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2015年4月28日 (火)

1票の格差 17の高裁判断出そろう 最高裁が統一判断へ

「1票の格差」が最大2.13倍だった2014年12月の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが全国14高裁・支部に選挙無効を訴えた訴訟は、広島高裁岡山支部が4月28日、違憲状態との判断を示し、17件の判決が出そろった。違憲状態は12件に上ったが、違憲判決は福岡高裁の1件にとどまり、4件は合憲だった。抜本改革の先送りに対する厳しい指摘の一方で、国会の是正に向けた取り組みを一定程度評価する判断も目立った。今後最高裁が統一判断を示す。(毎日新聞:4月28日)


一票の格差訴訟の高裁判決をまとめて考える。


17件の高裁判決を裁判長と合わせて下に示す。

■ 高等裁判所判決
  No.  判決       判決日    高裁 (裁判長)
    1  合憲       3月19日  東京高裁 (大段亨裁判長)
    2  違憲状態    3月20日  名古屋高裁 (揖斐潔裁判長)
    3  違憲状態    3月23日  大阪高裁 (志田博文裁判長)
    4  違憲状態    3月24日  仙台高裁秋田支部 (山田和則裁判長)
    5  違憲状態    3月24日  広島高裁 (野々上友之裁判長)
    6  違憲状態    3月25日  東京高裁 (奥田正昭裁判長)
    7  違憲状態    3月25日  名古屋高裁金沢支部 (内藤正之裁判長)
    8  違憲状態    3月25日  広島高裁松江支部 (塚本伊平裁判長)
    9  合憲       3月25日  高松高裁 (生島弘康裁判長)
  10  違憲       3月25日  福岡高裁 (高野裕裁判長)
  11  合憲       3月25日  広島高裁 (川谷道郎裁判長)
  12  違憲状態    3月26日  福岡高裁那覇支部 (須田啓之裁判長)
  13  合憲       3月26日  大阪高裁 (田中敦裁判長)
  14  違憲状態    3月27日  福岡高裁宮崎支部 (佐藤明裁判長)
  15  違憲状態    4月10日  仙台高裁 (古久保正人裁判長)
  16  違憲状態    4月24日  札幌高裁 (佐藤道明裁判長)
  17  違憲状態    4月28日  広島高裁岡山支部 (片野悟好裁判長)

2013年の高裁判決と、今回の一連の判決と、両方で裁判長を担当しているのは、広島高裁松江支部の塚本伊平裁判長と、広島高裁岡山支部の片野悟好裁判長の二名である。いずれも今回は違憲状態としているが、2013年では違憲としている。特に片野は選挙の無効にまで踏み込んだ判断を出している。(前回の高裁まとめは、2013年3月27日のブログに書いている

国会も是正に向けた行動をしているから、違憲ではなく違憲状態としたと読める。国会議員を国権の最高機関に据えるというのを、現実に合理的な説明をする根拠というには、国民の権利が正しく実行される環境を整えた上でのことでなければならない。先の最高裁判決、つまり判例として2倍程度に格差を違憲状態と判決したことで、高裁はそれに従うことになったということである。判例は法律と同等に考えられるから、法律と自らの良心のみに拘束される裁判官には、判決の基軸が確定したことになる。違憲が違憲状態になったには理由がある。
もう一方の国会議員である。違憲状態なら放置して良いように国会議員が理解するのは、過去の判決の後の対応を見れば明らかだ。易きに付くという傾向と、自分に有利に解釈するというのは国会議員の特性のようだ。国会議員は大好きなお手盛りの仕事をする。このお手盛り集団が国権の最高機関であると、最高裁は認定しているようだ。このお手盛りが許されるのなら、談合は生活の知恵として許容されて良いように思うし、債権処理を暴力団に依頼しても、ちょっとお叱りを受けるだけで良さそうだ。
判例が法律と同様に扱われるのは、法令の安定的な解釈と事件を通しての事後的な法令解釈の統一を図る為である。よって、最高裁判所の判例には後の裁判所の判断に対し拘束力があるものと解釈されている。違憲状態などとぬるい判決を書くから、憂いがその先に表れる。選挙無効はともかく、違憲判決を下すのに躊躇う理由はなかった筈だ。最高機関などという亡霊を信仰していれば書けない判決ではある。お見舞い申し上げるよりない。

違憲判決を出すことに抵抗を感じているようだ。抵抗というのは適切でないのなら、司法が踏み込んで良い範囲の設定に苦しみ、躊躇しているというところだろう。表現力が乏しいから差異を見出せない。まあ、裁判官が違憲判決を出し難い事情というのは、自身が試験に合格し、組織の中で出世しただけの存在であることを理性的にとらえていると思えば良かろう。一方、国会議員の側でも、法律家などという者は試験に合格しただけで、国民の審判を受けていないという思いがある。時折、判決に対して不満を口にするのは、これによるものだろう。選挙を勝つのは大変なのだろうが、選挙命の人生というのは、議員とその仲間たちにしか共有し得ない価値観であると思う。
裁判官は、法律が予定していない事柄への判断に慎重になるようだ。行政においても同様で、新しい事柄に慎重でない対応を躊躇なく選択するのは、躊躇しないことが票になるという選挙命の人達だけだろう。網目を細かくしてこぼれなくしても、時間の経過が変形させることはままある。法律でカバーしきれない判断を、すべからく裁判所に求めるという負担が大き過ぎると思う。正しい手続きで選ばれた国民の代表であるなら、そこで決定された事柄は裁判所は尊重しなければならないという立場も取れよう。しかし、正しくない手続きで選ばれた国会議員が、少数意見であるものを多数意見に意図的に置き換えて、将来問題が発生する法律を作ったとしたらどうしよう。未来の国民は、司法の怠慢により不利益が発生したと損賠賠償を求めるのだろうか。法律に馴染まない話だろうし、その損害は裁判所や裁判官が負える金額ではない。

一票の格差がある状態を受け入れられないとして、違憲判決を出すことが実際には混乱も負担も小さいものになる。選挙制度決定についてお手盛りである状態を改める作業をしようとしないのは国会議員である。選挙命の人生のご褒美がお手盛りだ。改める筈もない。選挙を無効にしたら混乱が生じるというのはあるが、混乱しないことを優先して、正しい選挙制度が構築できない状態で停滞しているということも、裁判所が認めるところである。以前に書いたが、小選挙区について、有権者はどこの選挙区の候補にも投票できるようにすれば良い。当然、惜敗率が機能しないから、重複立候補は不可になる。選挙運動を制限しなければ全国区になってしまうから、運動は小選挙区の範囲内に強く限定する。こんな恐ろしい選挙は、選挙命でも拒否する内容である。選挙区の区割り変更なしで、比例との重複立候補をなくすだけの変更である。投票結果の集計に時間を要するが、投票日に集計を終わらせる必要もない。二日掛けたからといって、国権の最高機関を作り上げる手続きとしては相当な時間である。劇薬が必要な時期だろう。国会議員には違憲状態に不感症になっている。

最高裁は違憲状態という判決を出すだろう。合憲としたら、一人別枠方式を問題視した判決が反故になる。国会議員の選挙制度改革は、国会議員の手を離さなければ改善が期待できないという意見を、判決で加えてもらいたいものである。


責任のある人が責任を果たす努力をすべし。これは全ての国民に求められる。

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