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2015年7月17日 (金)

元受刑者ら、企業の雇用伸び悩み 政府は補助金拡充

法務省によると、保護観察中の少年や刑務所を出所した元受刑者への「協力雇用主」として登録している企業は約1万2千社(昨年末時点)あるが、実際の雇用は472社にとどまる。協力雇用主の8割は従業員100人未満の中小企業で、建設業が約48%を占める。
政府は今年4月、元受刑者らを1人雇用すれば最大約12万円を支給してきた企業への補助金を同72万円に引き上げた。全国54の自治体は公共工事入札で協力雇用主への優遇制度を導入している。
300社以上が会員となり、元受刑者らの就労を支援するNPO法人「全国就労支援事業者機構」(東京・渋谷)の幹部は「大企業の雇用は少ない。株主や役員の理解を得るのが難しいのではないか」と指摘。会員の自動車メーカーは「具体的な支援は機構に任せている」とする。藤本哲也・常磐大教授(犯罪学)は「社会貢献の一環として雇用を広げてほしい」としている。(日本経済新聞:7月17日)


元受刑者の雇用について考える。


これまでに何度か扱っているが、懲役刑に処せられた人が社会に受け入れられないのなら、懲役刑は再犯を一定期間停止する効力しかない。刑務所が矯正をしているというのが無効であると考えるなら、刑務所の現状は最適ではないということになる。一定期間の犯罪停止があっても再犯に至るのなら、公共の福祉の観点からすべて無期懲役にするのが妥当ということになる。
全員収容できるのかと思って調べてみた。2011年末現在において、収容定員が9万547人(このうち既決の収容定員は7万2,434人)であるところ、収容率は77.2%(既決85.7%、未決43.0%)であり、収容人員が収容定員を超えている刑事施設(本所に限る)は、77庁中6庁(7.8%)であった(法務省矯正局)。刑務所はそれなりに混んでいて、懲役囚が増えるという安易な判断は答にならない。
年末の収容者数を法務省が公表しているので、男女別を含めて下に示す。

■ 年末収容人員 (法務省統計より)
          計        男        女
  2009年     75,250     70,038     5,212
  2010年     72,975     67,632     5,343
  2011年     69,876     64,531     5,345
  2012年     67,008     61,726     5,282
  2013年     62,971     57,912     5,059

男女は10:1と昔調べたような記憶がある。そんなに外れてはいないようだ。検索していたら、懲役になっているものの多くは帰化人だというのが出てきた。法務省は日本人と外国人の区別はするが、帰化人などという区分を使う筈もない。まことしやかに数字の羅列がある。誰が何が楽しくて作るのか。不思議な趣味である。
最初に記事の内容について確認する。公益財団法人東京都中小企業振興公社によると、協力雇用主と、その現状について下記のようになっている。

■ 再犯防止を支える協力雇用主
犯罪や非行をした人たち(刑務所出所者等)は、再び地域に帰ってきます。これらの人たちが再犯や再非行に至らないためには、仕事に就き、職場に定着して、責任ある社会生活を送ることが重要です。一方で、保護観察終了者のうち無職者の再犯率は有職者の約4倍で、刑務所再入所者の約7割は再犯時に無職です。刑務所出所者等への就労支援を効果的に実施し、再犯や再非行を防止するためには、協力雇用主の方々の存在が不可欠です。

■ 協力雇用主の現状
現在、全国に約1万2,600の協力雇用主がいらっしゃいますが、実際に刑務所出所者等を雇用してくださっている事業主は、そのうち約500にとどまっています。また、建設業、サービス業、製造業が全体の約8割を占めるとともに、従業員規模100人未満の事業主が全体の約8割を占めています。刑務所出所者等の円滑な社会復帰・職場定着のためには、事業主の方々との適切なマッチングが重要です。そのため、幅広い業種の事業主の方々にご登録いただきたいと考えています。

