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2015年5月26日 (火)

地熱発電、23年ぶり「大型」 Jパワーなど秋田で着工

Jパワー、三菱マテリアル、三菱ガス化学の3社は5月25日、秋田県湯沢市で大規模地熱発電所の建設を始めた。発電能力は8万世帯の年間電力消費量に相当する4万2千キロワットで事業費は約300億円。計画通り2019年に運転が始まれば1万キロワット超の地熱発電所として23年ぶりの稼働となる。世界3位の地熱量を誇る日本に地熱発電が根付くかどうかの試金石となる。
地熱発電は地中から吸い上げた高温の蒸気でタービンを回して発電する。天候などで発電量が変わる太陽光や風力などに比べ、24時間安定して発電できる利点がある。
Jパワーなど3社が事業化に向けて共同出資の運営会社、湯沢地熱(秋田県湯沢市)を設立したのが10年。現地調査は1993年に始まっており、20年越しで着工にたどり着いた。大規模発電所では九州電力の滝上発電所(大分県九重町、96年11月稼働)が最後だ。Jパワーにとっても地熱発電所の新規稼働は鬼首地熱発電所(宮城県大崎市)以来、44年ぶり。稼働すれば発電量で国内5番目の地熱発電所となる。稼働後は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき1キロワット時26円(税抜き)で電力会社に販売する。太陽光(同29円)より安い。約20年ぶりの大型発電所が動き出した背景には12年導入の再生エネの固定価格買い取り制度がある。地熱発電は開発費がかかり採算が見通しにくかった。15年間の固定価格買い取り制度で収支計算がしやすくなった。(日本経済新聞:5月26日)


地熱発電について考える。


日本の地熱発電の潜在力は高いと言われる。この利用が出来ない理由は、適地が国立・国定公園内にあることで、法律で厳しい制限が加えられていると考えられている。国立・国定公園の根拠となる法律は、1957年の自然公園法になるが、もとをだどれば1931年の国立公園法となる。国立公園法が、国立公園に関する開発制限の規定に実効性が乏しいことが理由で見直されている。自然公園法の目的は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することとなっている。
国立公園に限って話を進めると、この六割が国有地である。そして、国立公園も自然や景観などの保護を目的にしているので、観光用として開発しようという考え方には立っていない。管理は環境庁が直接行っている。国立公園内での開発は難しいことが予想されるが、そもそも国有地で発電をするというのが簡単に許可されるとは思えない。源泉が私有地であるのは開発された温泉地帯であるだろうから、それだとそもそも発電所の設置が難しい。開発されていない温泉なら、源泉は私有地にあるだろうし、そんな辺鄙なところから電力会社の高圧電線に接続する作業も容易ではなさそうである。

地熱発電が実用化されているのは、東北地方と九州地方に多い。福島県にある柳津西山地熱発電所は、単一ユニットとしては日本の地熱発電所で最大の出力 65MWである。規模として大きいのは八丁原発電所で、112MW (55+55+2) となっている。どちらも発電所内は無人運転していて、近隣の別の発電所からの遠隔操作で運転している。
公園指定されている地域での建物に制限があることは、いろいろと例外規定がなされてきているようだ。それでも景観を損なるという指摘はあるだろうから、建築可能な場所が発電の最適地とは異なる基準で選ばねばならなくなる。発電には地中の深い場所から高温の蒸気や熱水をくみ上げる為の生産井が必要になる。これは理解していたが、発電に利用した後の低温の水を地中に戻す為の還元井も必要になるということである。温水を汲み上げて、どんどん捨ててしまうというのでは環境破壊につながるし、地盤沈下の要因にもなるだろう。ということは、発電所を作ろうと思い立っても、実際に発電するのには10年以上の時間を要するということである。
煩雑な許認可業務をクリアーして、長い建設期間を要する設備に投資をして、薄く資金を回収するというのは経済性を重視すれば選択してはいけない事業である。例えば、八丈島にある地熱発電所は 3.3MW の規模に過ぎないが、電力供給を外部に頼れない島嶼部の事情もあり運転している。国が主体となって、送電線との接続の良い地域で、相対的に規模の小さな発電所の運転を開始し、周辺の温泉への影響について調査して、温泉の観光客が減少しないことを示す必要もあるのではないだろうか。規制緩和を行い、民間が実施するというのが基本であるが、発電所基準で規制緩和を行えば、自然破壊の危険性は高くなる。規制のあり方について検討するのに、前例がないと判断が出せないというのが、この国の高級官僚の行動様式ではないだろうか。それなら、国が前例を作るしかないだろう。

電力の買い取り料金を高くしても、その価格が維持されるか否かに不安があるのに、20年を見ての投資判断は経営者には厳しすぎる。そろばんに合うのなら、国に頼まれなくても行うものである。
買い取り価格は法律で決められていても、結局は事業者が支払うもので、利用者はこの国で生活する者である。太陽光で見られるような、枠取りを競争するような仕事は、先物取引と同じで発電を金融商品にしてしまっている。需給バランスと金融商品に付き物の思惑によって、価格が変化する可能性が高い商品というのは、長い期間にわたって投資資金の回収を行う事業との相性が悪い。記事の事例は、リスクの取り方が最適ではないと感じるのである。


温泉への影響は、発電後のお湯で十分賄えそうである。温泉でないとの批判は出るだろうが。

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