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2015年8月 6日 (木)

なでしこリーグの状況

サッカー女子のプレナスなでしこリーグで経営危機に直面している大阪高槻は8月6日、新スポンサーとして土木業などを営む株式会社天水(大阪市旭区)とスポンサー契約を結んだと発表した。期間は8月8日から来年2月29日まで。
1千万円を目標にしている活動支援金は、6日午後3時までに計157万8404円が集まった。(共同:8月6日)


なでしこリーグについて考える。


女子ワールドカップカナダ大会で準優勝した日本ではあるが、国内リーグの環境は芳しくない状況にあるようだ。国内リーグの観客動員数を確認する。前回のドイツ大会に優勝した後に話題になったので資料が多いが、それ以前の数字が見付からなかった。NHKの資料にあったので2010年の数字はNHKの記事から引用した。結果を下に示す。

■ なでしこリーグの1部の平均観客動員数
   年     人数
  2010     912
  2011    2,796
  2012    2,539
  2013    1,865
  2014    1,597
  2015    1,679
   ※ 2010年はNHK資料より、2015年は13節まで

2015年の数字は13節までのものであるが、全部で18節なので七割を超える消化数ということになる。前回優勝直後は、観客が大量に集まってそれまでにない状況が発生した。それも長くは続かず、翌年からは観客数も減り、社会的な関心も少なくなってしまった。今年のワールドカップの影響で盛り返したものの、2013年を超えるまでには至っていないとうのが全体の状況といえる。
日本サッカー協会が、女子有力選手の強化育成を目的に、2010年から海外強化指定選手制度を導入している。海外でプレーする選手には1万円の日当を支給するというものだが、待遇に恵まれない女子選手には大きな支援になっている。この制度も、ワールドカップで活躍するような選手が海外流出し、国内リーグの集客力の低下をもたらしていると批判される。国内の空洞化は発生するのだろうが、海外のリーグがびっくりするほど良い環境でもないようだから、戻ってくる選手も多いいて、それが選手の技術向上につながるのなら良しとするよりない。
海外に選手を派遣することを決定した協会側は、当然上記の問題を考えていた筈で、それでも、国内チームの多くが小さく、遅く、力の弱い選手で構成され、相対的に大きく、早く、力の強い選手は特定のチームに集中するようでは、国内での選手育成に限界を感じるのは当然と言える。
選手育成の話から離れて、各チームのホームゲームの観客数の推移をまとめた。結果を下に示す。

■ チーム毎の年間平均観客数推移
            2011     2012     2013     2014     2015
  I神戸      8,871    6,300    4,611    3,243    3,450
  日テレ     1,820    4,250    1,364    1,483    1,945
  湯郷ベル    2,367    3,403    2,498    2,036    2,135
  浦和L      2,332    2,542    2,207    2,622    2,266
  新潟L      4,644    2,021    1,756    1,030    1,493
  ジェフL     1,844    1,176     941     980    1,103
  伊賀FC     1,460    1,553    1,063     773    1,353
  大阪高槻     -     2,038    1,071     -      677
  AS狭山      549     1,212     -      964     800
  ベガルタ      -     -     2,248    1,788    1,601
  吉備国大     -     -      886    1,048      -
  福岡AN     1,275     894     -      -      -
  全体平均    2,796    2,539    1,865    1,597    1,679
  ※ 2015年は13節まで

ワールドカップ優勝効果が最も表れたのがINAC神戸であるが、その効果が最も薄れたのもINAC神戸であった。代表に7名 (次の多いのは浦和の3名) 選出されていたのだから当然ではあるが、退潮は前記の海外への選手の流出が影響しているのだろう。ということは、テレビに出ていた人を見たいという客は、サッカーへの関心が続かなかったということになる。一方で、3名の浦和や、2名の岡山湯郷は、ワールドカップ後も大きく減らすことなく推移している。
各チーム相応の経営努力はしているのだろうが、全体としての退潮=ブームの終焉というので表現されるべきは神戸であり、全体を代表してしまうのは乱暴である。ワールドカップの優勝が2011年、2012年のロンドンオリンピックでは銀メダルと代表の実績が観客数に反映されていない。しかし、ブームだけで観客数が決まるかというと、浦和や湯郷ベルのように落ち込みを小さくとどめているチームもある。全体的な印象だけで片付けるというのは問題がある。
経営と関連付けているので、年間観客数の実数の推移を確認した。結果を下に示す。

