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2015年9月11日 (金)

ワタミ、外食再建急務 介護事業が売却交渉入り

ワタミは9月10日、介護事業の売却方針を表明した。損保ジャパン日本興亜ホールディングス(HD)やパナソニックと交渉を進めており、当面の財務改善を好感して同日のワタミの株価は上昇した。ただ、同社にとって介護は外食、宅食(食事宅配)と並ぶ中核事業で最大の稼ぎ頭でもある。売却益を手にしても、居酒屋不況など逆風は依然として強く、今後もぎりぎりのかじ取りを迫られる。
ワタミは「介護事業の譲渡に関する協議をしている」と発表。損保ジャパン日本興亜HDも同日、「ワタミグループの介護事業買収について検討を行っている」とのコメントを出した。今回の売却にあたっては関心があると思われる企業にワタミ側が打診したところ、損保ジャパン日本興亜HDやパナソニックなどが名乗りを上げた。成立すれば売却額は200億円程度になるとみられる。これを受けて同日の日経平均株価が470円安となるなど株安基調のなか、ワタミの株価は4%上昇した。
市場では「資産を圧縮し、経営資源を集中するという方向は評価できる」(野村証券の繁村京一郎氏)と、財務改善に向けた期待感が広がった。ただ「宅食事業も急速にスローダウンしており、ビジネスモデルの転換が求められる」(いちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏)と先行きに慎重な声も根強い。ワタミは今後、売却先企業と詳細な条件を詰める方針。「ブラック企業批判などを背景に新規入居者は減ったが、退去者は少ない。介護サービスへのワタミ社内の自信は大きい」(関係者)。それだけに、介護の専門企業ではなく、これまでの同社の方針や従業員を継承してもらえる異業種への売却を目指す。(日本経済新聞:9月10日)


ワタミについて考える。


以前にも扱ったことがあるが、事業譲渡の検討ということで再び扱う。創業者である元会長が国会議員になるとなれば、事業は安定して別の経営者に移ったというのが普通に想像されるところだろう。そうはいっても、渡邉美樹はワタミの株式の26.2%を保有しているのが過去に発表されている。創業者が株式を持っているのに問題もなく、国会議員になれば売買をすることが憚られることもあるだろう。まあ、国会議員が憚られるなどという感性を持ち合わせているなどとは到底思えないのではあるが。され、セグメントの四半期毎の売上高の推移から確認する。結果を下に示す。

■ ワタミ3月期決算セグメント四半期売上高推移 (単位:百万円)
  四半期   国内外食   介護     宅食   海外外食    環境   農業
      Q1  11,303    9,127    9,205    4,114      609    156
2015-3 Q4  13,490    5,000    12,645    5,317
      Q3  15,475    10,229    9,064    4,797
      Q2  14,901    11,360    7,603    3,679
      Q1  16,406    8,815    10,166    3,552
2014-3 Q4  17,546    8,625    9,929
      Q3  19,106    8,769    11,417
      Q2  17,341    8,788    10,764
      Q1  18,271    8,847    10,733
2013-3 Q4  18,899    8,717    9,902
      Q3  20,276    8,725    10,325
      Q2  18,335    8,359    9,707
      Q1  18,519    7,894    8,912
2012-3 Q4  19,515    7,715    7,782
      Q3  21,055    7,148    7,161
      Q2  19,236    6,937    6,194
      Q1  18,782    6,686    5,085
2011-3 Q4  29,253    6,057    4,426
      Q3  11,675    5,964    4,262
      Q2  20,962    5,289    3,783
      Q1  18,960    4,955    3,026
2010-3 Q4  16,830    4,704     545
      Q3  22,596    4,436    3,339
      Q2  21,641    4,302    3,266
      Q1  22,169    4,041    2,959
2009-3 Q4  21,848    3,878    3,283
      Q3  23,956    3,798    3,250
      Q2  23,133    3,650    1,119
      Q1  22,681    3,362    1,216

2016年3月期から環境、農業という事業セグメントが追加された。介護事業の譲渡を検討し始めたので、セグメントを増やして多角化をしている印象にリードしたいのかもしれない。海外外食事業についても同様の思いが感じられる。
決算報告に関する資料を読むと、主力業態である和民が若者の酒離れによって業績が芳しくないことが書かれている。若者の酒離れは昨日今日の話でもないと思い、国税庁の酒レポートから成人の酒類消費量の推移を引いた。結果を下に示す。

