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2015年6月19日 (金)

臓器提供、国内は低い関心 意思表示カード未記入85%

内閣府の世論調査(2013年)によると、臓器提供の意思を示すカードに「記入していない」と答えた人は85%に上り、臓器移植に対する関心は低い。
国内でドナーが見つからなければ患者は海外での移植の道を探らざるを得ないが、外国人患者の受け入れをやめる国が出るなど「渡航移植」の道も厳しくなっている。小児用補助人工心臓の活用も期待されるが、あくまでも移植を待つ間の代替的な治療にすぎない。東京女子医大病院の清水美妃子医師(小児循環器)は「臓器提供や移植の選択肢を患者に説明しきれていない医師も少なくない。脳死や移植について正しく理解してもらうことが必要」と話し、国内で移植手術を受けられる環境づくりの重要性を強調する。(日本経済新聞:6月19日)


臓器移植について考える。


日本臓器移植ネットワークによると、臓器移植を希望する登録者数は下の通りとなっている。

■ 現登録者数 (日本臓器移植ネットワーク:2015年6月1日現在)
  臓器名     心臓    肺   肝臓   腎臓   膵臓  小腸
  希望者数    400    247    385   12,321   196    5

腎臓が圧倒的に多く、肝臓、心臓と続く。角膜移植は組織が別で、日本アイバンク協会が行っている。角膜移植希望者は約4,000人で、移植件数も1,500件未満という。腎臓より少ないが他の臓器より多い。
どの臓器でも共通しているのが、臓器提供者 (ドナー) が必要であるということである。生体移植はこの記事とは別の話なので除く。ドナーは少なくとも脳死であるので、世の中の死亡原因について確認することにする。ドナーになるのは、本人の意思によるものであれば15歳以上となるが、法律論に入るつもりはないので成人を下限とし、臓器により好ましい年齢は違うが、60歳未満というのを上限にすることにした。この年齢範囲での死因と、人数を厚生労働省の人口動態統計年報から拾ったのが下である。

■ 主な死因別死亡者数 (人口動態統計年報:厚生労働省)
  年齢階級   自殺  悪性新生物   心疾患  不慮の事故  脳血管疾患
  20~24    1,474      222      170      568       42
  25~29    1,739      339      207      507       84
  30~34    2,003      802      412      546      177
  35~39    2,474     1,694      774      722      478
  40~44    2,418     2,792     2,418      729      862
  45~49    2,470     4,762     2,470      843     1,348
  50~54    2,763     9,084     2,791     1,099     2,047
  55~59    3,325     19,036     5,050     1,748     3,501

悪性新生物は悪性腫瘍と読み換えて良いようだ。癌の治療を行った後に亡くなった患者というのであれば、臓器提供には向かない場合が多いだろう。臓器移植は、臓器の鮮度によって手術結果が支配されるということだから、心疾患も向かないことが多そうだ。不慮の事故と脳血管疾患は可能性が高くなる。これらがすべて臓器提供したとすると 1万5千人となる。腎臓の臓器提供希望者の数より多い。しかし、自殺者ならこの二つの合計より多い。自殺に失敗して脳死判定される状態となり、その後、臓器提供されたという記事が以前雑誌で話題になった。自殺希望者で、成功すれば死亡して、失敗すれば生きることになるから、生きているうちに臓器提供をすればというのは、親族以外への生体移植は認められていないから駄目である。そもそも、自殺を失敗するのが、成功するより良いという表現が壊れている。
臓器移植の考え方が難しいのは、誰か (単数) が死なないと、誰か (複数の場合もある) が生きられないという事情に依る。命のリレーなどと、情緒的な表現をするのがマスコミの常であるが、この表現に強い違和感を覚える。亡くなった人が生きたであろう時間を、受け継いだ人が生きるというような物語をイメージする。仮に30歳で亡くなった人の臓器を、20歳の人に渡したら、50年近く生きてくれると思ってしまう。移植された臓器は若い健康なものと思えるのだから。しかし、渡された臓器で健康に過ごせる時間は、想像するより短い時間である。実績の多い腎臓の例なら、20年を超えるというのは例外的である。つまり、40歳くらいまでしか持たないというのが、良好なケースでの例となるようだ。
移植が成功して1年後に生存している割合が90%で、5年後に健康的な暮らして (厳密に解釈しないで緩く考えて) いるのが60%で、10年後の生存率が10%であったとしよう。この数字を良いと思うか悪いと思うかは人それぞれだが、術後経過に関する情報が積極的に公開されていない現状で、医療関係者が言うところの、『脳死や移植について正しく理解してもらうことが必要』というのは、移植件数を増やしたいだけの話に思えてしまう。

移植を実施する患者の選択が、移植の成績を高める意図を持って行われていないか。術後の経過について適切な情報公開を行うか。臓器提供者について、死因を年間の集計として公表する程度は必要だろう。後ろ暗いところがあるのではないかと思われていては、先に進める筈もない。一般市民の理解不足という前に、専門家として情報公開する仕事が沢山あると感じるのである。


自殺者が臓器提供希望者より多い。未遂も含めればさらに。この国は病んでいる。

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