衆議院議員選挙都道府県別小選挙区投票率推移 (単位:%)
  低分散・年 2014    2012    2009    2005    2003    2000    1996
  富山県   47.46    56.89    73.75    71.16    59.24    64.77    62.98
  石川県   49.16    61.92    75.67    71.27    63.88    68.73    66.04
  福井県   50.00    61.75    74.11    71.68    64.81    69.73    69.70
  徳島県   47.22    57.83    70.11    67.66    60.77    64.63    60.14
  鹿児島県  50.47    56.79    71.50    69.69    64.14    67.71    62.08
  新潟県   52.71    59.66    73.41    71.57    66.08    70.96    68.85
  福島県   52.51    58.86    72.82    71.62    67.26    70.63    66.39
  熊本県   50.06    58.53    71.76    69.34    64.41    65.24    67.14

  高分散・年
  2014    2012    2009    2005     2003   2000    1996
  沖縄県   52.36    56.02   64.95    62.35    59.02   59.45   56.84
  東京都   54.36    62.20   66.37    65.59    58.35   60.46   56.54
  茨城県   55.24    58.85   67.60    64.46    55.95   59.91   57.03
  千葉県   51.24    58.49   64.87    64.59    56.82   58.46   54.53
  静岡県   55.61    61.75   70.81    68.81    63.55   66.04   61.45
  山梨県   59.18    63.67   74.29    71.31    62.10   65.38   62.28
  愛知県   54.19    59.07   69.60    66.48    59.30   60.63   56.37
  奈良県   55.60    63.14   71.47    70.32    61.61   61.95   62.24


分散が大きい県は、投票率が高かったのが低くなった県、小さい県は、もともと投票率が低い県ということのようだ。沖縄が安定しているのが意外な気がしたが、東京が安定しているのも意外であった。東京は浮動票が多く、選挙に関心が薄いという扱いになっているが、そんな人も多くいるが、どこより組織に縛られている人が多い地域でもあるとも読める。想像を膨らましても仕方ないのでここまでにする。

地方出身の議員が、地方の意見を中央に反映していかなければならないと、さももっともらしく主張する。しかし、地方の停滞を招いたのは政治家であり、地方に厚く配分された選挙の結果である。その結果がこの体たらくだとも言えるし、そうでなければもっと悲惨だったと主張も出来る。本当のところ、地方のことなど考えてもいないのだろうとも想像される。多くの世襲議員は地方出身でも東京で教育を受けて、選挙の関係でしか地方とは結びつきがないというのでは、ある種の説得力がある。地方出身のアイデンティティが薄いのなら、当然の結果ではある。

さて、判決に移る。選挙無効とすることについては、投票した国民も予想しない事態で、予期しない不都合がもたらされる恐れがあるということだ。不平等がもたらす悪影響は、予想できるのかと裁判官に問いたい。分からないことが分かるという事態には恐怖を覚えても、分からないことが分からないことには恐怖もないということだ。本当に恐ろしいことは、想像もできないところから出現するというのは、生き延びる為の最初の知恵である。勉学に優れ最高裁の判事の席に就くことになった御仁には、有事に際した生命力に欠けるという欠点があるようだ。混乱の先にあることは、それこそ統治行為として国権の最高機関に委ねられるべきことである。混乱が生じせしめることになったにしても、裁判所に求められる仕事を行うというものである。その先を慮ることを、誰も裁判所に求めていないし、法律においても求めはしない。これを越権行為と呼ぶのだろう。


希望するだけでは何も変わらない。最高裁判事はいつから皇族になったのだ。

« ブリヂストン、タイヤから路面状況伝達 センサー技術実用化 | トップページ | 電動自転車、バッテリー容量大きく パナソニック »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ブリヂストン、タイヤから路面状況伝達 センサー技術実用化 | トップページ | 電動自転車、バッテリー容量大きく パナソニック »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