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2015年4月 8日 (水)

障害者の事故被害を救済 「二重賠償で拒否」認めず

さいたま地裁で先月、障害者の交通事故をめぐり関係者が注目する判決があった。脊髄障害のある男性(53)が事故で腕のしびれが生じたとして、車を運転していた女性に約460万円の損害賠償を求めた訴訟で、同地裁(針塚遵裁判長)は女性に約414万円の支払いを命じた。一部は自動車損害賠償責任保険からの支払いを命令。障害者が事故で後遺症が出ても元の障害が原因だとして保険が支払われない事例が多く、関係者は「救済に道を開く」と評価する。
判決によると、2009年10月、車いすで信号機のない交差点を直進していたさいたま市の男性に、女性の運転する車が接触。車いすが倒れて男性は投げ出され、腕のしびれなどの後遺障害を負った。男性が賠償請求すると、女性が保険加入していた東京海上日動火災保険は「男性の脊髄障害は神経系統の最も重い障害。事故による神経損傷が障害の程度を重くしたとは評価できない」として支払いを拒否。男性が調停を申し立てた自賠責の紛争処理委員会も「腕のしびれなどは事故の後遺障害とは認められない」と判断した。(日本経済新聞:4月8日)


自動車損害賠償保障法について考える。


まず、自動車損害賠償保障法の第一条を示す。

■ 自動車損害賠償保障法 第一条
この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。

被害者の身体的な保護を目的にしている。よって物損については補償の対象外になる。自賠責保険は保険会社 (共済もあるがこれで代表する) と契約するが、保険金額は政令で定められる規則になっている。つまりダイレクト自動車保険だと安いというようなことはない。自賠責保険に入るのは義務なので、入っていない車両を走らせると法律違反になる。罰則としては、未加入で運行した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められている。任意保険を契約していても、自賠責保険の範囲内については支払対象とならないから、加害者負担となる。
このような趣旨で運営されている自賠責保険であるが、障害のある人が交通事故で「同一部位」をけがした場合、保険金支払いを控除するとしている。同一部位というのが判断を難しくする要因であるのは間違いない。しかし、同一部位を無視する規定にしてしまえば、故障が生じた部位の回復がどこまで求められるのか不確定になり、自賠責保険の負担が大きくなってしまう。保険対象は事故に関する被害者救済と限定するのは当然なこととなるのだろう。
今回の裁判でさいたま地裁は、この規定を適用しなかった。事故との因果関係を認めたということである。
判決で支払いを命じられた被告の女性と東京海上日動は判決を不服として控訴した。女性の方はともかく、東京海上日動は控訴しないと株主からお叱りを受けるだろうし、同業他社から怠慢と批難されるだろうから、当然の行動ではある。

被害者救済を趣旨に作られた制度と、営利企業である損害保険会社の経営とで馴染まない部分が生じるということはありそうな話である。自賠責保険事業は、どの損保会社でも成績は良くない。というより、こrの事業は営利事業と位置付けられない性格がある。それでも契約者が増えている時代であれば、任意保険の仕事もあるから商売になったのだろうが、自動車の保有台数の伸び鈍ると厳しくなる。ちなみに、自動車保有車両数で乗用車の台数は2015年1月末現在で 60,720,906台である。四輪車の合計が 77,390,547台 (内軽自動車 29,935,814台) となっている。
営利事業でないのなら公団化すればというのは、上手くいかない典型例のようなやり方になる。非効率化で保険料アップという流れに国民の理解は得られないだろう。現状の損害保険会社で行うという方法を継続することになる。自賠責保険がうま味の少ない事業であるというなら、日本損害保険協会で幹事会社を決めて集中運用すれば良いと思うが、これは公正取引委員会から調査が入りそうである。ダイレクト自動車保険の中で自賠責保険を扱っていない会社があるようなので、それなら談合して効率化というのは実際的な知恵だとは思う。それでも効果は知れたものだと思う。
いずれにせよ、同一部位に関する争いは今後も出てくるものだと思われる。


自動車離れを言い訳にしても、誰も幸せにならないことを保険会社は自覚しているのだろうか。

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