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2015年6月25日 (木)

「闇サイト事件」神田司死刑囚の死刑執行 法務省

法務省は6月25日、名古屋市の会社員女性が殺害された「闇サイト事件」で強盗殺人罪などに問われ、死刑が確定した元新聞セールススタッフの神田司死刑囚(44)の死刑を執行した、と発表した。昨年8月以来、約10カ月ぶりの執行で、昨年12月の第3次安倍政権発足以来初めて。2012年12月の自民党への政権交代後では、執行は7度目、計12人目となった。(朝日新聞:6月25日)


死刑制度について考える。


死刑執行に関しても法律に則って行われる。実施時期について規定しているのは刑事訴訟法475条である。下に当該条を記す。

■ 刑事訴訟法475条
一、 死刑の執行は法務大臣の命令による
二、 前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは
   
再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同
    被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。


但し書き部分はひとまず置くとして、判決確定後6カ月で執行するということになっている。この規定がある理由については、いろいろと考え方があるようだが、同時に異論もあってその手の話題を調べると難儀するというのは、このブログを始めて以来何度も経験している。そういう話題を避ければ良いのだが、全て避けては何も学べないという現実がある。
横道に逸れた。これも毎度のことである。法律に規定されていれば、守らなければならないのが、公務員の仕事というものである。法務大臣もまた、特別職の国家公務員であるから、法律に従った仕事をすることが求められる。違反規定は見当たらないが、法律に違反する行為をした大臣が、その席に留まっているというのでは秩序が崩れる。しかし、歴代内閣で法務大臣がこの規則を守っていないということは、慣習法の如く扱われてしまったとも見える。すると、執行することが違反行為になりそうなのだが、執行すると大きな話題になるという現象に出てるように思える。
この状況に疑問を持つ人もいる。死刑制度が認められている国で、死刑判決が裁判で下されることがあるにも関わらず、死刑執行に関してだけ法律の枠外というのでは違和感がある。東京地裁で1998年3月20日判決がある。文章は然るべきサイトで確認して貰うとして、結論だけ書くと法的拘束力のない訓示規定であると解されるということである。死刑判決が出るまでに、賛成の人、反対の人、それぞれが大騒ぎしているのに、そして、裁判員裁判で辛い思いをして死刑判決に加わった人がいるにも拘らず、死刑執行には無頓着である。執行が行われると少し話題になるのは、死刑制度を維持しようと思う側の人達が、世論の支持を集める為の手段になっているように思う。逆に百余名の死刑囚をひといきに執行し、次からも6カ月規定を守るというというのは、死刑制度に反対する人を刺激するという思惑があるのかもしれない。一方で、法務大臣が決裁してから、執行するまでの期間について、同476条にある、法務大臣の命令から5日以内に執行ということは守られている。これが守られないと無秩序になりそうだ。東京地裁判決も、これは義務規定と判断している。実際に守られていることを、2007年12月7日の衆議院法務委員会において、法務省刑事局長が答弁している。
上の法務省刑事局長の答弁において、死刑執行までの期間について報告がある。再審請求などの事由がない場合のみを対象にした平均で、執行まで4年3カ月経過している。また、全体では平均7年11カ月経過しているとされる。但し書きに該当しない場合でも、6カ月が4年3カ月になっている。妥当かどうかを判断するには、相応の説明が必要になる。訓示規定だから良いという易きに付くでは法律は何の為にあるのかとなる。
死刑制度については国内法に留まらず、自由権規約委員会が注目している状況にあり、国際法に関係する問題になっている。国内には死刑制度継続が強いとされているが、それだけで制度を継続を主張するというほど簡単な話ではない。

死刑判決後の扱いについて、死刑判決や死刑制度の扱いに関する注目度の高さに比べれば著しく低い。国際的にも主張しようと考えるのなら、国内世論の精度の高い確認をしなければならない。制度全体を意識した情報公開が、適切に実施されていない状況と理解する。反論もあるだろうが、反論する前の議論にさえ至っていないのだから、当局が悪いというより、本質は無関心にあるのは間違いない。
情報の無理解を象徴するような報道が最近あった。6月13日に放送されたテレビ番組で、弁護士の大渕愛子が無期懲役についてコメントしている。コメントをそのまま引用すると、「刑務所で問題なく過ごせば、15年くらいで仮釈放になって、その後、問題なければそのまま社会で生活してしまうんですけども。ここまで『将来殺人ができる』と言っているんですから、慎重に刑務所のほうも見て、仮釈放は認められないと思いますけどね」ということである。2004年の刑法改正により、有期懲役の上限が20年から30年に変更された。仮釈放の目安は、刑の七割というところである。法律の改正の影響は、改正後のs判決に影響すると思うが、行政の運営に関わる話であるから、改正されれば可及的速やかに適用されると思って良いのだろう。
有期懲役の上限が20年であるとすると、14年で仮出所の対象になるが、30年であると21年になるということである。無期懲役では七掛けが計算似難いが、30年というのは併合罪などにより刑を加重するであるから、併合罪なしなら20年 (改正前15年) なのでこれが目安になる。大渕の発言は改正前の目安に従ったもので、実際そのくらいで仮出所していた。改正後の状況としては、20年前に仮出所している人は19年の例が1件あるくらいで、他は20年を超える。弁護士のような実務家であってもこんな間違った発言をするのは、専門以外の領域については、司法試験を受けたときまでの記憶でしかないということを表しているのだろう。無知を責めてはならないが、無知を認識していない者には、無知を伝達しないと大きな事故を起こすものである。

今回の死刑囚の共犯 (実は主犯) は無期懲役になっている。自首したことが理由である。法律の解釈ではそれで良く、それで秩序が保たれているのは理解したにしても、釈然としないものを感じる。死んだ人が一人であることと、自首したこととを合わせると死刑は選択し難いという結論であったのだろう。逆に、自首しても刑が軽くならないなら逃げた方が良いということになり、世の中の秩序を維持するのに貢献しないというのももっともだと思う。実態として、無期懲役が終身刑になっているのだが、それらななおさら刑の実施に関心を持つべきだろう。


刑務所の実態も知られていない。知らないことで許されるなど、安全保障に限らず存在しない。

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