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2015年8月31日 (月)

スズキ、独VWと提携解消 国際仲裁が決着

スズキは8月30日、独フォルクスワーゲン(VW)との資本提携を解消すると発表した。2009年の提携後、経営の独立性などを巡って対立し、英ロンドンの国際仲裁裁判所を通して4年弱にわたり争っていた。VWが保有する全てのスズキ株式、19.9%分を買い戻す。買い戻し金額は5千億円規模になる見通し。今後のスズキの新たな生き残り策は、世界自動車メーカー再編の引き金となりそうだ。
29日、国際仲裁裁判所が両社に仲裁判断を通知した。主な内容は「包括提携の解除を認める」「VWに保有するスズキ株の売却を命じる」「VWが主張していたスズキの技術関連の契約違反について一部認め、損害賠償も含め引き続き審議する」の3つ。損害賠償が発生した場合の金額などが焦点となる。現在のスズキの時価総額で計算すると株式買い取り額は約4600億円となり、株価次第では増加する可能性がある。VWは約2200億円で取得していた。スズキは15年3月期末時点で約1兆1千億円に上る手元資金のほか、持ち合いで保有する1.5%分のVW株(時価で約1千億円)も売却し、自社株買いの原資とする見通しだ。30日、スズキの鈴木修会長は記者会見で「最大の目的を達成した。結果に満足している」と話した。VWはスズキ株売却により「利益と流動性の面でよい影響がある」との声明を出した。スズキは米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を通じて成長してきた。だが、GMの経営不振で提携解消となったことを機に、09年にVWと資本・業務提携を発表した。スズキが小型車開発技術、VWは次世代の環境技術や高級車を持ち寄ることで、収益を拡大させる狙いだった。
当初、両社は「対等関係」を強調していた。VWの19.9%という出資比率は、持ち分法適用会社化を避けるといった意味合いがあった。しかし、VWは年次報告書で持ち分法適用会社と表記し、事実上の傘下企業と位置づけた。スズキはVWの環境技術の開示が十分でないとも主張していた。一方、VWはスズキがフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)からディーゼルエンジンを調達したことを提携合意違反だと表明。溝が生じていった。スズキは11年9月、提携解消を申し入れたが、提携の証しだった株の買い戻しにVWは応じなかった。このため同11月に国際仲裁裁判所に提訴していた。4年弱にわたる係争はスズキの海外戦略や次世代技術開発などに影響を及ぼしていた。世界販売では約280万台で10位にとどまり、持続的成長には新たな提携先を模索する可能性が高い。(日本経済新聞:8月31日)


スズキについて考える。


スズキとVWの資本提携は解消する他にない流れになっていた。今回の国際仲裁裁判所の判断も妥当なところだろう。VWは世界最大規模の自動車メーカであるのに対し、スズキの規模は小さい。スズキが提訴した国際仲裁裁判所というのは、企業、個人など国境をまたがる紛争を解決する機関のひとつである。通常の裁判は、当該国の公務員である裁判官が判決を下すが、国際仲裁では第三国などから選んだ私人である仲裁人が判断することが特徴である。当事者のどちらとも関係がない第三国の仲裁人を選ぶことで中立性を担保している。特定の国の裁判所で進める場合に比べて、公平性を高められる。裁判と違って仲裁のプロセスや証拠の中身を傍聴されることがないため、企業の秘密を保ち、市場における信用やビジネスへの悪い影響を避けることができるという利点がある。
スズキに対し、VWとの提携に解消が認められても、株式の買い取りはしなければならないし、損害賠償については今後の判断を待たねばならないから、もう少し支出額が大きくなる可能性がある。それでも、スズキは自主独立を重視したのだろう。VWがインドや日本を意識した子会社扱いを考えていたのとは距離が大きい。自動車会社としての規模を確認すると、2014年の販売実績で、VWが1位の1,014万台、スズキが10位の288万台と差がある。自動車の特に環境対策技術は大きな投資が必要とされる項目でもあり、一定の規模が必要だというのが業界の常識のようだ。1990年代の半ばには、The 4 Million Club の会員以外は生き残れないとされたが、10年後にはこの話はなかったことになってしまった。ダイムラークライスラーの失敗がすべてを語っているようだ。クライスラーと別れたダイムラーは165万台である。クライスラーはフィアットと一緒になって461万台と、こちらは会員資格を有している。会員権の価値は消失したようだが。世界8位のホンダまでが有資格者で、9位のPSAは294万台となる。

スズキとしてはVWは適当な相手でなかったということだろう。その判断の間違いに気が付いて処理するのだから、一定の費用は甘んじて受け入れなければならない。手近なところでは、ハイブリッドもディーゼルも手に入れた状態にはあるが、もう少し先を考えると不安が残る。小型車での軽量化の達成は重要な要素だが、安全基準の厳しさを考えれば、それだけで逃げ切れるものでもない。燃料電池や電池車の技術はいつ広まるかは別にして取り込まなければならない技術である。何をどう、いつ使うかというのは容易に想像が付かないが、手札にしなければ動きようがない。製造するという行為に、ブラフという技はない。
現実的な選択肢は、GMとフィアットクライスラー (今やオランダの会社になってしまった) があるが、少し考え難い。残るとなると、トヨタなのだろう。他の可能性もあるのだろうが、組み合わせを並べるだけの作業になる。確実に言えるのは、The 4 Million Club が話題になった頃には、スズキはGMの小型車製造子会社の位置付けであり、話題の中心になることはなかった。インドやハンガリーでの自動車生産で実績を残して立場が変わった。鈴木修の功績ではあるが、高齢の経営者の次を外野は気にするものである。代替わりはどんな会社でも難しいものだ。スズキはどうなるのだろうか。


VWは株式の売却で儲かるのだから、文句を言えばきりが無くなる。

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