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2015年6月15日 (月)

スズキ、マレーシア大手に自動車部品供給 自社ブランド販売は終了

スズキは6月15日、マレーシアの自動車大手プロトン向けに2016年夏から基幹部品の供給を始めると発表した。プロトンはスズキからの部品供給を受けた自動車を自社ブランドで販売する。スズキは部品のベースとなる車両や、供給する部品の範囲について今後検討していく。これまでスズキはマレーシアでスズキのブランド名で自動車を販売していたが、業績が伸び悩んでいた。今後はスズキのブランドでの自動車販売を終了し、部品供給に特化する。
プロトンはマレーシア2位の自動車メーカー。14年の自動車販売台数は11万6000台で17%の市場シェアを持つ。スズキはこれまでプロトンの親会社であるDRBハイコムに車両の組み立てを委託するなどしてスズキのブランド名で自動車販売を行っていたが、年間販売台数が4000台程度でシェアも1%以下に低迷していた。自社ブランド車の販売から現地大手への部品供給に事業展開を移すことで、マレーシアでの業容の拡大を目指す。(日経QUICKニュース:6月15日)


マレーシアの自動車市場について考える。


新興国市場にならスズキは突き進むと思っていたが、そんな訳がある筈もなく、自社の資源を最大活用する選択と集中を行っているということのようだ。まず、マレーシアの自動車生産の状況について確認する。生産台数の推移を下に示す。

■ マレーシアの自動車生産台数
  2014   666,465
  2013   655,793
  2012   627,753
  2011   600,123
  2010   567,715
  2009   489,269
  2008   530,810
  2007   441,678

60万台が多いか少ないかということになるので、国別の自動車生産台数を比較した。アジアの国での比較を行ったが、参照した資料が異なるので数字に差異がある。結果を下に示す。

■ 国別自動車生産台数・販売台数 (2014年)
 生産数順位   国名         生産台数     販売台数
   1      中国           23,722,890     23,491,893
   3      日本           9,774,558      5,562,887
   5      韓国           4,524,932      1,730,322
   6      インド           3,840,160      3,176,763
  12      タイ            1,880,007       881,832
  15      インドネシア      1,298,523      1,208,019
  22      マレーシア        596,600       666,465
  27      台湾            379,223       282,130
  -----------------------------------------------------
         世界計         87,507,027      88,164,642

中国、日本、韓国、インドというのは自動車生産が多いと話題になる国である。自動車生産は部品点数が多く、幅広い業種から部品調達を行わなければならないという事情がある。そして、途上国の場合には自国での販売が期待できる方が望ましいという事情もある。途上国の製品品質が先進国と比較すれば劣ることから、品質を妥協して価格を優先する市場を目指すよりない。輸送費用も最小限にしたいとなれば、優先しなければならない。実際、生産台数が販売台数を大きく超過しているのは、日本、韓国、タイであり、その他の国は国内向けの生産を重視していると思って良いようだ。もちろん背景に、関税やそれに類似した国内産業の保護政策もあっての話ではある。
それでは、マレーシアの国内販売台数について確認する。販売総数の推移と、マレーシアのメーカ二社とスズキについて推移をしてまとめたのが下である。

■ マレーシアの自動車販売台数
   年   販売台数  プロドゥア    プロトン     スズキ
  2014   596,418   195,579    115,783      ―
  2013   601,407   196,071    138,753      ―
  2012   569,620   189,137    141,121      ―
  2011   533,515   179,989    158,657     7,308
  2010   605,156   188,641    157,274     6,748
  2009   536,905   166,736    148,031     4,994
  2008   548,115   167,393    141,958     5,024
  2007   487,176   162,152    118,134     2,583
  2006   490,768   155,419    115,706     1,606
  2005   552,316   139,681    166,812      447

プロドゥア(Perodua) は1993年に設立されたダイハツ工業とマレーシア資本との合弁会社である。製造部門はダイハツが子会社化しているので、ダイハツの連結決算に名前が出てくる。プロトン (Proton) は1983年に設立されている。社名はマレーシア語で国民自動車会社の略語であるという。政府系の企業である。設立当初は三菱自動車工業と資本、技術面で緊密に提携していたが、現在は資本提携を解消している。
プロドゥアがプロトンを抜いたのは2006年である。プロドゥアをスモールカー専門であったのをプロトンと同じセグメントに進出し、そこで成功したことによる。以降プロトンの業績は回復しきれないでいる。そんな中、2012年6月に筆頭株主であった政府系投資会社カザナ・ナショナルが、保有するプロトン株42.7%をDRB-ハイコムに売却すると発表してる。DRB-ハイコムは、マレーシアのコングロマリットであるから、国内市場から輸出市場を重視する方向になる可能性もある。
一方でスズキは、マレーシア市場で数千台の販売台数に留まっている。マレーシアのスズキのホームページを見ると、幅広くラインナップしているのが確認できるが、マレーシアの購買力というのはそれほど高くなく、絶対的な販売台数が少ないことから力を入れきれない印象はある。スズキとしては、東南アジア地域で成長著しいインドネシア市場を重視するという判断だろう。プロトンとしては、プロドゥアがダイハツの協力により成功したのだから、スズキと連携すれば大きな成果につながると考えたとしてもおかしくはない話である。


スズキの最大のリスクは、鈴木修なのだろう。対策は考えたくなかろうと同情する。

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