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2015年11月18日 (水)

富士フイルムが大容量磁気テープ 従来品の2.5倍

富士フイルムは11月18日、1巻で最大15テラバイトのデータをためられる大容量磁気テープを発売したと発表した。磁性体が含まれるテープの層をこれまでより薄くするとともに、製造工程でできる微細なキズを減らすことで、全体の容量は約2.5倍、1秒間に書き込める容量も750メガバイトと2倍にした。ゲノム解析や高画質映像などのデータ保存に使ってもらう。
磁気テープはデータの読み書きの時以外は電力がいらず、寿命が30年以上と長いのが特徴。普段使わないデータを安価に保存しておけるため、販売が増えている。(日本経済新聞:11月18日)


大容量のバックアップについて考える。


記憶装置の柱はHDDになっている。HDDの年間出荷容量はどのくらいかと計算してみた。どこかの調査会社が発表している数字があったように記憶したので調べたが見つからなかった。そこで、WDとSeagateが自社のHDD出荷容量を公表しているので、この数字から市場全体を推定する方法を取った。結果を下に示す。

■ HDD年間出荷記憶総容量推移 (単位:EB = エクサバイト:10の18乗バイト)
     年         2011    2012    2013   2014    2015
HDD出荷総容量 (EB)   326    399    467    551    552

テラバイト (TB) は10の12乗であるから、TBの千倍のPTのさらに千倍ということである。PBだとすぐに追い付いてしまうと考えたのだろう、十年前でもこの単位であったと記憶する。2015年はCQ3までの数字に4/3を掛ける単純な方法に依った。計算した容量は増えている。近年HDDの出荷数が減少し、装置の記憶容量も増加が鈍いと言われていても市場全体の容量要求というのはあるということだろう。HDDが5年使われるとすると、2,295 EByteが市場に溢れることになり、何等かのバックアップが必要になるということである。個人ならDVDやフラッシュメモリに保存する方法があるが、企業などで保存の必要が法律などで求められる場合にはその程度では済まない。何はともあれ、光媒体は遅いという問題がある。記事の磁気テープシステムはどんなものかを、LTOの仕様の変遷として下に示す。

■ LTOの世代仕様比較
                LTO-1   LTO-2   LTO-3  LTO-4  LTO-5  LTO-6
発売年            2000     2002    2005    2007   2010    2012
容量 非圧縮時      100GB   200GB   400GB  800GB   1.5TB   2.5TB
    圧縮時       200GB   400GB   800GB  1.6TB   3.0TB   6.25TB
速度(MB/s) 非圧縮時   20     40     80    120     140    160
         圧縮時     40     80     160    240     280    400
WORM            不可    ←     可     ←      ←      ←
暗号化            不可     ←      ←     可      ←      ←
パーティション分割     不可    ←     ←     ←      可      ←
テープの厚さ(μm)      8.9     8.9     8     6.6      6.4     6.4
テープの長さ(μm)       609    609     680     820     846     846
テープのトラック数      384    512    704    896    1,280    2,176
記録密度(bits/mm)    4,880   7,398   9,638   13,250   15,142   15,143

LTOとは、Linear Tape Open の頭文字である。大容量高速テープ記憶装置である。PCのインターフェイス規格であるSATA2 (2004年) のデータ転送速度が300MB/sとなっている。その前のSATA (2000年) が150MB/sであるから、このレベルになっていると思って良さそうである。テープが遅いというイメージは、それは昔の思い出に引きずられているようだ。PCで作業をしているような状況では、記憶した情報にランダムアクセスする必要が出るから適さないだろうが、バックアップという連続した動作であれば問題も生じない。
EMC (DELLが670億ドルで買収するというニュースが少し前にあった) の記事では、テープは不要という意見が出ていた。前提条件により正解が変わる気がするが、省エネ性能を込みにすれば、連続動作するHDDを中心にしたシステムより磁気テープの方が適する結論になりそうである。

記事の仕様は、LTO-7に相当している。2015年の規格であるから、今年決まったということになる。規格が決まるのに時間を要するのは、リムーバブルな媒体であるが故の事情というものである。ここではベータとVHSの話と同じことが生じる。装置ができてもテープがないようでは用を足さない。
LTO-5までに用いられていた磁性体はメタルであったものが、LTO-6からはバリウムフェライトに変更されている。金属材料が酸化物材料に変わったことで長期安定性が高まったというのが富士フイルムの紹介ページにある。それはそうと、テープ製造の状況がこの様な用途限定で成立するのかが気になる。そこで、経済産業省生産動態統計調査から磁気テープ全体の生産量と、録音・録画用途以外の生産量の推移を確認した。結果を下に示す。

■ 磁気テープの生産数量 (単位:百万m2)
   年       磁気テープ全体  その他の磁気テープ
  2014          296          164
  2013          311          173
  2012          390          218
  2011          331          207
  2010          353          197
  2009          318          165
  2008          467          234
  2007          474          231
  2006          547          218
  2005          687          221
  2004          729          186
  2003          827          145

家庭用のDVDプレーヤーの販売は1996年に開始され、2004年には、DVDプレーヤーの国内出荷台数がVTRを上回っている。記録可能なDVDの普及も2000年以降広まっているから当然の結果と言える。音楽用のカセットテープはもっと前に、FDの利用も今世紀に入ってからは激減している。海外の例では、Scotchブランドで磁気式記録媒体事業を展開していた3Mは、1996年にこの分野から撤退するに当たり、その事業受け皿会社としてImationを設立している。この会社は記録媒体事業取り止めを模索していたTDKの事業を吸収し、代わりにTDKが筆頭株主になっている。つまり、TDKの関連会社になったのだが、同業他社とTDKは関連があり、完全子会社化する訳にはいかないということである。
録画、録音用途以外の生産量は大きな変動はないようだが、在りし日を思い返せば生産量は少なく、技術的な難しさも増しているから安く作るのは難しいものだろう。この手の単純な構成に見えて綿密な管理を求められる製品を安く作るというのは、人物金の集まった地域でしか成立しないだろう。無論、その先の消費というのも付いてこないといけない。HDDより日本になっているかもしれない。市場規模は大容量のデータがどのような領域で用いられるかで決まるが、ビッグデータというのが流行の様だから市場性としては有力なのかもしれない。


テープストレージ市場の調査は出来なかった。

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