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2015年10月26日 (月)

羽田-伊豆大島 全日空便、60年の歴史に幕

羽田空港と伊豆大島を結ぶ全日空の定期旅客便が、10月24日、60年の歴史に幕を下ろしました。
東京都大島町の大島空港には午前9時すぎに、羽田空港からは最後となる全日空のジェット機が着陸しました。空港には、廃止を惜しむ住民などがその最後の姿を見ようと大勢詰めかけました。羽田空港と伊豆大島を結ぶ定期旅客便は、全日空の前身である「日本ヘリコプター輸送」により、1955年に週3往復で開始されましたが、近年は高速ジェット船などとの競合や、大島への観光客数の減少などにより、搭乗率が10パーセント台と低迷しており、全日空は今年8月、撤退を決めました。(10月24日:TBS)


大島への航空便について考える。


羽田―大島便の利用者数の推移を確認する。数字は国土交通省による。結果を下に示す。

■ 羽田/調布―大島便の利用者数推移 (特定本邦航空運送事業者に係る情報:国土交通省)
            ≪        羽田         ≫ ≪     調布     ≫

            旅客数    座席数  座席利用率  旅客数 座席数 座席利用率
  平成26年度   11,033     78,220    14.1     20,875  38,741  53.9
  平成25年度   11,357     36,320    31.3     20,832  38,817  53.7
  平成24年度    9,637     36,511    26.4     19,635  39,083  50.2
  平成23年度    8,829     37,350    23.6     18,812  35,549  52.9
  平成22年度   10,627     38,849    27.4     19,156  34,404  55.7
  平成21年度   16,636     63,258    26.3     17,077  32,497  52.5
  平成20年度   35,431    114,024    31.1     16,398  32,482  50.5
  平成19年度   56,813    153,970    36.9     15,518  31,780  48.8
  平成18年度   59,488    137,878    43.1     10,083  17,613  57.2
  平成17年度   58,062    139,575    41.6      8,761  13,617  64.3
  平成16年度   58,062    139,575    41.6      9,998  15,354  65.1
  平成15年度   59,381    139,047    42.7     10,200  15,588  65.4
  平成14年度   28,304     64,866    43.6      4,862   9,369  51.9
  平成13年度   87,914    120,275    73.1      4,018   7,542  53.3
  平成12年度   90,275    129,872    69.5      3,442   8,415  40.9
  平成11年度  100,324     133,353    75.2      3,513   7,119  49.3

近年数字が悪い。効率が悪いと便数を減らすなどの対策を施し、結果利便性が低下するから更に減ると悪循環を引き起こす。調査対象の中で、最も座席利用率が低いルートになってしまっている。一方で、調布便は一時期より下がったものの、座席数が増加したにも関わらず安定している。羽田便について、歴史的にどんな機種が使用されていたかを確認した。代表的な座席数と合わせて下に示す。

■ 羽田―大島定期便に用いられた機種名
  1960年~1964年   17席   デ・ハビランド DH.114-1B ヘロン
  1964年~1973年   44席   フォッカー F27 フレンドシップ
  1973年~2001年   64席   YS-11
  2001年~2014年   56席   ボンバルディア DHC-8-300(Q300)
  2014年~2015年  128席   ボーイング 737

座席利用率が三割を下回る状況にあって、機体の大きなB737に変更するというのも無理筋を感じるが、ANAが機種を減らし機体管理の合理化を計るという大義、というか理由があった。もっとさかのぼれば、YS-11の退役対策として、大島空港をジェット機の利用可能な滑走路1,800メートル延長を2002年10月に実施している。しかし、この時期には船便を運営している東海汽船が超高速船を就航させている。島全体としてどうしていくかという考えにまとまりがない。もっと言えば支離滅裂である。運航が赤字となれば、営業停止するのは必然である。営利団体である企業に、公共性を理由に負担せよというのは通らない。
この頃、ANAとしては羽田―大島便は止める方向であったのだと想像するが、それなら滑走路の延長はしなくて良かった。もともと羽田から100kmという距離は、飛行機を利用するには短い印象である。この距離を考えるならB737では大き過ぎである。それこそ70席程度とされるMRJが最適で、それでも距離が短いという非効率さは引き摺るところである。
東京からの移動方法の時間と料金の比較を下に示す。

■ 料金比較 (片道、大人料金)
  高速ジェット船 (東海汽船)  竹芝桟橋    105分     8430円
  飛行機 (新中央航空便)    調布飛行場   25分   1万1800円
  飛行機 (ANA)          羽田空港     25分    1万5000円

調布飛行場はアクセスにやや難はあるが、何もない原っぱのような飛行場なので、国際便もある大きな空港より搭乗までの作業は小さい。機体が小さい分、重量に関わるチェックが増えるがその程度である。重さや揺れを気にするなら、高速ジェット船が最適になる。荷物が多いならこれだ。料金に二倍差があるとなると、島に暮らす人は選択しない理由になる。
ANAは撤退したいルートであったし、羽田空港の有効利用に貢献するには廃止が良いというのが経営判断だろう。大島町は色々な経済対策を施して利用率の改善を試みたが、効果は表れなかった。人口五千人に満たない島で、島民に利用を呼び掛けても効果はしれている。観光客の利用がどれだけあるかが生命線になる。そこで、大島町の資料から来島者数の推移をまとめたのが下である。

■ 伊豆大島来島者数推移
   年度      船舶     航空機     計
  平成26    185,052    16,943    201,995
  平成25    205,963    15,346    221,309
  平成24    196,454    13,717    210,171
  平成23    180,429    13,383    193,812
  平成22    199,512    14,733    214,245
  平成21    200,965    15,974    216,939
  平成20    200,258    26,689    226,947
  昭和62    392,525    38,203    430,728
  昭和53    549,259    17,125    566,384
  昭和48    816,239    13,682    829,921

災害発生による短期的な影響はあるものの、近年は年間20万人というのが大島の状況である。もう少し増やせる余地はありそうだが、島の宿泊施設を見ると、団体客の受け入れというのは制限がある。つまり、B737を飛ばすこととの整合性が成立していない。そもそも、羽田も調布も竹芝も東京である。同じ方向で競合しても敗者が出ることは決まっている。しかし、横浜や横須賀から船便が成立していない過去の経緯を踏まえると、市場規模の大きな地域に依存するより手はないというのもまた事実である。
大島に向かうのに、最も混んでいる羽田ではなく、空いているどこかの空港の方が良いかと考える。大島空港から本州の空港への直線距離を確認すると、静岡空港が100km、茨城空港が180kmとなる。茨城から暖かい島への観光というのは成立するかもしれないが、こちらの空港も閑散としているところである。南の島に行くというのは、ハワイでもグァムでもセブでも良いが、大島や八丈島にならないのが伊豆諸島の弱いところである。長い時間飛行機に乗りたくないと思いつつも、非日常を感じさせるには不足しているのだろう。治安の良さは大きく優るのだろうに。
大島は伊豆半島の気候に近いが、八丈島になると外海で沖縄のイメージに近くなるそうだ。伊豆諸島の観光誘致をどう実現するかとなると、少し話が広がるので改めることとしよう。


切り捨てられている印象はぬぐえない。誰がかは、ここでは触れない。

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