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2015年5月 1日 (金)

東証1部・江守HD、民事再生法を申請 負債711億円

電子部品などを扱う商社、江守グループホールディングス(福井市)は4月30日、民事再生法の適用を東京地裁に申請した、と発表した。負債総額は約711億円。同社は東証1部に上場しているが、5月31日に上場廃止となる。帝国データバンクによると、今年の上場企業の倒産は、スカイマークに続いて2社目。
事業の譲渡先は、興和紡(名古屋市)と投資ファンド「ジェイ・ウィル・パートナーズ」(東京都)が出資する新会社「江守コーポレーション」(同)。江守グループは5月に8子会社の全株式を譲渡する予定で、金額は約100億円。江守グループは1906年に薬屋として創業し、化学品や電子材料などに事業を拡大した。近年は中国での売り上げを伸ばし、2014年3月期の売上高は2089億円だった。しかし、今年3月、中国の子会社が現地の大口取引先から代金の回収が見込めなくなったと発表。14年4~12月期決算で462億円の特別損失を計上し、234億円の債務超過になっていた。(朝日新聞:4月30日)


民事再生法について考える。


民事再生法なので、会社更生法のように経営陣の刷新は法律上必須ではない。とはいっても上場会社が、民事再生法の適用で上場廃止となるのだから、役員が居座るという訳にはいかない。江守HDの場合には、事業会社をスポンサー企業に譲渡するということだから、江守HDは近々消滅するということになる。スポンサー企業というのも変な話だが、いろいろと迷子になりそうな話題であるので、大人しく江守HDの決算推移を確認する。下に結果を示す。

■ 江守HD 3月期決算推移 (単位:百万円)
   年     売上高    営業利益  経常利益  当期純利益
  2014    208,926    5,577     5,410    3,323
  2013    140,036    3,139     3,005    1,919
  2012    115,923    2,704     2,532    1,689
  2011     94,928    2,450     2,339    1,367
  2010     65,706    1,861     1,832    1,021
  2009     65,788    1,447     1,523     821
  2008     66,101     ―      1,771    1,043
  2007     60,023     ―      1,468     883
  2006     54,729     ―      1,360     664
  2005     49,610     ―      1,359     756
  2004     43,138     ―      1,004     436
  2003     38,071     ―       722     -352
  2002     35,898     ―       434     204

過去の営業利益は確認できなかった部分を省略している。商社なので経常利益だけでも良いかなと考えることにした。売上高も伸びているし、経常利益も増えている。不思議なことといえば、この会社は今年の3月16日に2010年3月期以降の決算を訂正している。訂正している内容は、売上高に集中していて、地域セグメントを確認すると日本以外のアジアの売上や利益に訂正が生じている。記事にある通り、中国の関連会社の管理が適切になされなかったということのようだ。2015年3月期の中間期を2014年12月に発表しているが、ここで中国での資金回収が困難になっていることに触れられている。2015年第3四半期決算の資料で、商社部門の売上高は日本が321億円、中国が1,072億円 (ASEAN 579億円) となっているから、中国の資金回収に難があれば大変なことになるのは理解できる。参考の為に記すと、2009年3月期の売上高で、日本が534億円、アジアが2,013億円となっている。アジア依存の大きな会社である。
決算上は良い会社に見えるので、訂正のなかったキャッシュフローで状況を確認してみる。結果を下に示す。

■ 江守HD キャッシュフロー推移 (単位:百万円)
   年      営業     投資    財務   現金及び現金同等物
  2014    -5,197    -330    12,038     15,115
  2013    -2,670    -975     3,511     7,406
  2012    -6,915    -631     8,875     6,674
  2011    -6,678    -397     9,979     5,383
  2010     -717    -449     1,902     2,656
  2009     1,592     -336    -1,909     1,972
  2008     -991    -168     1,560     2,726
  2007     1,115     -968       42     2,316
  2006     -184    -801     1,064     2,092
  2005    -1,029    -148     1,400     1,905
  2004      781    -293      -137     1,695
  2003    -2,204      81     1,575     1,364
  2002      210    -200      -179     1,935

営業キャッシュフローが5期連続で赤字になっている。財務キャッシュフローも増加しているから、借入金を増やしているのだろうと思われる。投資額もそれほど大きくないが、商社であるから継続的に大きな投資をするということもないだろう。結果として2014年3月期末の現金及び現金同等物は151億円ある。借入して現金が増えるのは当然だが、何もしないで現金を積むのなら返した方が良い。キャッシュフローを見ると、投資するのに躊躇する会社になっている。

江守HDの発表によると、下記のように書いている。

中国における大口取引先における回収遅延が顕著となり、また、取引信用保険についても保険金の支払を受けることができない可能性が存することが明らかとなったこと等から、平成27年3月期第3四半期連結累計期間で中国子会社において、売掛債権につき合計462億5百万円の貸倒引当金を計上し、連結ベースで234 億24 百万円の債務超過に陥ることとなり、また、継続企業の前提に関する注記も付されることとなりました。

中国の大口取引先から回収出来なくなった事業はその通りなのだろう。しかし、この会社の中で、回収不能になると思ったのは2010年頃からあったのではないかと疑わせる内容である。上記の決算の新しい方の4年で、財務キャッシュフローの合計金額は342億円になる。焦げ付いた債権があるのを知りながら、回収できることにしておいたという疑いが生じる。少し前まで株価が2,000円していた。株主は怒ることだろう。株主に対する報告くらい正しくしたらどうかと思うが、銀行への説明の都合もあったのかもしれない。福井銀行も知っていたという話も出てきそうではある。


こんな会社ばかりでは、個人投資家は育ちようがない。

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