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2015年11月16日 (月)

スズキ、農業に本格参入 遊休地で野菜・果物栽培

スズキは11月15日、農業事業に本格参入すると発表した。静岡県磐田市沿岸部にあり、津波対策で内陸部への移転が決まっている二輪車の設計・開発拠点「二輪技術センター」などの敷地を生かし、野菜や果物を栽培する。子会社を通じて農業関連の企画会社も設立し、将来は移転後の建物を植物工場などとして活用することを目指す。
第1弾として2~3年かけて約3万平方メートルの遊休地を農地に転換し、キャベツなどの野菜やブルーベリーなどの果物を栽培する。社員食堂での活用や外部販売を進め、農業分野で3年間に計1億円の売り上げを目指す。2年後をメドに二輪技術センターなどを内陸部に移転した後は、残った建物を植物工場などに活用する方針だ。子会社や地元の肥料会社などが共同出資で設立した企画会社、磐田シティファーム(磐田市)が中心となり研究を進める。(11月15日:日本経済新聞)


野菜生産について考える。


遊休地を農地に転用するというのが流行しているようだ。都市近郊でも行政が、就農者支援制度を行っているし、耕作放棄地の利用を掲げている。耕作放棄地とは随分な表現である。土地はお上の物という意識が存在するということだろう。政策の継続性のなさや、的外れによって農業が衰えたことと、農地利用の低下は関連付けられるのだが、農家の就業意欲によると精神論に持ち込む気でいるようだ。農地というのは、人間が人工的に作ったもので、本来の姿は別にある。森や林を開墾したり、やせた土地を豊かにする改良をしたりと、人間が農業生産性を高めた結果である。水田など人工的なものの最たるものと言える。つまり、本来の姿に戻っただけなのだが、つい最近のことしか関心のない人からすれば、放棄ということになるらしい。個人所有する土地をどうしようと大きなお世話だが、突然社会性を前面に出してくる。役所が社会性を持ち出すときは、自分の過去の無策を隠す為と決まっている。
話を戻す。スズキは津波被害を回避する為に、内陸部に工場を移したので海岸近くに開いた土地が生じた。土地の面積は3ヘクタールということである。静岡県の代表的な野菜は、チンゲン菜、ジャガイモ、レタス、キャベツといったところである。特に日本で最も高いシェアなのはチンゲン菜である。単位面積当たりの収量と、東京卸売市場での年平均価格から、面積当たりの収入を計算したのが下である。

■ 野菜の収量と価格
    野菜     出荷量/面積(t/ha)  市場価格(\/kg)  収入(k\/ha)
  ジャガイモ       26.2          115        3,018
  キャベツ        37.9           94         3,562
  チンゲン菜       17.4          294         5,125
  レタス          25.6          195         4,999

市場価格は年間平均で、収獲が容易な時期には価格が下がる。収量が多い作り易い時期には価格が安いとなるが、これはとりあえず横に置くことにする。記事で作付けを計画しているブルーベリーについて確認する。静岡県は温かい気候であるので、収量の多いラビットアイ系の植え付け後の経過年数での単位面積当たりの収量を下に示す。

■ ブルーベリー 1へクタール当たり収量 (ラビットアイ系)
  4年目   1,000kg
  5年目   2,000kg
  6年目   4,000kg
  7年目~   8,000kg

ブルーベリーの価格は、1㎏で3,000円くらいのようだ。(2,000~5,000円と幅が広い)

3ヘクタールの農地を、1ヘクタールを果実栽培に固定化してブルーベリーを、2ヘクタールを野菜栽培に適用するとしよう。野菜の方は、春から夏にかけてジャガイモを、その後、秋から冬にかけてキャベツを栽培とする。野菜の方は、年間売上高 13,160千円 ( =(3,018+3,562)*2) となる。果実の方は植え付けを行った4年目が 300万円で、7年目に2,400万円になる。7年目の合計の売上高は 3,716万円となる。3年間で売上高1億円には届くという見込みになる。
野菜を安いジャガイモではなくチンゲン菜にすれば売上が増えるという指摘もあるだろう。しかし、葉物野菜には人手が多く必要になる。ジャガイモとキャベツのように単純化した方式は気候変動などで不足が生じた場合のリスクを拡大することになるから、分散化した方が好ましいが、運営主体の磐田シティファームが新しい団体で、この土地での農業に十分に知見があるとも思えないので、栽培種類を増やすことがリスクの分散より、生産性や作業性のの低下につながる可能性もある。法人の情報が得られなかったのでここまでとする。

野菜工場が気候変動に弱いという笑い話にもならないことは、少し前に破綻した法人の件で書いた。管理された環境下での栽培が、ちょっとしたアクシデントが深刻な被害を引き起こすきっかけになることがあるようだ。露地物で最も栽培に適した環境では病害虫被害が最小限であるとしても、ハウス栽培で収穫時期をずらしたものでは多く問題が生じる傾向にある。野菜工場では尚更で、まだ分からないことがたくさんあるという認識を取るべきなのだろう。
TPPで利益を得る自動車会社が、不利益を被る農業に関わりを持つことが目的であるように思えてしまう。穿った見方と言われるだろうが、穿った見方を否定する意見を聞いて見たいものだとは思うのである。


市民農園で無農薬に憧れた初心者が、周囲の熟練者に迷惑を掛ける。似ているかも。

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