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2015年5月18日 (月)

大阪都構想、反対多数が確実 橋下氏の求心力低下へ

大阪市で5月17日、市を廃止して5つの特別区に分割する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われ、即日開票の結果、反対が賛成を上回ることが確実になった。都構想は否決され、廃案になる。構想を推進した橋下徹大阪市長(維新の党最高顧問)の求心力低下は避けられず、影響が野党再編の行方など中央政界にも及ぶのは確実だ。
橋下氏は住民投票の運動期間中、反対多数になれば「(今年12月の市長任期満了後に)政治家を引退する」と明言していた。投票結果を受けて橋下氏の進退が取り沙汰される可能性がある。都構想は、新設の5特別区が医療・福祉や小中学校教育など身近なサービスの提供に特化し、インフラ整備など広域行政を大阪府に一元化する内容。各区に公選制の区長・区議を置き、府と特別区は「東京都と23特別区」と同様の関係になるとしていた。
橋下氏が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が、府市の二重行政の解消が必要だとして提唱した。一方、自民、公明、民主、共産各党の地方組織は移行コストが多額に上ることや住民サービスが低下する恐れがあることを理由に反対を訴えた。投票の対象は大阪市内の有権者約210万人で、これまでの住民投票で最多だった。賛成多数の場合は、政令指定都市の大阪市が1956年の制度創設以来初めて廃止される予定だったため、投票結果は、大都市制度のあり方を巡る他地域での議論に一石を投じる可能性があるとして注目されていた。(日本経済新聞:5月17日)


住民投票について考える。


政令指定市の大阪市は24の区から構成されている。大阪市の住民投票の結果を区単位で下にまとめた。また、新たな特別区になった場合の区について記した。

■ 2015年5月の大阪市住民投票結果
   区名    特別区  当日有権者  投票者数  投票率  賛成    反対   反対/賛成
  大阪市計   ―    2,104,076  1,406,084   66.83    694,844   705,585   1.02
  ----------------------------------------------------------------------------
  北区     北区     94,128    61,248   65.07    36,019   25,001   0.69
  西区     中央区     70,287    45,416   64.62    26,094   19,160   0.73
  福島区    湾岸区    56,798    38,984   68.64    21,586   17,267   0.80
  淀川区    北区    138,515    87,848    63.42    48,566   38,903   0.80
  中央区    中央区     71,819    45,157    62.88    24,336   20,657   0.85
  都島区    北区     82,237    57,011   69.33     30,135   26,671   0.89
  浪速区    中央区     48,936    25,850    52.82    13,563   12,189   0.90
  東淀川区  北区     136,353   85,064    62.39    43,388   41,340   0.95
  城東区    東区     132,091    92,850   70.29    46,728   45,784   0.98
  鶴見区    東区     85,852    59,833    69.69    29,859   29,752   1.00
  東成区    東区     61,085    41,550    68.02    20,689   20,667   1.00
  阿倍野区  南区     85,354    63,134    73.97    30,434   32,446   1.07
  此花区    湾岸区    54,470    36,606    67.20    17,597   18,872   1.07
  港区     湾岸区    66,673    44,933    67.39    21,410   23,351   1.09
  東住吉区  南区     105,456    71,764    68.05    34,079   37,322   1.10
  住之江区  湾岸区   100,867    70,314    69.71    33,184   36,880   1.11
  天王寺区  中央区     54,774    39,316    71.78    18,327   20,815   1.14
  西成区    中央区     90,062    54,344    60.34    25,298   28,813   1.14
  生野区    東区     83,886    54,822    65.35    25,396   29,190   1.15
  住吉区    南区     123,549    84,946    68.75    38,623   45,950   1.19
  西淀川区  湾岸区    75,827    52,186    68.82    23,670   28,337   1.20
  旭区     東区     74,371    51,402    69.12    23,145   28,048   1.21
  平野区    南区     155,527   103,518    66.56    46,072   56,959   1.24
  大正区    湾岸区    55,159    37,988    68.87    16,646   21,211   1.27

賛成反対は僅差であるが、それに地域差が加わっているように見える。大阪市は五つの特別区に整理分割される計画であるので、予定されている特別区単位で集計した結果を下に示す。

■ 2015年5月の大阪市住民投票予定特別区集計結果
  特別区   当日有権者 投票者数   投票率   賛成     反対   反対/賛成
  北区     451,233    291,171    64.5    158,108   131,915   0.83
  中央区     335,878    210,083    62.5    107,618   101,634   0.94
  東区     437,285    300,457    68.7    145,817   153,441   1.05
  湾岸区    409,794    281,011    68.6    134,093   145,918   1.09
  南区     469,886    323,362    68.8    149,208   172,677   1.16

新しい住民が多いという北区、中央区で賛成が多く、古い地域で高齢者の割合も高いという南側の地域で反対が多い。そして、反対の多い側での投票率が高い。この投票傾向は、大阪市の分割による影響が深刻と考える人の割合が反映していると読めなくもない。大阪市の状況について明るくないが、住民サービスの低下より福祉関係の削減や負担増の方が早くやってくると感じれば、自分の身を守ることから変化を嫌うという行動に出た可能性はある。

橋下徹は反対が多ければ引退すると表明している。こうして橋下ファンからの支持を確たるものにするというのは、過去に幾度も行ってきた彼の選挙手法である。住民投票は高速選挙法の制限がないから、テレビCMも沢山流すし、戸別訪問も制限されない。家庭の電話に橋下の肉声を流す電話作戦も展開したという。広告関係の費用は4億円と言われる。もとは政党交付金であるから、国税を地方に持ってきたという解釈も成り立つが、そこまでして何をしたいのかと、無関係な地域の住民には思える。
大阪市は近畿圏の大きな都市ではあるが、経済的な規模を考えれば東京と比べるレベルではない。東京にも同じことが言えるが、企業、特に製造業の海外移転の影響が大きく、経済の衰退が著しい。大阪都構想の最初の頃は、4,000億円の効果があるとされたが、在る物を壊して作り直すという作業に、これほど大きな効果はあり得ない。平成25年度の一般会計の歳出額が1兆6,700億円である。4,000億円の効果があるなら、現状、犯罪に近い歳出項目があると思って良いだろう。この金額が4億円になったようだから、資料作成に関係した市職員の心労をお見舞いするよりない。
二重行政の解消というのが大きなお題目であった筈なのに、いつの間にかこれは扱われなくなった。借金を減らすというのは効果があったようだが、府のレベルでは橋下時代の後でも継続している。借金を減らすのは、何より前にしなければならない仕事である。そして、正しい職員はしっかりと仕事をしている。
極端に生活保護費を削るというのは出来ないが、生活支援の手法を検討する作業は継続的に行っていることだろう。このような地道な作業なしに、財政の改善がなされるということはなし得ないことだ。二重行政をと言いながら、新たな箱ものに走ったり、カジノを作れば歳入の拡大につながるというのも楽観的過ぎる。どんな仕事でも難しい部分がある。単純に儲かるという話に胡散臭さを感じるのが正常な市民感覚である。

インチキくさい、普通に表現すれば詐欺師のたぐいにしか見れないが、大阪に限らず人気が高いようだ。政治家を引退するという話だが、次の参議院選に立候補する可能性もある。政治家の引退などその程度のセリフに過ぎなかろう。橋下の周囲には、言動を諌める者がいないようだ。その意味ではお気の毒な人なのかもしれない。


テレビCMの4億円を実弾で配れば良いというは、やっぱりダメなのだろう。

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