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2015年5月25日 (月)

ポツダム宣言

5月20日の党首討論で、共産党委員長である志位和夫の質問に対して、首相の安倍晋三が答て話題になっているポツダム宣言について考える。


ポツダム宣言は、1945年7月26日に大日本帝国に降伏を求めた宣言である。戦争当事国である、アメリカ合衆国大統領、中華民国主席及びイギリス本国政府首相の連名で、大日本帝国に対して発されている。
時期の確認であるが、ドイツでヒトラーが自殺したのが1945年4月30日で、ベルリン宣言が1945年6月5日である。ベルリン宣言でドイツ国は無条件降伏した。対象国は、アメリカ合衆国・ソビエト社会主義共和国連邦・連合王国 (the United Kingdom) ・フランス共和国臨時政府である。ベルリン宣言にあるソビエトがポツダム宣言にないのは、ソビエトが日本に宣戦布告したのが1945年8月8日であるからである。
ベルリン宣言のイギリスは the United Kingdom であるが、ポツダム宣言ではGreat Britainである。グレートブリテン島の政府だということである。連合大国は大きいので、その部分である本国という意味だろうが、素人に違いは良く分からない。ただし、この宣言の中で区別して使われているので、無視するのもどうかと思う。

さて、党首討論で問題になったのは、全部で13項目ある中の、第6項と第8項である。下に原文を示す。

(6)  There must be eliminated for all time the authority and influence of those who have deceived and misled the people of Japan into embarking on world conquest, for we insist that a new order of peace, security and justice will be impossible until irresponsible militarism is driven from the world.

(8)   The terms of the Cairo Declaration shall be carried out and Japanese sovereignty shall be limited to the islands of Honshu, Hokkaido, Kyushu, Shikoku and such minor islands as we determine.

日本語で示すと、こうなる。

六、 吾等ハ無責任ナル軍国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序カ生シ得サルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス

八、 「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ


日本語も時代を背負っているから難解である。これなら、『詳らかに読んでいない』というのも分からないではない、というか同情しなければならない。同情し難いのは、質疑に用いられた日本語の方である。論旨としては、『詳しくは読んでいない』、『きちんと読んでいない』というところだろう。それに続けて、『よって、質問に関する認識は詳らかでない』とするなら普通の用法である。こんな文語調の表現を用いる必要もないのに選ぶのは、共産党がよっぽどお嫌いなのかもしれないが、気取った表現で意味不明になるあたりに、教養のレベルの低さを感じてしまう。まあ、意味不明になっていないだけましと思うことにする。
『詳らかに読んでいない』理由というのが、ポツダム宣言が長い文章であることや、難解な表現があることが可能性としてあるのかと思っていた。よくよく考えてみれば当然で、降伏文章が長かったり難解であっては勝った側に都合が悪い。紛れの生じない表現をするものである。よって、冒頭に述べた13項で構成されているし、各項についても短い文章になっている。米国議会で英語で演説するならこれくらい読んでおけば良かろうにと思うが、志位の事前連絡にはポツダム宣言が記されていなかったのかもしれない。

順番に確認しよう。6項についてであるが、『日本の人民を欺きかつ誤らせ世界征服に赴かせた影響勢力及び権威・権力は、永久に排除されなければならない。従って我々は、無責任な軍国主義が世界からなくなるまで、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能であると主張する』。正しいという確信はない。国民を騙して世界征服を企む軍国主義者というのに、志位は安倍を重ね合わせるのだろうか。
8項の方は単純で、『カイロ宣言の条項は履行さるべし。日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定する』というところだろう。ネット上で右翼を標榜する者が、尖閣諸島の領有を主張することに影響すると主張している。日本共産党はポツダム宣言を認めた上で、千島列島まで日本の領土だと主張している。領土問題を考えるなら、日本共産党の主張くらいは理解しておくものだと思う。ネット依存の傾向は勉強しないことで特徴付けられる。まあ仕方ないか。

ポツダム宣言の内容が屈辱的だとする意見がある。戦争の降伏処理で、相手のことを慮ってなどという余地はない。戦争に負けるとはそういうことである。戦争終結に関する宣言は確定したものであり、今更修正しようとしても許されないものだ。ただし、領土に関する問題などは当時と異なる状況が発生している場合はある。
日本共産党との議論を回避したい気持ちがあったのだろうが、そんなぬるい気持ちの臨んでいるから足元を見られる。ポツダム宣言について知っていると答えれば、志位に現在の行動を否定されるからと構えて、作文を読むことを繰り返すではあまりに軽い。過去の発言で歴史認識に誤りもあるようだから、これを機会に勉強するのが良いだろう。ものを知らないのは恥ずかしいことではないが、知った振りをするのはかなり恥ずかしい。


今回の作業でポツダム宣言が詳らかになった訳では無い。まあ、まったく知らないよりましにはなった。

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