懲役刑になって出所して仕事に就けるという流れはなかなか無いだろう。執行猶予が付かない理由の一つに、周囲の環境が影響している。身寄りの無い被告人に執行猶予はつき難い。反省しているか否かとは別に、執行猶予中に再犯しないことを考えれば、周辺環境を判決で考慮するしかないだろう。
受刑者の主要刑名を確認する。刑法犯と特別法犯の上位ということでまとめたが、特別法犯は覚せい剤取締法に集中している。下に男についてまとめた結果を示す。

■ 年末在所受刑者の主要刑名 (男)
   罪名          2009年    2010年    2011年    2012年    2013年
  総数           61,394    59,199     56,448    54,116     50,895
  ---------------------------------------------------------------------
  窃盗           17,154    16,449     15,551    14,702     13,586
  詐欺           4,586     4,387     4,089     3,997     3,970
  強盗致死傷       4,425     4,285     4,003     3,744     3,497
  殺人           3,609     3,426     3,282     3,139     2,969
  強盗           2,283     2,200     2,092     1,965     1,866
  強姦・同致死傷     2,141     2,009     1,929     1,887     1,835
  傷害           2,353     2,219     2,112     1,962     1,777
  ---------------------------------------------------------------------
  覚せい剤取締法   12,590    12,813    12,998     12,875     12,231

ここに挙げた刑名で全体の八割をカバーする。犯罪で想像する罪状が並んでいる。この分析を試みるのは、社会状況に関する調査に近付いてしまうような気がする。そこで先に進むことにする。受刑者の刑期について同様に確認した結果を下に示す。

■ 年末在所受刑者の刑期 (男)
年末在所受刑者の刑名・刑期 
   罪名      2009年    2010年    2011年    2012年    2013年
  懲役       61,115    58,955    56,231    53,949    50,728
  ----------------------------------------------------------------
  3月以下       20       23        8      23       22
  6月以下      317      265      237      266      254
  1年以下     2,673     2,317     2,121     1,983     1,827
  2年以下     12,311    12,010    11,404    11,016     9,837
  3年以下     15,286    14,955    14,422    13,841    13,211
  5年以下     14,855    13,930    13,056    12,351    11,639
  7年以下      5,721     5,417     4,941     4,573     4,216
  10年以下     4,274     4,196     4,025     3,774      3,546
  15年以下     2,881     2,928     2,977      2,945      2,885
  20年以下      938     1,005     1,071      1,145     1,198
  20年を超える   160      209      257      307      353
  無期        1,679     1,700     1,712      1,725      1,740
  ----------------------------------------------------------------
  禁錮         279      243      217      167      167
  3月以下        1        0       0        0        0
  6月以下        2        0       1        1        1
  1年以下       28       31      23        12       18
  2年以下       130      111      91        75       72
  3年以下       84       71      75        56       50
  5年以下       32       27      22        16       19
  5年を超える      2       3       5        7       7

禁固刑の人数は少ない。道交法関係の受刑者が多いと言われる。懲役と禁固の違いは、禁固が舎房に閉じ込められるということであるが、実際には希望して懲役刑と同様の処置になることが多いようだ。
懲役刑に注目すると、短い1年以下の刑には受刑者が少ない。これは執行猶予が付くには3年以下である必要があり、初犯なら特に執行猶予が付くことがあるからだろう。執行猶予が妥当か問題のある事例も多く存在するだろうが、収容能力の限界が見えている中での判決となると、別の事情で執行猶予に流れるのだろう。こう言ってはsいけないのだろうが、実務運用が出来ないのに実刑判決ばかり出せないし、判事慰める為の言訳として、公正な判決を下すというのがある。
本題から外れたことに突き進むというのはいつもの話ではある。取り留めなく広がっていっても困るので、先に女受刑者の状況について記す。刑名と刑期


