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2015年11月 4日 (水)

再婚禁止期間訴訟で大法廷弁論 初の憲法判断へ

女性の再婚禁止期間を定めた規定が憲法違反かどうかを問う訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は11月4日午前、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。原告側は「女性の権利を侵害している」と主張。国側は「親子関係の紛争を防ぐ立法趣旨に合理性がある」と反論し、結審した。最高裁はこれまで同規定が違憲か合憲かの判断を示しておらず、年内にも初判断を示す見通しだ。
女性にだけ6カ月の再婚禁止期間を定めた民法733条の規定が「法の下の平等」を定めた憲法に違反しているとして、岡山県総社市の30代女性が2011年8月、国に165万円の損害賠償を求めて提訴。一、二審判決で請求が退けられ、上告していた。(日本経済新聞:11月4日)


憲法判断について考える。


最高裁は、棄却する場合には原則として、口頭弁論をせずに、書面審査だけで済ませる。今回弁論を開いたということは、棄却は無くなって、憲法判断をするということである。6カ月の再婚禁止期間が女性にだけあることが問題になっている。男性に禁止期間がないことから、女性に対する差別規定であるというのが、原告の主張である。

民法733条は明治31年の明治民法を引き継いでいるから、明治の法律と言って良かろう。この古い法律の規定が、今日の科学技術として可能となったDNA型鑑定による親子関係の調査分析など想定していようもない。外国の規定に目を向ければ、ドイツは1998年に廃止、フランスは2004年、韓国は2005年に廃止されている。先進国でこの制度が残っているのは日本だけで、国連の自由権規約委員会や女子差別撤廃委員会からも廃止勧告を受けている状況である。
民法の772条には、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する、という一項がある。加えて二項で、離婚後300日以内に出産した子供を前夫の子供と推定することと、婚姻成立の日から200日後に出産した子供は、婚姻中の子供と推定するとされる。200日後というのは、201日目以降ということである。推定するという法律用語は、原則的に取り扱うという意味であって、不合理とする確固たる反証があれば別の扱いもすることを示している。

民法が明治の法律であっても、今日まで連綿と手直しをしつつ継続してきたのだから、古いからだけで直すという訳にもいかない。それでも、古くからの家族制度が変わってきているという事実は存在するのだから、見直す必要が生じるという考え方も排除出来ないだろう。
上記の民法の規定を読んで、法律が第一に保護しようと考えているのは、生まれた子供の権利の保護であると考えて良さそうである。生まれてきたばかりで何も出来ないと言えども、一つの生命の人権を守らなければならないというのが法律の精神である。父親が誰だか分からないから、結婚はしていたけれども、夫婦間の子供ではないという扱いは、子供の福祉に反する行為である。自分自身で何も決定出来ない子供について、法律で一律に振り分け (推定) をするのは当然のことである。それが不合理だとする理由があるのなら、一定の手続きをもって修正することは可能としているのである。
一方で、今日無戸籍である人が、法務省の調べで533人、民間団体の推定で1万人が生じている状況は、看過出来ない。無戸籍になる理由は幾つかある。親のネグレクト、戸籍制度への反対というのがあるが、前者は民法ではなく別の法律で対処しなければならないし、民法の改正で何か出来るものでもない。後者は法律に反対することを法律に従わない理由にするのは、法律で守ることも最小限にされることを受け入れるという表明でもある。つまりこれらは別の話である。記憶喪失や認知症もあるようだが、これも別の法律である。最も多いというより、ほとんどは772条の規定を嫌い、前夫を子の父とすることを避けるがために出生届を出さないというものだろう。これは民法で対処可能な部分がある。無戸籍で放置されると、教育を受けることもないし、資格はもちろん保険の適用も出来ない。仕事に就くことも難しくなる。これは問題である。子供の人権を不当に扱っている原因が民法にあるとされると辛い。無戸籍の原因にさかのぼると、嫡出否認調停、親子関係不存在確認調停、認知調停といった方法で対処する方法が残されるが、どれも楽ではない、というよりとっても高いハードルになっている。法律の規定は、法律に従う者に有利に、従わない者に不利に構成されている。従わなかった者が、法律の保護を受けようとするには手間が掛ると決まっている。

実際には妊娠してから結婚する場合があり、200日後に至らずに出産した場合には、夫は子供の認知手続きが求められる。妻が以前に結婚していない場合であっても、日数による子供の父親の推定の範囲外になるからである。これも実務では無視されているようで、結果として離婚後であることと、そうでないことで差別があるという解釈が成立してしまっている。

父親が刑事訴追される可能性まであるDV夫であっても、母親が貞操観念の欠如した女性であっても、子供は親を変更出来る訳では無い。しかし、親の不都合で子供の権利を奪って良い話では無いし、法律がそれに加担するのもおかしな話である。
訴訟の原告は、男女差別の問題を重視しているが、重視すべきはまず子供の権利である。結婚するのも、離婚するのも、子供を産むのも自由であるが、生まれた者には権利があるという話である。DNA型鑑定で親子関係が厳密に判定可能であっても、私の子供ではないと義務を一方的に放棄することを認める事態が生じては、結果として子供の福祉に反するということである。自分の子供でないとするには、一定の法律手続きをしなさいという道は閉ざされていないのだから、原則として規定すべきは子供の親の推定ということになる。
離婚後に妊娠に気が付いた場合を想定しなければならないだろうが、離婚後の結婚の期間の設定には合理性はないのかもしれない。それでも、生まれた子供に不利益が生じる可能性はありそうだから、工夫の必要はありそうで、結果として女性側に制限を設けることになりそうである。これを不平等といえばそうかもしれないが、出産可能なのが女性だけである状況は変わりそうにないから、合理的な区別でしかないという考え方も成立しよう。
最高裁の判断を予想しても仕方無いが、無戸籍が生じる危険性に配慮することを重視して違憲とするのではないかと予想する。反対する少数意見が半数近くあっても驚かないし、違憲が少数意見であっても不思議だとは思わない。


女性の権利だけなら個別事案で無視しても、子供の権利ならそうもいかない。

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