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2015年6月 1日 (月)

住友ゴムと米グッドイヤー、新興国で競合激化

住友ゴム工業と米グッドイヤーが15年に及ぶ資本業務提携の解消に踏み切る背景には世界のタイヤ市場の構造的な変化がある。最大の成長市場はアジアや南米など新興国となり、両社が競合するケースが増えてきたからだ。日米欧に限定した提携ではメリットは薄く、「日米タイヤ連合」に終止符を打つことにした。
住友ゴムにとって提携は歴史的な決断だった。ブリヂストンや仏ミシュランとともに「ビッグスリー」と呼ばれたグッドイヤーと組むことで、大規模な投資を抑えながら欧米で販売拡大につなげることを狙った。当時は独ダイムラークライスラーの誕生など顧客の自動車大手が世界再編に動いており、住友ゴムも世界大手との提携で経営基盤を強化する必要があると判断した。
当初は相互にメリットがあり、グッドイヤーも日本での事業を拡大できた。ただ、韓国、中国企業が台頭するとともに、ビッグスリーの世界シェアは落ち、特にグッドイヤーは苦戦している。独自戦略が打ち出せない住友ゴムは北米での売上高が全体の約1割と、米州で半分を稼ぎ出すブリヂストン、北米が約4割を占める東洋ゴム工業など他社に比べ見劣りする。さらに、タイヤ大手にとって先進国は収益性が高く重要とはいえ、成長が続く新興国での事業拡大が最優先の課題となった。住友ゴムの池田育嗣社長が「新興市場で(グッドイヤーとの)競合関係が激しくなっていた」と指摘するように、解消は時間の問題だった。(日本経済新聞:6月1日)


住友ゴム工業とグッドイヤーについて考える。


タイヤに関連する資本業務提携であったことから、タイヤ関連の売上高の比較を確認してみる。結果を下に示す。単位は10億米ドルである。

■ 世界の主要タイヤ関係の売上高:2014年度 (単位:10億米ドル)
   会社名          国         売上高
  -----------------------------------------

  ブリヂストン    日本        29.3
  ミシュラン     フランス      24.4
  グッドイヤー    アメリカ      17.8
  コンチネンタル  ドイツ       12.9
  ピレリ        イタリア      8.0
  住友ゴム      日本        6.9
  ハンコック     韓国        6.4
  横浜ゴム      日本        4.8
  正新        台湾         4.3
  クーパー      アメリカ       3.5

コンチネンタルは自動車部品の総合メーカに舵を切っているから、上位の三社とそれ以下では規模に差が大きい。加えて、韓国、台湾のメーカが拡大してきているから、市場をどこに求めるかという課題も出てくる。住友ゴムの位置はまさにこの難しい課題に取り組まなければならないというところにある。
住友ゴムの製品セグメント売上高と利益を確認したのが下である。

■ 住友ゴムの製品セグメント売上高と利益 (2014年12月期 = 単位:百万円)
          タイヤ   スポーツ   産業品他
  売上高   731,245   70,462     35,940
  利益     78,416    3,170      4,648

売上高についてタイヤ事業が圧倒的に占めている。利益についても同様で、住友ゴムは、タイヤ事業を行っている会社であると言える。住友ゴムの地域セグメントを確認する。売上高について地域セグメントが公表されている。結果を下に示す。

■ 住友ゴムの地域セグメント売上高 (2014年12月期 = 単位:百万円)
          日本     アジア    北米   その他
  売上高   382,077   150,792   89,231  158,509

半分は日本である。北米が少ないのはグッドイヤーとの提携関係も影響しているかもしれない。その比較になるグッドイヤーの地域セグメントの売上高・利益と、タイヤ出荷本数を下に示す。

■ グッドイヤーの地域セグメント売上高・利益 (単位:100万米ドル)
      売上高                  2014     2013
  North America                 2,105     2,131
  Europe, Middle East and AfricaLatin     1,306    1,631
  Latin America                   434     492
  Asia Pacific                     511     537

    利益                     2014     2013
  North America                  229      199
  Europe, Middle East and AfricaLatin      30      101
  Latin America                   20       52
  Asia Pacific                     80       67

■ グッドイヤーの地域別タイヤ販売数推移 (単位:100万本)
                        2014        2013      2012
  North America              61.1        61.7      62.6
  Europe, Middle East and Africa   60.5         60.8      62.7
  Latin America              17.4         17.9      18.1
  Asia Pacific               23.0        21.9       20.6
  Goodyear worldwide tire units   162.0        162.3      164.0

グッドイヤーの方は北米中心で、欧州がそれに続くという典型的な米国企業の地域構成になっている。グッドイヤーから見れば、住友ゴムとの提携効果が、市場の成長著しいアジア圏での販売を増加させることに、十分表れていないことに不満があるという論理も成立しそうである。
提携解消によって、住友ゴムは北米での販売を主体的に行えるようになり、欧州での販売も強化していくことになるだろう。ブラジルに新工場も稼働しているし、トルコでの合弁事業もある。しかし、従来薄かった地域に力を入れていくというのはどの会社にもある。グッドイヤーにしたって、新興国市場の開拓は重要案件になっているだろう。ということは、提携解消により自由は得られたが、より厳しい競争にさらされるということも始まる。答えは簡単ではない。
住友ゴムのタイヤブランドは、ダンロップとファルケンがある。ダンロップは英国の伝統あるブランドであるが、会社経営の不振により1985年にタイヤ部門について、住友ゴムが買収している。1999年のグッドイヤーとの提携により、グッドイヤーが株式の75%を、残る25%を住友ゴムが持つという状態になっている。提携を解消すれば、日本か最大でアジア圏でのダンロップの商標を使うことは許されるかもしれないが、それ以外では使えなくなる。国際的なブランドを手放すことになるから、これからはファルケンを拡販していくことになるのだろう。海外ブランドを得るというのは、後で問題が生じるものである。


ブランドの権利というのは複雑である。

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