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2015年10月15日 (木)

「大学のあり方議論する場を」 日本学術会議が声明

文部科学省が国立大に対し教員養成系学部や人文社会科学系学部の廃止や組織改編を求めた通知に関連し、日本学術会議は10月15日、「大学改革には幅広い議論による合意形成が必要だ」として、大学・学術界、産業界、一般の人が自由に意見交換できるフォーラムの設置を求める声明を発表した。
記者会見で会長の大西隆・豊橋技術科学大学長は「通知を巡る議論で浮かび上がった大学の課題について、国民的な議論を起こして方向性を探る必要がある」と話した。文科省は通知について「『文系廃止』との受け止めは誤解」と釈明しているが、大西氏は「考えは理解したが、通知から趣旨を読み取ることは困難」と指摘した。(日本経済新聞:10月15日)


大学教育について考える。


大学の学部別の進学者数を確認することから始める。文部科学省の学校基本調査のデータから、大学の学部別の入学者数をまとめた結果を下に示す。

■ 大学の関係学科別入学者数 (文部科学省 学校基本調査 2015年度速報値)
    学部         人数    割合      国立       公立        私立
  人文科学       87,005   14%     6,540   6%    4,808  16%    75,657  16%
  社会科学       201,185   33%    14,755  15%    8,264  27%   178,166  37%
  理学          18,397    3%     6,888   7%      598   2%    10,911  2%
  工学          91,367   15%    29,103  29%    3,914  13%     58,350  12%
  農学          17,696    3%     6,495   6%    1,039   3%     10,162  2%
  保健    計     68,604   11%    10,630  11%    6,295  20%     51,679  11%
       医学      8,726    1%     4,520   4%      842   3%      3,364  1%
       歯学      2,429    0%      495   0%      94   0%     1,840   0%
       薬学     13,085    2%     1,017   1%      358   1%    11,710  2%
       その他    44,364    7%     4,598   5%     5,001  16%    34,765  7%
  家政          18,226    3%      320   0%      741  2%     17,165  4%
  教育          47,604    8%    15,694  16%     646   2%     31,264  6%
  芸術          17,659    3%      721   1%    1,470   5%     15,468  3%
  その他         49,766    8%     9,485   9%    3,165  10%    37,116  8%
  -----------------------------------------------------------------------------
   計          617,509   ―    100,631  ―    30,940  ―   485,938  ―

国立大学は、理科系学部の定員が多いのが私立と異なる傾向である。それでも、記事にある教育学部は、私立の6%に対し18%と大きくなっている。国立大学の多くが、師範学校の流れを汲む、つまり教員養成学校だったのだから当然とも言える。人文社会科学系学部の定員が多いのは、設備が相対的に小さいことが理由だろう。
さて、教育学部の話である。現在では卒業に教員免許の所得を求めない教育学部が存在する。いわゆるゼロ免課程である。ゼロ免課程が1987年に始まったという。ゼロ免課程というのは、大学の教育学部において、教育職員免許状の取得を卒業要件とせず、任意としている課程の通称である。教育学部では教員養成を目的にしているので、免許を取る必然性があった。しかし、教員採用数の減少により、教職に就くことが難しい状況が発生している中で、従来からの運営を継続する意義が乏しくなった。学校以外の職に就く学生が多いなら、教員免許の必要性も無いと言う判断である。看板は教育学部のままであるが、内容としては教養学部のようなものになっているということである。看板を書き換えれば済むと言う話ではあるが、馴染みのない学部名を使われるのも困るので、それならそれで、教育学部であっても良いと思う。
最近の大学への期待というか、大学の価値を判断する基準は、産業に貢献するか否かであり、それも時間軸として短い期間で、と付いてくる。大学を卒業して民間企業に就職する学生が多いから、これを標準としてみる。大学で哲学の勉強をしていても、マルクス経済学を勉強しても、エクセルやパワーポイントの使い方に長けている方が役に立つと言わるだろう。ただ一つ確かなことは、早く役に立つことは、使えなくなるのも早いということである。役に立つ学生を教育する名目で、実践的な教育を施すというのは、実は近い将来役に立たなくなる気位が高い人を世に輩出することではない。最も駄目な大学は、気位だけが高い学生を放置して卒業させる大学である。大学のレベルの問題ではない。レベルの違いは採用する際に企業が容易に判断できる。気位の高さは採用に当たっては隠すこともあるだろう。
理学部も役に立たない学部だろうが、スーパーカミオカンデでノーベル賞を喜ぶのと矛盾するだろう。そういうのは旧帝大で良いというのも、梶田隆章が埼玉大学だと言えば、問題は複雑になる。世の中の役に立つという基準でみれば、スーパーカミオカンデで得られる結果が日常生活に影響することはないと言ってよいから、役に立たない金の掛る研究と断定して良い。

職業教育を行うのがお好みのようだ。学部選択が進路に直結する代表に医学部がある。ほとんどは臨床医に関係するのだが、基礎医療研究に進む者もいる。少数の例外と見る考えもあるが、何せここに進むのはたかだか4,520人である。医師不足というのなら、基礎医療に進むのは理学部生物 (農学部でも良い) に回せということになる。そうもいくまい。歯学部でも、薬学部でも同じようなものだし、看護系の学部 (上では保健その他) でもそうだろう。専門家になる為に進学するコースがあることを否定しない。しかし、それを拡大したいのなら、法学部会計士科や法学部弁護士科を創設するのだろうか。試験制度との整合性が取れずに、どちらの大学院も上手くいっていない。いっそのこと、公務員学部警察科でもつくるのか。ノンキャリア教育だから、警察大学の予備校の役割を果たせるだろう。

教員の採用人員が減ったから、ゼロ免課程を設けたりしたりと努力はしている。内部からすれば最適な提案をした気になっていなくても、外部からは改善の余地があると、表札変え、次いで、人員削減と責められることになる。教育のあり方について、世の中の役に直ぐに立つという超短期の現世利益を期待している者には何を言っても無駄な気がする。そこまで学問を否定するなら、大学は旧帝大と官立大学の歴史を負うものに限定し、他は職業訓練校にしたら良かろうと思う。


大学より、ECCや大原学園の方が上等という思想である。

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