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2015年6月12日 (金)

会計大学院、定員割れ続々 「就職難」の印象なお

公認会計士など会計の専門家育成を目的に2005年から始まった「会計専門職大学院」の苦戦が鮮明だ。入学希望者が減っており、15年度は生徒を募る13校中9校が定員割れとなる見通し。早稲田も開設以来初めて定員を割り込む。金融危機後の監査法人の採用縮小で、会計士に就職難のイメージが強く、会計士自体への人気が落ちている。ただ足元では国際会計基準(IFRS)の導入や、M&A(合併・買収)の増加などで会計士の需要は増えており、人気低迷が続けば企業活動にも支障が出かねない。
会計大学院は05年に制度が始まった。修了すると会計士試験の一部科目が免除になる特典がある。現在、全国に16校あり、そのうち今春から立命館など3校が募集を停止した。学校側によると募集する13校でも、秋入学枠も勘案した上で募集人員を確保できる可能性があるのは4校にとどまる。残り9校は定員割れとなる見通しだ。05年の開設以来、募集人員を確保してきた早稲田も今年度は初めて定員割れとなるのが避けられない。07年度には100人超の入学者がいた関西学院も苦戦が続く。今年度から定員数を100人から70人に減らしたうえで、説明会などで学生の呼び込みを進めたが入学者は40人程度にとどまる見込みだ。(日本経済新聞:6月12日)


会計専門職大学院について考える。


専門職大学院はいろいろ種類がある。あまり興味もないので詳しく調べことはないが、ニュースになることもあるから、いろいろある程度の知識は持っている。会計専門職大学院というのは、公認会計士の養成という目的と、リカレント教育を提供する為という目的もあるようだ。この大学院を修了すると公認会計士になれる訳でもなく、法科大学院のように司法試験の受験資格が与えられるというものでもない。進学者の多くは、公認会計士を目指すという図式である。
司法試験受験には、法科大学院を経由する方法の他に、予備試験に合格して受験資格を充足する方法がある。大学院に進んだことでの試験の有利不利を考えると、うま味が少ないと判断する人が多そうな制度になっている。また、大学院を修了しても、司法試験に合格しなかった場合には、価値を見出せないというのでは、費用と人生設計のリスクばかり抱え込む方法と考えられても仕方ない。おまけに、法曹界でも法科大学院での教育が足りないという意見まで出てしまえば、誰が制度設計をしたのかと不満も出てこよう。
会計大学院を修了すると、公認会計士試験で短答式試験の一部が免除となる。公認会計士は受験資格が求められない資格である。つまり、資格取得を目的にするなら、これだけがメリットということになる。更に、実際に資格を得るには、公認会計士試験に合格した者が業務補助等の期間を2年以上行い、かつ実務補習の修了が要件とされている。業務補助というのは、監査法人に勤めるということにほぼ等しいから、監査法人の採用が少ない昨今の環境では、試験に合格した後もいばらの道が続くことになる。
記事の定員と入学予定者数を下に示す。

■ 主な会計大学院の入学者状況 (単位:人)
   大学          定員   今春の入学者数
  早稲田大        100        74
  青山学院大       80        40
  明治大         * 80        30
  関西学院大      * 70        40
  関西大          70        36
  中央大         * 80        13
  兵庫県立大       40        24
  東北大         * 40        21
  北海道大         20        13
  千葉商科大       * 70        67
  LEC会計大学院    * 60        36
  熊本学園大        30        40
  大原大学院大      30        31
  ------------------------------------
  * : 秋入学制度がある大学
  立命館大学、甲南大学、法政大学は、今春から募集を停止


微妙な規模であるが、社会人を受け入れることを考えるなら、50人以上というのは多いだろう。受験予備校と考えれば、100人以上にして他を充実して貰った方が良いという割り切りもあるかもしれない。そういえば、LEC会計大学院や大原大学院大は、資格受験対策の専門学校を母体にしている。受験対策には最適かもしれないが、それに特化してしまえば、リカレント教育を提供するなどというセリフは吐けないことになる。そもそも、そんなことは考えていないのかもしれないが。

社会に出て役に立つ大学教育などと、分かったような話を良く見掛ける。数年で得られる役に立つ知識というのは、それと同じ速さで役に立たなくなるものである。教育というのは、基礎的な知識と教養を確実に体得する為に、単純に思える作業を繰り返し行うことである。すぐに役に立つという媚薬に惹かれる姿が見苦しい。
何かというと、産学連携によるとか、国際化に対応した人材の育成とか、麗しい言葉が飛び交う。その結果、短期的に成果が上がったような気分にさせてくれる学部に資金が流れるようだ。この評価基準だって、前者は企業が関心を示したか程度の話だし、後者はカリキュラム構成程度の話で結果はついていない。
大学進学時に、数学が苦手だからと経営学部に進んだ学生が、企業の実務で役に立つと考えるのだろうか。総合的に成績は良好であったが、文学部哲学科に進んだ学生には、能力がないと決められるだろうか。分からないことを分かったように語る者は、後ろ暗いことを抱えているというのが昔からの決まり事である。

専門職大学院などという制度は、年齢と経験の幅の広い者をひとところに集めて、刺激し合うことで新たな価値を見出そうという試みに過ぎない。体裁の良いインセンティブをくっつけても、学費を払うという負担と天秤に掛ければ弾かれるものである。


公認会計士の制度のあり方を考える方が先だと思う。

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