■ 年末在所受刑者の主要刑名 (女)
   罪名           2009年    2010年    2011年    2012年    2013年
  総数            4,557     4,646     4,654     4,610     4,421
  ---------------------------------------------------------------------
  窃盗            1,328     1,387     1,400     1,433     1,386
  殺人            484      465      447       432      402
  詐欺            330      320      308       302      286
  強盗致死傷        143      140      129       121      110
  放火            153      128      113       99       83
  ---------------------------------------------------------------------
  覚せい剤取締法    1,513     1,633     1,728     1,739     1,662

■ 年末在所受刑者の刑期 (女)
   罪名       2009年    2010年    2011年    2012年    2013年
  懲役        4,539     4,626      4,637     4,590      4,405
  ----------------------------------------------------------------
  3月以下        2        0        1       0        0
  6月以下       12       18       21       11        10
  1年以下       197      190      209      167       204
  2年以下      1,160     1,220     1,261     1,290      1,195
  3年以下      1,329     1,356     1,403     1,375      1,337
  5年以下      1,007     1,008      910      920        770
  7年以下       261      246      224      228       254
  10年以下      264      264      274      267       247
  15年以下      160      163      171      165       155
  20年以下       51       56       53       56       114
  20年を超える     3        9       10       10         16
  無期          93       96      100      101       103
  ----------------------------------------------------------------
  禁錮          18       20       17       20        16
  1年以下        3       3       2        2         3
  2年以下        7       6       5       11        7
  3年以下        6       8       7        5         5
  5年以下        2       3       3        2         1

受刑者数の違いによって違った印象を受けてしまうのだが、男女の違いによる刑期の長さについては同じ様な傾向にあるようだ。女の方が重い犯罪に関わることが少ないと言われているし、実際そのようである。その程度の差はあるのだと思われる。
女受刑者の場合、覚せい剤取締法が1/3を占めている。窃盗と合わせると2/3程度で、上記の主要な刑で九割を占める。再犯率が高い犯罪である覚せい剤取締法違反で、刑務所で情報交換をするという話は都市伝説の類で片付けられないようだ。なぜ情報交換が可能かという事情について確認する。刑務所は、受刑者の状況によって収容施設が区分される。区分は下記のようになっている。

■ 刑務所の区分
  A級    初入者で執行刑期が8年未満の者を収容する刑務所
  LA級    初入者で執行刑期が8年以上の者を収容する刑務所
  B級    主に再入者で執行刑期が8年未満の者を収容する刑務所
  LB級    主に再入者で執行刑期が8年以上の者を収容する刑務所
  M級    精神障害者を収容する刑務所
  P級    病気の者を収容する刑務所
  女子    女子のA級・B級・L級の被収容者を混禁している刑務所
  F級    外国人を収容する刑務所


ここでLが付くのは刑期が長い、ということはLongの意味か、施設であり、初犯などの犯罪に深く関わっていないAとそうでないB、それに女子という区別である。この他に、精神障害者、病気、外国人という区別がある。
取り留めもなく広がってきたので、女子刑務所について確認して終わりにする。国内の女子刑務所は7施設ある。収容人員と共に下に示す。

■ 女子刑務所と収容定数
             収容定員
  札幌刑務所     508人
  福島刑務支所    500人
  栃木刑務所     648人
  笠松刑務所     532人
  和歌山刑務所    500人
  岩国刑務所     355人
  麓刑務所       302人

合計3,500人に満たない。受刑者数は4,000人を超えるから、どうしているのかと疑問も出る。MやP施設に移っている受刑者もあるだろうが、こんな疑問がどんどん出てくる。法務省は大枠の情報公開をしているが、マスコミの関心が向くところではないようだ。受刑者の生活環境を含めて興味を持って良いと思う。理由は厳罰化を進めようとするなら、軽い刑と重い刑の違いの認識なしには成立しないからである。殺せば良いとか、終身刑にすれば良いと半世紀前の頭でもっともらしく答えを示す。もう少し先人の議論と知恵を学んだ方が良い。それでもまだ、沢山の解決すべき問題があるのではあるが。


本題の協力雇用主は篤志家である。篤志家に頼り過ぎれば必ず破綻する。

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