■ 成人1人当たりの酒類消費数量の推移 (国税庁:酒レポート 平成27年3月)
   年   リットル
  1989   95.7
  1990  100.1
  1991  101.5
  1992  101.8
  1993  100.0
  1994  101.6
  1995  100.0
  1996   99.5
  1997   96.1
  1998   95.8
  1999   96.2
  2000   95.5
  2001   95.4
  2002   93.9
  2003   89.7
  2004   88.5
  2005   87.8
  2006   86.1
  2007   84.9
  2008   82.5
  2009   82.6
  2010   82.3
  2011   81.8
  2012   82.2
  2013   82.8

1994年以降減少傾向であるのが分かる。つぼ八との契約を終了して、和民に変更して本格的に事業を進め始めたのが1993年である。本格参入した頃がこの国の酒消費のピークで、その後減少しているというのなら、参入の判断が間違っていたことになる。ファミリーレストランは酒を飲むのに最適ではなく、居酒屋も少し違うという客層に狙いを付けて事業にしているのだから、酒離れの流れというのは、居酒屋には大きく響いてもファミリーレストランに近い事業形態ならチャンスと思わねばならない。まあ、ファミリーレストラン業界も芳しくない期間ではあるので、良しとするには材料が乏しいとも言える。しかし、酒離れは最適な説明になっていないし、この言い訳を使えば事業の縮小をする他に道が無くなる。お気軽に使う言葉ではないということである。
記事の介護事業であるが、2005年にM&Aを行い本格参入している。2012年2月に介護施設で入浴中に死亡した事件が発生している。それでも売上高は減少はしていない。ということはと、ブラックな想像をしてしまうが、いろいろ改めたので良くなったと利用者が判断したということだろう。
セグメント利益を確認する。海外外食、環境、農業の事業セグメントは省略した。結果を下に占めす。

■ ワタミ3月期決算セグメント四半期利益推移 (単位:百万円)
  四半期   国内外食   介護    宅食
      Q1    -503     -134     343
2015-3 Q4    -994     589    -371
      Q3    -351     793     731
      Q2   -1,439     296     855
      Q1    -915     721     696
2014-3 Q4   -1,841     604     641
      Q3     165     853    1,001
      Q2    -482     1,087     703
      Q1     241    1,087    1,061
2013-3 Q4     609    1,622     785
      Q3    1,296    1,485     673
      Q2     393    1,202     782
      Q1     791    1,129     722
2012-3 Q4     846    1,248     645
      Q3    1,709    1,246     759
      Q2     600    1,251     468
      Q1     450    1,190     495
2011-3 Q4    1,310     996     464
      Q3    1,505    1,234     521
      Q2    1,947     943     280
      Q1     -493     696      91
2010-3 Q4    2,229    1,094     164
      Q3    1,537     606     130
      Q2     668     617      96
      Q1    1,110     521      23
2009-3 Q4    1,486     414     153
      Q3    1,887     550      98
      Q2    1,329     713      -10
      Q1    1,075     375      73

介護事業も事故のあった2012年頃から減速してきている。介護関係に従事する社員を適正な人数に修正したことで、人件費の増加が利益を圧迫したという想像がされる。実際問題、より深刻なのは国内外食である。こちらのなぜには、売上高の減少であると答えるよりないが、他にも方々問題がありそうである。宅食についても過去に問題が発生している。
このように、問題を多く抱える会社であるので、事業の選択と集中をしなければならないということだ。これは妥当な判断と同意する。
介護事情の譲渡先の候補としては、損保ジャパン日本興亜HDが名乗りを挙げている。国内の損保事業は将来を考えると苦しいので、多角化をするしかないという事情がある。この他には、介護関連施設を増やす方針のパナソニックがある。
本来の事業から離れた事業を処理するのは妥当であろう。しかし、本来の業務である外食事業の立て直しが、資金を掛ければ済むという単純な状況ではない。少なくとも、若者の酒離れなる言葉を使っている限りは、改善する道筋は成立しない必然性を是としている状況である。こっちが先のような気がする。


売れるものから売っていくというのが、事業整理の仕方である。

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