■ チーム毎の年間観客数推移
             2011      2012      2013      2014
  I神戸       70,966     56,701     41,500     29,185
  日テレ      14,558     38,254     12,274      13,345
  湯郷ベル    18,935     30,624     22,479     18,326
  浦和L      18,658     22,879     19,865     23,598
  新潟L      37,151     18,190     15,806      9,272
  ジェフL      14,749     10,584      8,471      8,820
  伊賀FC     11,683     13,979      9,569      6,957
  大阪高槻     -       18,339      9,638       -
  AS狭山      4,388     10,908      -       8,680
  ベガルタ      -        -       20,235     16,093
  吉備国大     -        -        7,972      9,432
  福岡AN     10,202      8,046      -       -
   合計     201,290     228,504     167,809    143,708

連続して年間1万人を超えているのは4チームしかない。入場料金が1人1,000円として、入場料収入が1,000万円を見込めるチームがこの程度しかないのである。女子リーグのプロ契約選手は、INAC神戸を除くとごく少数に限られている。契約している給料が安くても、他の仕事をしないでサッカーが出来るくらいだと専念することが可能だろう。INAC神戸のセミプロ契約はそのくらいになっているようで、プロ志向の選手が目指す理由が分かる。しかし、有力選手が一つのチームに集まってしまっては、試合に出ることはかなわないし、相手チームのレベルが高くなければ向上につながらない。もっと上を目指すと海外強化指定選手制度を利用して欧米のチームに移籍し、ほどほどするとINAC神戸に帰ってくるという繰り返しになる。受け皿になるチームがないのだから仕方ないともいえるが、戦力の均衡化を計る上では問題が残る部分ではある。
全ての試合の観客数を調べたので、ホームとビジターでの観客数がどうなっているかを確認した。例として2014年の結果をまとめたのが下である。

■ 2014年のホーム・ビジターの観客数Nade_7
横方向が主催者であるホームチームの観客数である。一方、縦方向は、ビジターとして行った試合の観客数である。観客数の多いINAC神戸と浦和は、ホームとビジターの比が七割とホームの方が多い。湯郷ベルと浦和も九割強とホームの集客力が高いチームである。悲惨なのは、自身集客力がなく、相手チームも同様という組み合わせである。2014年の例では伊賀とジェフの組み合わせが、210と651となったいる。伊賀と狭山 (2014年からAS埼玉) の組み合わせも466と525である。2013年で確認すると、伊賀とジェフで269と672で同じ様なレベルである。(狭山は1部ではなかった)
INAC神戸の様な知名度のある選手を抱え、集客力のあるチームを他に数チームつくるのが協会の仕事だろう。特定のチームを集中的に支援するというのは許されないだろうが、何か工夫の余地はあろう。また、1部の集客力の下位チームも、客を呼ぶ工夫をするよう指導しなければならない筈だ。興行として考えれば、下半分はお荷物化してしまっている。

大阪高槻の経営状況に話を戻そう。2015年の平均観客数は1部から落ちた2013年の1,071より少ない677である。2014年に下部のチャレンジリーグで優勝して1部に復帰したが、客を呼べないことでダントツの1位になっている。客を呼べないチームに、広告を出すスポンサーもなく、マスコミで取り上げられる機会も少ないから、巡り巡って負のスパイラルに入る。言訳は資金不足と決まっているが、客を呼ぶ工夫は資金が限定されると決まっている。それが出来ないのなら、チームの運営などやめれば良い。少なくとも公式サポーターとなっているNMB48が応援していたのは、就任したと話題になった2013年のみで、それ以降は活動はないのではないか。アイドルとサッカーチームの客層が異なって、シナジー効果が期待できないとお利口な経営者は言うだろうし、実際その通りなのだが、そんなことを言ってられる状況にはないと正しく認識しなければならない。


女子サッカーは男子の高校サッカーよりレベルが低いというのは正しいのだろう。単純な印象として、ボールの動きが遅い。走るのも蹴る力も不足しているのだろう。男女の能力を単純に陸上競技の世界記録で比較すると、100メートル走で 9秒58/ 10秒49、走り幅跳びは 8m95/7m52、10,000m走で 26分17秒53/29分31秒78、走り高跳びで 2m45/2m09 となっている。 10%~20%男子に比べて劣っている。(投擲競技は器具の違いがあるで比較しなかった) この辺りを考慮すれば、競技場の面積を小さくするとか、ゴールを小さくするということが検討されても良いが、国際連盟はそうはしていない。
スポーツというのは、不自由を楽しむという本来の趣旨からすれば、合理性を重視したからといって楽しい競技が完成するとは限らない。与えられた環境の中で最良の答を提示するのが仕事である。女子のリーグの観客数は3,000人あって然るべきだろう。世界のトップを目指すなら、最初のステップはこのくらいである。それに向けて何をするかを各チームから退出される程度のことは協会がやっても問題なかろう。世界大会で注目されたから、簡単に客が来ると思うことの方が、よっぽど異常であることを認識しなければならない。


乱暴でないこと、うるさくないこと、安心して競技場に行けること。この程度は女子が優る。

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