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2015年9月15日 (火)

1630冊は誰も借りず 武雄市図書館の民間納入本1万冊

佐賀県武雄市の武雄市図書館を運営する指定管理者のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は9月15日までに、約2年半前の新装開館の際に納入した約1万冊の中古本のうち、一度も市民が借りていない本が計1630冊あると明らかにした。CCCは「より精度の高い本選びをすべきだった」とし、同数の本を寄贈するとしている。一度も貸し出しのなかった本に含まれているか明らかにしていないが、納入された本の中には、10年以上前に出版された資格試験の対策本や、関東地方のラーメン店を紹介する本などもあった。
CCCや武雄市教育委員会によると、2013年4月の新装開館時、約2000万円の予算で蔵書を増やすことを計画したが、館内の安全対策費がかさんだ。そのため、本代を760万円弱に抑え、CCC側が中古本を選び、納入した。市教委は「有害図書かどうかなどの観点で納入時に確認し、悪い本というわけではなかった」と説明している。今後もCCCへの運営委託を続けるという。慶応大の糸賀雅児教授(図書館情報学)は「貸し出し歴がないこと自体は問題の本質ではないが、関東地方のグルメ本などは明らかに不適切。税金を使って買うべき本だったのか、説明責任を果たすことが必要だ」と指摘する。武雄市図書館は新装開館の際に、レンタル大手「TSUTAYA」を展開する民間企業のCCCが運営を担うことになり、注目を集めた。(共同:9月15日)


図書館について考える。


武雄市の図書館については過去に扱った。武雄市の図書館の位置付けは、無料の貸本屋ということなのだろう。CCCもこれに従った評価軸を持って、新規に納入した本の貸し出し記録を確認し、高いことを誇示したかったのだろう。1,630冊を除く、約8,270冊が新規に入れて貸し出されたというのは、古本の中から最適な本を選んだと理解される数字である。しかし、これが図書館の役割かという問題は依然残る。
記事のコメントから考えていく。東京の大学の先生は、関東地方のグルメ本を不適切としている。しかし、20年前と10年前と最新の同系統のグルメ本があれば、社会状況を理解する上での資料になる。多分、慶応大学の図書館にはそんなシリーズの本が保管されていないのだから、食品流通関係の調査として調べるには、国会図書館に行くのだろう。このような問題は良くある話で、Windows 3.Xと、95と、XPの比較を、社会におけるPCの取り込み具合として比較したいと思って、コンピュータの当時の使い方の資料を調べたいと思ったとする。しかし、容易に閲覧可能なのはXPまでで、それ以前のものはない。書庫にもない。閲覧者が限定されるから、廃棄図書に回ることになる。だから、資料性が高いのだが、無料貸本屋の考え方では残ることはない。

図書館の貸し出し記録というのは、利用者の秘密を守る必要から、貸出を誰がしたかは返却時に抹消されることになっている。つまり、8,270冊が誰が借りたかは貸し出し中以外は不明であるし、返却調査目的以外で貸し出し中でも情報を使用することは禁じられている。これは、図書館運営を委託されているCCCが納入した図書を、1回貸し出し返却したことにする作業を実施したとしても、外部の第三者が点検することが出来ない仕組みになっていることを示している。(何時貸し出し、何時返却は調査できる可能性はある)
費用捻出が困難である事情から、中古図書の購入に至ったようだが、購入先もCCCのグループ企業である可能性があり、結果として古本屋の廃棄図書を納入したと指摘されても言訳出来ない方法になっている。図書館で購入図書の選定は、図書館運営の重大な仕事であり、開架から書庫に移す、書庫から廃棄に、といった判断と並んで慎重な対応が求められる。開架から書庫なら貸し出し実績基準で行っても良いだろうが、それ以外は貸し出しではなく閲覧利用している場合があることを考慮すれば、単純に判断出来ない。購入図書については、外部の民間に委託するなら監査対象にすべきであるが、監査に費用が掛かると言い出すのかもしれない。

無料貸本屋に大きく舵を切った張本人は、前武雄市長である樋渡啓祐だ。2015年1月に市長を辞職して、佐賀県知事選に出馬するも落選している。その後、7月にはCCCが設立したスマートフォンを利用してふるさと活性を目指す「ふるさとスマホ株式会社」の代表取締役社長に就任した。自身の発行するメールマガジンでは、『武雄市役所のような弱小自治体からCCCのような日本を代表する企業の子会社の社長になったということは、僕的には下克上(笑)』と綴っている。利害関係のある会社に再就職することを名誉とするところが素晴らしい。
CCCへの業務委託が随意契約であったことが問題視されているから、今後、法廷で明らかにされていくことだろう。新しい試みであったことから、競争入札が行い難い事情は一定の理解をしたとしても、綻びの多い作業であったことは明らかである。民間委託で費用削減と能天気に騒いでいた御目出度さは、可愛げがあるというのは、余りに無能であり、その後の身の振り方を見るに付け、今世紀の政治家の行動ではない。
この厚顔無恥としか思えない市長を選んだの市民であるのだから、外の人間がとやかくいう事でもないが、厚顔無恥であっても構わないが、利益供与を公然と行うことくらい問題意識はあって欲しいものだ。民間委託するなら、購入図書に武雄市や佐賀県に関すると資料の充実を実現する要件はあって当然だし、購入図書名の一般公開は行われて当然である。そんなことも考えずに、行った結果であれば、CCCの図書館運営能力も知れたものだということである。


誰も見ない本は誰かが見る本である。だから難しい。人気取りに無料貸本屋にしても仕方ない。

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